19話 街の開拓
「うーん…」
早紀は立地の土地を探している
「そうだ!土地を売っている所に行こう!」
早紀はそのまま歩き出した
「いらっしゃいませ!売地店へようこそ!私受付のナサリーって言います!あっ!早紀様じゃありませんか!どのようなご用件でしょうか?」
とかわいらしい女の子が頭を下げる
「はい!えっと大きな店を立てたいのですがどこかいい土地はありますか?」
「なるほど店ですか…それは運営は誰になるんですか?」
ナサリーが首を曲げる
「そうですね私で登録お願いします」
「ええ!?領主様自ら運営するんですか?」
「はい!なのでお金は私が払います…しかし今はお金を持ち合わせてはいないので…月払いでお願いできないでしょうか?」
「そんな!とんでもない!私たちの命の恩人からお金を取るだなんて…」
ナサリーは両手を振る
「いえ……今の私はお客さんですのでお金は払わさせてください」
(頷いたら本当にただで土地をくれかねないからね……)
「分かりました…せめてものお礼として半額で取引させていただきます…早紀様本当におありがとうございます」
「いえいえ…ですが半額でいいんですか?例えば金貨10枚の土地だと金貨5枚まで減るんですよ?」
ナサリーは思い出したかのように頭を落とす
「3割引きでいいですよ。そうすれば10枚の所7枚で取引できますがどうでしょう?」
早紀の言葉にナサリーは目から涙が零れ落ちる
「本当にありがとうございます…」
ということで大きさを伝え調べてもらうことにした。
(みんなはどんどん安くするように交渉しているけど…そんなことをしたら相手の生活も苦しくなるし…あれくらいがちょうどいいよね…)
早紀は笑いながら歩いて行った。
3日後
「早紀さん!こことかはどうでしょうか?」
とナサリーが土地の地図を見せてくれる「なるほど…周りには住宅が立ち並んで…ウンディーネさんの家に近いのか…」「お気に召しましたか?」ナサリーが不安そうな顔をする「うん!硬貨はどれくらいかな?」「はい…この広さの土地だと大体金貨500枚ほどになりますが…」早紀は考える
(なるほど…ということは350枚か…)
「分かりました!買います」
「ありがとうございます!それでは7割引きの350枚で取引しましょう」
早紀はなんとか金貨を払う
「お金大丈夫ですか?」
ナサリーが首を曲げる
「今で…残りはまぁ…大丈夫」
「良ければ建築業者は私がご用意しましょうか?」
早紀は目を見開く
「そこまでしてくれなくてもいいよ!ところで……何で私にそこまでしてくれるの?私ただの領主だよね?」
ナサリーは下を向き顔を上げる
「私…収容所にいたんです」
早紀ははっと思い出した
「そこで四大天使ガブリエルさんが助けに来てくれた時…」
ナサリーは当時の事を詳しく教える。
「私は四大天使ガブリエル!早紀さんの命令によりあなたたちを助けに来ました!」
ガブリエルが妖精たちに告げる
「あの…」
ナサリーがガブリエルの顔を見る
「どうしましたか?」
「ほんとうにありがとうございます…私…仕事もしていないのに…」
ナサリーは泣いている
「大丈夫ですよ、あなたたちは私達が責任を持って助けてあげます」
「私達…?」
ナサリーが首を曲げたとき後ろから魔法陣が現れ白い空間が現れ一人の女の子が現れる。
「転移魔法…いや…」
ナサリーは驚いている
「妖精族の皆さん!今すぐここから逃げてください!出口には黒い服を着た朧月という女の人が待っています」
みんなが出て行ったことを確認すると
「遅いですよマリさん」
ガブリエルがため息をつく
「ごめんね!…その子は?」
マリがナサリーの顔を見る
「…ナサリーです」
「マリさんこの人に会う仕事探してくれませんか?」
ナサリーはガブリエルの顔を見る
「仕事?うーん…あなた何か得意なことある?」
マリがナサリーの顔を見る「
地理が得意です…」
「ならば売地店とかどう?土地を売る商業ならばかなりの値段で売れるんじゃない?」
ナサリーは目を見開いた
「良いんですか?でも…どうしてそこまで…」
「それが私たちのリーダーからの命令なんです『妖精達は必ず助け困っている妖精達には手を差し伸べなさい』と」
「感謝するならリーダーにですね」
そして領主任命式当日…
「ナサリーさん」
ガブリエルが歩いてくる
「うひゃ!が…ガブリエルさん…」
「お店の方はどうですか?」
ガブリエルが笑顔になる
「はい!お2人のおかげで大繁盛です!」
ナサリーは笑いながらガブリエルを見る
「私たちは何もしていませんよ…あの店を作ったのも…妖精たちの救出を考えたのもすべてはリーダー早紀さんのおかげですから」
「早紀…さん…優しいのですね」
ナサリーは胸に手を当てる
「ふふっ…いつか会うとわかりますよ」
とガブリエルが歩いて行った。
「あれが早紀さん…領主になったんですね…」
「ナサリー!」
任命式が終わるとマリが走ってくる
「あなたはえっと…マリさん!」
ナサリーがマリの顔を見る
「お店繁盛しているみたいね!おめでとう!」
マリがナサリーの両手を握った。
「なるほど…そんなことが…」
早紀は照れながら下を向く
「はい!私がこうして仕事をすることが出来るのもすべては早紀さんたちのおかげです…なので…」
早紀は笑う
「分かりました。では建築業者はそちらのお任せということでお願いしますね」
「はい!喜んで!」
ナサリーが笑顔で叫んだ。
そのころマリと朧月は
「朧月ちょっと多いよ!」
マリが四角い石を並べている朧月を見る
「本当か?15000×20000個のはずだが?」
「どう見ても20010個あるじゃないの」
「あっ…」
朧月が目を見開いた。そんなことを話しながら石を置いて行った。
「よし完成!」
「とはいっても地面だけだがな…」
朧月は地面に敷き詰められている石の床を見る
「ここからまた大変だな…」
朧月が呟く
「まぁ…時間も沢山あるからいいんじゃない?」
2人はまた黙々と作り始めた。
一か月後
「マリと朧月は出来たの?」
早紀が目に前に座っている2人を見る
「じゃあ一緒に見に行きませんか?」
ガブリエルの提案に3人は頷いた。
「これが私たちの合作!」
マリが早紀に見せる
「おお~すごく大きいね!」
「はい主!3階建ての要塞をイメージしました。広さは私が保証するのでたくさん戦闘訓練をすることが出来ます」
「うんうん!ちゃんと食堂もあって…すごい!庭園もあるんだ!」
早紀が子供みたいにはしゃいでいる
「これは想像以上に大きいですね…」
ガブリエルも驚いているようだ
「じゃあ次私のところかな」
早紀は硬貨換金所に向かう
「1階が硬貨換金所になっているんだよね」
「なるほど…だが何故こんなにも高いんだ?」
そうなんと10階建てなのだこの街の中でも一番大きいのだ
「ここを私たちの拠点にしようかなと思ってね!いつまでもウンディーネさんの家にお邪魔するわけにもいきませんし」
早紀が頷く
「一応会議室も用意してあります!会議室は10階です!」
3人は頷いた
「それじゃあ明日から運営開始しましょう!」
「おー!」
みんなは両手を挙げた。
次の日、シルフとウンディーネには妖精たちの養成学校の運営を任しマリと朧月には硬貨換金所の運営をお願いした。一応土曜日と日曜日そして祝日は休みということにした。
「さてと…」
早紀とガブリエルは喫茶店でお茶を飲んでいる。そう今日早紀とガブリエルは一日養成学校と硬貨換金所を往復した。
「なかなか両方とも大繁盛でしたね…」
ガブリエルも安心しいている
「本当?良かった!なんかやっと領主として仕事をしている気がする」
早紀が笑いながら資料を眺めた
「お待たせしました!イチゴパフェとメロンでございます」
「ありがとう!」
早紀はイチゴパフェガブリエルは1個丸ごとメロンを食べている。
(まさかメロンが丸ごと来るとは思わなかったなぁ)
「そういえばもうすぐ来るらしいよ…」
「こわいなあ…」
何やら隣の席で話をしている
「どうしようもないからなぁ…あの災害は…」
(あの災害…?なんだろ…サキエル分かる?)
(……)
(おーい?)
(私を呼んだの何か月ぶり?)
いやしょげていた!
(ごめんって!さてサキエルの出番だよ!今話していたあの災害って何かわかる?)
(はい…500年に一度地面が揺れて波が襲ってくる大災害があるのですよ)
早紀には聞き覚えのある言葉だった。
(それって私のところで言うと地震と津波だよね…)
(はい…ですがその規模が違います。この世界は平原しかないため上に逃げることは不可能です…それに海の深さは水深約100万㎞…津波に換算すると高さ1万㎞の津波が襲ってきます。一つ前にこの大災害が起こた時は20個以上のギルド国が壊滅しました。津波到達距離は…ラミ帝国からマヤ帝国まで届く距離だったといわれています)
(それってどれくらい?)
(約5万㎞です)
なにそれ!超やばいじゃん!
「だがかれこれ前から5000年起こってないんだ…もう終わったんじゃないか?」
「まぁ噂だ…本気にするな」
男の妖精たちはそんなことを言いながら出て行った。
「うーん…5000年起こってない…つまり10倍の力がため込んでいるということ…この世界に地震という概念がないなら危険だな…いつか本当に起こりそうだ」
この言葉が現実になるなどこの時はまだ思っていなかった。
ちなみに豆知識ですが地球一周の長さは約4万㎞らしいです。




