16話 妖精たち救出大作戦
「はぁ…2人とも行ってしまったのぉ」
ミカエルがため息をつく
「今回の作戦ではまぁ適正だろうな」
ウリエルが呟く
「本当に頑張ってほしいですね…」
ラファエルが水を飲みながら呟いている
「わしたちの出番はいつ来るんじゃ…」
ミカエルがどんどん拗ねているように感じているのは他の皆も気づいていたようだった。
「うーん…とりあえず私たちの出番もすぐ来ますよ…とりあえず見ましょうか」
ラファエルが覗き込む。
「ねぇ…早紀の体が光って…」
マリが緑色に光っている早紀の方を見るとその光がどんどん一つに固まってそのまま女の人が現れた。
「初めまして…マリさん…朧月さん」
緑服のお姉さんが膝をつく
「は…初めまして?」
2人は誰か分からないような顔をする
「私は早紀さんの契約天むぐっ…」
「私が説明するよー」
「早紀!」
「主!」
早紀がいつの間にか起きていた
「早紀さん!?急に口をふさがれると手を噛みますよ?」
女の人は早紀の顔を見る
「あはは…とりあえずこちらは四大天使の一人ガブリエルです」
「はぁ!!?」
マリが叫ぶ
「コホン…とりあえず…先ほども説明がありましたが私は早紀さんの仮契約天使のガブリエルです…」
『仮契約天使?』
2人は分からないような顔をするとガブリエルが詳しく説明をしてくれた。
「なるほど…つまり今まで使っていたラファエルとかも仮契約天使だったから使えたってことね」
「そういう事です仮契約中早紀さんは私達四大天使の半分の力を使うことが出来ます」
「半分?あれで?」
マリが目を見開く
「半分といっても早紀さん自身仮契約と気づいていなかったのでその半分以下の力しか出せていませんでしたね」
ガブリエルの説明にマリは余計に納得していないようだった。
「前に森一帯を吹き飛ばしたことがあったよね?」
マリがガブリエルに詰め寄る
「ミカエルさんですか…確かにミカエルさんの力ならば半分のさらに半分でも森を吹き飛ばすには十分です」
「ちょっと!ガブリエルさん!」
「あっ…すみませんすっかり忘れていました…」
ガブリエルが笑い舌を出す
「それでは…」
と勢いよく扉が開く
「早紀さーん!」
「こら!シルフ!早紀さんに悪いですよ…」
と2人が入ってきた
「丁度いいですね」
とガブリエルが笑顔になる
「ちょっと皆様にお話があります」
ガブリエルが収納から椅子を取り出した。
「何お話って?」
みんなが椅子に座るとマリが質問をする。
「はい、今回の妖精たち救出作戦についてです」
ガブリエルが話を進めた
「えぇ!?私ですか!?」
シルフが驚く顔をする
「はい!シルフさんは前に男たちに追われていましたよね?それを利用するんです」
ガブリエルが人差し指を立てる
「ですが……それはさすがに無茶ではありませんか?」
ウンディーネがシルフを見る
「ですがこの方法の方が成功率はかなり高くなります。私は早紀さんの作戦を信じます」
ガブリエルが皆の顔を見る
「分かりました……」
シルフが呟く
「ところでガブリエルその人たちがいつ来るかは予想ついてる?」
早紀がガブリエルの顔を見る
「はい!おそらくちょうど明日の10時頃広場に現れると思います」
「その時しかないか……でも私たち一度戦ってるから……」
マリが悩む
「そこはシルフさんを信じてあげてください」
ウンディーネが笑いながらシルフの顔を見るとシルフも決心したように頷いた。
「じゃあ明日も早いから寝ましょうか」
「うん!明日頑張ろう!」
オー!と声が上がった。
「良いか?お前ら妖精どもを急いで捕まえないとあいつに俺たちが潰されるんだ!」
男が叫ぶ
「スタルム…ですか…」
男が呟く
「あぁ…あいつだけは相手にしてはダメだからな…元災厄者の一人…魔王スタルム」
男の言葉にみんなが震えあがった
「明日だ!必ず捕獲するぞ!」
と男たちは拳を振り上げた
次の日
「本当にするんですか…?」
森に隠れているシルフと早紀が道を見ている
「大丈夫よ!なんとかなりますから」
早紀が道の奥を見る
「早紀さん!奥に数名恐らく妖精狩りの人たちです」
ボタンから声が聞こえる
「分かりました」
と早紀はボタンを収納した。
「おい!なんだお前は!」
男たちは早紀と鎖につながれたシルフを見る。
「お前は!あの時の!?」
一人の男が叫ぶ
「お久しぶりですね皆さん」
と早紀が鎖を引っ張る……もちろん軽く
「きゃっ…」
シルフが前にわざと倒れると背中に羽が見えた
「まさか…妖精…」
男たちが目を丸くする
「ただの妖精じゃないですよ?大妖精シルフです」
「なんだと!?」
男たちは驚いている
「あなたたちの妖精狩りに私も参加していいかな?」
早紀が下を向く
「まて!敵かもしれん!」
男たちは剣を構える
「分かりましたそれでは私がシルフのボディーチェックします」
「は?」
と早紀がシルフの体を次々触っていく
「ん…あっ…」
男たちは顔を赤らめながら覗き込む
「あぁ…ん…やめて…ください…あっ」
「待て待て待て!もういい!お前が敵でないことそしてお前が妖精ということは良く分かった!それでは引き渡してもらおう」
と男たちが手を伸ばしてくる
「あの…」
「ああ?なんだ?」
シルフが下を向く
「その…色々触られたので……トイレ行きたいです…」
男たちは舌打ちをする
「私が見張ります」
「なんだと?」
「女の子のトイレは男が付いて行っていいものじゃないですよ?」
「う……む……確かにそうだな」
と早紀はシルフを引っ張り森に入って行った。
「お待たせしました」
早紀とシルフが戻ってくる
「おう!さぁ……早速渡してもらおう」
「その前に私に1つ報酬ないの?せっかく大妖精を捕まえたのに報酬無いと引き渡せないんだけど」
「ふははは!お前も報酬の高みに気づいたか!ほらよ」
と渡してくれた
「ありがとう!ではどうぞ!」
早紀は笑いながら受け取ると戻っていった。
「ほらいくぞ!」
「ははは!いい金になるな!」
と男はシルフの頭をたたきながら歩いて行った。
「主!本当に良かったのか?あんな扱いして」
朧月が不安そうに話す
「うん!あの人ならうまくやってくれるよ!なんだかんやお金もほら!」
早紀が出した巾着袋にはなんと金貨10枚ほどが入っていた。
「なんなんだこれは…」
「私はあの剣を買ったりしてからお金なかったんだよね…だから助かった!」
早紀が笑う
「それでウンディーネさんはこの作戦成功すると思う?」
マリが不安そうな顔をする
「そうですね私が解析した結果あの手に付けられた手錠には妖精族の力を奪う仕組みになっているようで……」
「まさか早紀さんそこまで考えてたの!?」
マリが早紀の方を向く
「恐らくそうだろうね……とあくまで予想しただけです。あとは連絡を待ちましょう……連絡が来たら一斉に攻め込みます、マリ、転移ゲートの準備は?」
「満タンです」
とマリが胸を叩いた。
「よう?シルフよどうだ?力を奪われている気分は」
「最悪です!」
シルフが叫ぶ
「はっ!まぁ…すぐにそんなことも言ってられなくなるだろうな」
と大きな洞窟があった
「ここの洞窟は一本道でな出口はここしかない、脱走は不可能だぞ」
男は笑いながら中に入っていった。中からは悲鳴が飛び交っていた
(周りには監獄……こんなところに閉じ込められて……)
シルフが周りを見る
「ふふっ…どうだ?お前もあいつらと同じになるんだぞ?」
男が笑う
「どうしてこんなことをするんですか!」
シルフが叫ぶ
「この声は…シルフ様!?」
周りの妖精たちが騒ぐ
「ふはは!どうだ!お前たちの大妖精もこんなもんだ」
とシルフの鎖を引っ張る
「お前はここだ」
と2階の牢屋にシルフが入るとしばらくして扉が閉まる音がした
「さて……そろそろですかね……」
バチーン!とシルフ?が鎖を引きちぎる
「こんなもの……私には効きませんし……」
とボタンを取り出した。
ブーブー……と音が鳴る
「早紀さん!」
マリ達が覗き込む
「はい」
早紀はボタンを押して答える
「準備出来ました」
「オッケー!」
と早紀がボタンを収納する
「さぁ……始めようか」
早紀たちは森から飛び出した。
「さて…」
シルフ?が牢屋のカギを開けると外に出る
「皆さん聞こえますか?」
「はい!」
と牢屋から返事が聞こえる
「あなたたちを救出しに来ました」
「シルフ様……ありがたき幸せ」
とシルフ?が手をたたいた時、牢屋のカギと鎖のカギが外れる。
「皆さんはしばらくここでじっとしていてください!そして赤い女の人が来た場合は案内に従って逃げてください!私はこれで失礼します」
と白く光り輝いた
「シルフ様!ってあれ?まぁですが……ありがとうございました!」
と妖精たちが一斉に頭を下げた。
「敵襲だ!」
男が叫ぶ
「おい!全員かかれ!皆殺しだ!」
と男たちが叫ぶと周りから叫びながら出ていった。
「皆!行くよ!」
「主の為なら!」
「ふふっ…私の仲間達にしたことを償ってもらいますよ」
妖精たちと人間がぶつかる……
「さすが妖精達……」
朧月と早紀はどんどん制圧されていく敵拠点を眺めてるだけだった。
「早紀さん!」
「早紀さん!大丈夫ですか!?」
とマリとガブリエルが走ってくる
「妖精たちはシルフさんと一緒にウンディーネさんの家にいます」
ガブリエルが頷いた。
「おい!お前ら!よくもやってくれたな!」
男が洞窟の前で叫ぶ
「だが妖精どもを助けたければこの俺を……」
「大変です!」
と洞窟の後ろから走ってくる男がいた
「どうした!?」
「妖精達が全員いません!」
「なんだと!?」
男が叫ぶ
「まんまとかかりましたね!」
早紀たちが上からウンディーネに支えられ降りてくる
「てめぇ……裏切ったのか!」
後ろの男が叫ぶ
「そもそも私仲間になるだなんて一度も言ってませんし…あなたたちはもうここで終わりです」
「お前たちはやり過ぎたんだ…主が動くということは相当だからな」
朧月が話す
「ふざけんな!俺たちはまだ…」
と男が叫ぶ
「もう終わりだって私言ったよね?」
早紀が笑いながら目を開けると後ろから馬に乗った騎士たちが現れた。
「え!?何でここに!?」
一番驚いたのはマリと朧月だった
「その鎧……その騎士……」
男たちは怯えながら洞窟に入る
「なぜこんなところにお前らがいる!?ラミ帝国騎士!」
「少し遅れましたか?」
と後ろから女の子が歩いてくる
「いいえ!ラミさんピッタリです。一週間……お疲れ様です」
「いえ!早紀さん!これでやっと捕まえることが出来ますから」
「ラ…ラミ王女様ぁぁぁ!?」
男たちが震える
「あなたたちは私ラミ帝国により捕縛します。妖精たちを捕らえ売りさばいていた罪をしっかり償いなさい!」
と騎士たちが洞窟の前まで歩いていくとそのままあっという間に制圧されたのだった。
「ふう……一件落着かな」
早紀が笑いながらウンディーネの顔を見る
「すいません……早紀さん……私たちのために……私たちの命の恩人です……一生ついていきます」
ウンディーネが膝をつくと周りの妖精達も全員膝をついた
「ですが早紀さんいったい何があったのですか?」
ラミが首を曲げる
「その話はまた明日私が説明しますね」
ガブリエルが笑う
「いえ……ですが…私たちは騎士含め30人以上はいますよ……」
ラミが両手を振る
「良いですよ、私たちの街に空き家がたくさんあるのでゆっくりしていってくださいませ」
ウンディーネが頭を下げる
「ラミさん!お願いします!」
マリもラミの手を引っ張る。周りの騎士もすっかり馴染んでいた。
「仕方ないですね……ご一緒しましょう」
「やったあ!」
ラミ・早紀・マリ・朧月は笑って両手を握った。




