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13話 乗り物改造計画

 

「あやつらいよいよ冒険に出たのぉ」


ミカエルが呟く


「いささか遅いと思うがな」

「ウリエルは冒険好きじゃのう…別にあやつらの勝手じゃろ」

「うーんでも何で冒険もしていないのに仲間が集まっているのか少し疑問です」


ガブリエルが呟く


「早紀さんのカリスマ性?でしょうか……」


ラファエルが呟く


「それに何であやつがわしたちと仮契約状態で平然としているのも謎じゃな……ガブリエルお主の考えを聞かせてくれないか?」

「はい、本来天使との契約は天使の力が強ければ強いほど契約者の負担が大きくなります。だから体に慣れさせるため仮契約として半分の負担で済むようになっていますが……今の早紀さんは私達四大天使との仮契約状態です。普通の天使たちとの仮契約時点で約400倍の負荷がかかっているはずです」

「そもそも大天使1人と仮契約を結ぶ時点でほかの天使たちは弾かれるはずだ」


ウリエルが続ける


「はい…なので簡単に言うと…早紀さんの仮契約は今回が初めてではないというのが私の考えですね……」

「なるほど!つまり元々天使との仮契約を経験しているから今回たまたまですが私たちがこうして集まっても平気だということなんですね」


ラファエルが手をたたく


「いやそんなわけないじゃろ」


ミカエルが遮る


「仮に昔天使と仮契約をしていたとして何故大天使4人も収容できるんじゃ…わしらと通常天使では負担は100倍あるのは知っておろう…じゃから昔早紀は最低でも400の天使と仮契約を結んだ計算になるのじゃぞ」

「そういえばそうですね…つまり昔から大天使四人と?」


ラファエルが呟く


「そんなの体がもたんじゃろ…」

「いや…幼過ぎたらそんなこともないぞ」


ウリエルが呟く


「そういえば力を知らない年代は大体10才の子供たちなら気づかずに仮契約していた場合もあるにはあるけど…あっ」


ガブリエルが目を開く


「気づいたか?ガブリエル」

「そういえばあやつ8歳の時に階段から落ちた事あるって言っておったな…そのときか?じゃが…その時に大天使4人と仮契約を結んだとして今平気なのはおかしいじゃろ…少しは変な感覚になるはずじゃ」


ミカエルが呟く


「だったら大天使5人以上もしくは大天使以上の力を持った者と契約をしたかの2択になるな」


ウリエルがまた悩む顔をする


「どの道無理では?だってその時は意識戻ったって早紀さん本人が言ってたじゃないですか」

「あっそうか…ちゃんとした転生じゃないと仮契約できないんじゃったな…ならいつ誰と仮契約をしたんじゃ?もししてないならあやつ人間じゃないことになるぞい」

「そこはまだ謎ですね」

「そうだガブリエルお主セラフ様と話せるか?」

熾天使してんしセラフ様にですか?」

「あぁセラフ様に早紀の事を調べてもらうのはどうじゃ?」


ガブリエルは一旦下を向くと軽く頷いた。


「分かりました…行ってきます」


ガブリエルはそのまま消えてしまった。


「わしらはガブリエルが戻ってくるまで様子を見ようかの」

「そうですねミカエルさん」


ラファエルが水を飲んでいる


「いやいや…セラフ様は最上位天使だろ…所詮四大天使である私達のお願いを聞いてくれるのか?」


ウリエルがミカエルの方を見る


「そこは聞いてみないとわからんじゃろ…ほら早くあやつらを見るぞい」

「やれやれ…」


ウリエルは仕方なくモニターを見た。



乗り物に揺られること5時間程が経過した。周りにはもはや見たことない森林ばかりだった。


「ねぇここら辺何処かわかる?」


早紀が後ろに座っている2人に聞く。


「もう私にはわからないね」

「主すまない……私もわからない……この乗り物で5時間も乗ってるんだ……馬車なら1日はかかる距離だからな……」


朧月とマリもお手上げのようだ。


(ん?ちょっと待て…マリは分かるが何故古代竜族の人が分からないの!?飛んでいけるよね?)


早紀は少し驚いた顔をするも運転を続けた。


さらに進んで1時間が経過した。


「街かな?」


奥にはたくさんの明かりが見えた


「おぉ~でかしたぞ!主!」


朧月が喜んでいる


「ではいこう~」


マリが片手を挙げた。


「止まれ」


門の前までくると門番に止められる。


「ほう…これは魔道車か…なかなか珍しいものを持っているな…身分を証明できるものはあるか?」


門番が中を覗き込む


「これでいいですか?」


と早紀がラミに渡されたカードを見せる。


「良い?早紀さんこのカードを見せたらいろんな国には入り放題だから安心してね!」


とか言われたけど…


「これはあのラミ王女様のお知り合いでしたか…」


とすぐに門を開けてくれた。ラミさんには他に何やらボタンもくれてボタンを押せば離れた距離でも魔力を通して会話可能になるらしい。まるで電話のようなものだった。


「ラミさんって結構有名なんだね…」

「結構どころじゃないよ!早紀!前にも教えたと思うけどラミさんは4大ギルド国の領主なんだから」

「ん?4大って言ったか?」


朧月が遮る


「朧月?」


早紀が乗り物を止めると後ろに向かう


「今日はここで野宿だよ」


早紀が笑いながらテントを取り出す。


(取り出すといっても手の平を下に向けて取り出したいものを想像すれば収納したものが出てくる仕組みなのだけど…)


「ところで朧月何か変なの?」


テントの中に座っているマリが朧月に聞く。


「あぁ…この世界の事は私から詳しく教えてやろう」


朧月が話し始める


「まずはその4大ギルド国の事だがそれはもう約10年前の話だ…今では10大ギルド国に増えている」

「そうなの!?」


マリが目を見開く


「あぁそしてそのギルド国を収めるのが大体のやつが災厄者と呼ばれる者たちなのさ」

「災厄者…」


早紀はいまいち分からない素振りをする


「聞いたことあります…みんなから恐れられるほどの強さを持つ者たちということだよね?」


マリが朧月に聞くと朧月は「うむ」と答えた。


(つまり私たちの世界で言うならば最強の魔王たちというところなのか…おっそろしい…)


そんなことを思っていると朧月が続ける。


「問題は10年前に突如現れた災厄者……マヤ・サカモトだ」

「マヤ……まさか!」


マリが目を見開く


「マリなら良く知っておるだろうな」

「え?何々?」


早紀は2人の会話についていけなくなってきた。


「マヤ……マヤ帝国は私の故郷を滅ぼした大規模ギルド国よ……あいつだけは許さない」

「うむ…思う気持ちもわかるが問題はここからだ……マヤは突如現れたにもかかわらず災厄者として名を連ねている」


朧月が呟く


「それってどういうことですか……?」


早紀が呟く


「君らならわかるだろう…いきなり現れていきなり最強になる者たちの事を」

「まさか!」


早紀ははっと気づく


「朧月それは……異世界人……とでもいうの?でもそれはただの伝説では?」


マリが1人で頷く


「伝説ならどれだけ良かったことか……実際に異世界人は存在する」


朧月の言葉にマリが目を見開いた。


「ここからは私の考えだが……どうして異世界人がこの場に来るのかは分からないのだが……まずは召喚魔法により来た人……そして別の世界で死んだとき何かの力が働いてこの世界に来たか……だと私は思っているぞ」


早紀は頷いた。


(いわゆる召喚による転移者と死んでから転生する転生者だろう)


「この2つに共通するある点がある」


朧月が真面目な顔になる


「なんですか?」


早紀が朧月の顔を見る


「まず服装と言い方だ」


早紀とマリは分からないような顔をする。


「その人たちは私たちの服とは全く違う見たこともないような服を着ていることが多い」


早紀はそこで気付いた


「もしかして初めから私の事気づいていたの?」


朧月は頷く「


主を見て一目でわかったぞ」

「え?早紀って異世界人なの?」


マリが驚いたような目で振り返る。早紀は仕方なしに転生をした理由をすべて話した。


「早紀さんに……そんな過去が……」


マリが目に涙をためている


「異世界人のギルド国がマヤ帝国だということだ」

「それに気づいている人はいるんですか?」


朧月がしばらく考える


「恐らくだが……災厄者と呼ばれる人たちは皆知っておると思うぞ」

「となると……この世界で異世界人と戦えるのは……」


マリが呟く


「災厄者と同じ異世界人……もしくはとんでもない力を持つものだろうな……例えばマリ……とかな」

「え?私?」


マリが目を見開く


「お主の強さはわしの鑑定眼で一目瞭然だ」

「つまりこの3人は最低でも異世界人と戦えるということですよね?」


早紀が呟く


「だがマヤ帝国を相手にするには少なすぎる…あそこにはほとんど異世界人しかいないだろうしな…1つ方法があるとすれば…」

「災厄者たちとのギルド国貿易?」


早紀が呟くと朧月が大きく頷いた。


「基本災厄者にはインペッシブルスキルと言う隠れ能力…ユニークスキルの上位版を持っているが…その能力を持つものはかなり少ない」

「私持ってるけど…」

「え!?」


今まで黙っていた早紀がマリの言葉に驚くような声を出す。


「私は竜眼(オボロアイ)というインペッシブルスキルを持っている。まあどんなのかというとおもに空間支配・絶対防御・精神支配だ」


(何……そのやばいやつ詰め込んでみた系のスキルは…)


「私は灼熱地獄マリエルっていうインペッシブルスキル持ってるよ!」


マリがエッヘンという顔をする


「ちなみに灼熱地獄マリエルの能力は能力改変・空間破滅・並列演算!」

「何でこんなところにインペッシブルスキル持ちが2人もいるんだ……」


朧月が頭を抱える


「インペッシブルスキル持ちってそんなに少ないの?」


早紀が朧月に聞く


「あぁ…この世界で100人もいないだろうな…なんせ取得条件が全く分からないんだ。生まれつき持っている者もいればある出来事により目覚める者もいる」

「へぇ…私もインペッシブルスキルなんなんだろうって思ったらそういうことだったのね…」


マリが呟くと早紀が不意に思った。


(ねぇ私のインペッシブルスキルって何?)


この問いに文字が答えてくれる


[はい解析が終了しました、早紀さんのインペッシブルスキルは能力創作・些奇恵瑠サキエルです]


(能力創作?些奇恵瑠(サキエル)?なにそれ…)


その疑問も文字が答えてくれた


[能力創作は新たに能力を作り出すことが可能となります。そして些奇恵瑠サキエルの能力は主に並列演算・未来予知・監視鑑定・時空間支配・能力改変・能力透視・無限能力収納・時間停止があります。まぁ…いわゆる私ですね。ちなみに能力透視というのは相手のスキル及び能力インペッシブルスキルなどを視ることが出来ます]


とまるで意識があるかのように文字が流れた。


(というか声に出してほしいんだけど…)


突如文字が現れる


[自動能力創作によりサキエルに声が付くようになりました]


(あっ…ついた…よろしくねサキエル!というかあれなのかな…この能力創作とサキエルは両方発動できるのかな…)


(はい!早紀さん!任せてください!能力創作で新たに作り出した能力を解析鑑定し自動で即座に発動を可能にすることが出来ますのでご心配なく!また私の無限能力収納により能力を無限に記憶することが出来るので、もしも忘れてしまっている場合も安心してください。私が自動で最善能力を発動します)


早紀は思った以上に女の子のかわいい声に驚く


(てっきりゲームなどでよく見る機械ボイスかと…まぁつまりどれだけ多くの能力を新たに作ってもサキエルが記憶して解析鑑定してくれるからまぁ…大丈夫か…)


「んで…そのマヤ帝国に勝つためにはもっと私たちが強くなる必要がある」


朧月が話を続ける


「じゃあどうするの?」


マリが呟く


「ちょっと待ってよ…さすがに戦闘を考えるの早すぎない?私そもそも戦闘をしたくないんだけど」


早紀が慌てて話を遮る


「主…そうだな今は楽しく冒険が出来ることを喜ぼうか。じゃあここで寝るか」


朧月が話し終わると3人はその場に横になった。


(そういえばもしも戦いになるとき皆を守る盾みたいなの欲しいな…)


と早紀が考えるとまた目の前に文字が現れる


[自動能力創作により新たなスキル【空気シールド】を獲得しました。さらに今からサキエルとの連結を行います。成功しました。これにより自動でスキルをサキエルに送ることが出来るようになりました]


(早紀!解析鑑定終わったよ!空気シールドは空気を限界に圧縮することによって味方を守ることが出来ます。また魔力が多ければ多いほどシールドを張る大きさや強度を高めることが可能です!)


今度は脳裏に声が聞こえる


(サキエルありがと!)


(こちらこそです!)


早紀はこんな会話をしながら眠りについた。


朝…早紀が起きると何やらもう乗り物が動いていた


「おっ…主起きたか」


朧月が運転しているのか前に座っている。


「あれ?朧月って運転できるの?」


早紀が朧月を見る


「ん?あぁ…一応5000年は生きているからな…大体の乗り物の操作は分かるぞ」


(ん?5000年?竜族ってそこまで長生きなの?)


(竜族の寿命は平均約1000年です!ですが古代竜の場合は無限の可能性があります)


サキエルが答えてくれる


(無限!?頭おかしいでしょ…)


早紀は思わず驚いた


「ねぇ!あそこ広い平原になってるよ!ちょっと休憩しようよ」


マリが背中をたたく


「まぁ…本当にこの乗り物は乗り心地はねぇ…」


早紀がため息をつく


「よし…じゃあここらへんで休憩するか」


朧月は平原の真ん中で乗り物を止める。


「じゃあ主私は夜ご飯を狩りに出てくるぞ」

「朧月!私も連れてって」


と朧月とマリが平原を走っていった。


(また前みたいに1人になりましたか)


(サキエルうるさい!前は友達がいなかったのよ!)


早紀が思わず心の中で叫ぶも周りを見渡した。


(さて…どうしようかなぁ…みんな帰ってくる時間分からないし…)


[能力創作により新スキル【追跡】を獲得しました]


(追跡スキルの解析鑑定が終了しました!追跡スキルは味方の帰ってくる時間を予め予知することが出来ます!帰ってくる時間は4時間後です!また暇になりますね早紀さん)


(いや…暇って…じゃあ何かいい方法はないの!?)


(そこは自分でお願いします!)


早紀は思わず両手を挙げた。


(ふっ…)


かすかにサキエルの笑いが聞こえた…気がした。


「4時間でしょ…じゃあ昼寝でも…サキエル3時間後に起こして」早紀が1人で呟く


(了解しました!ゆっくりお休みなさい)


早紀は乗り物の荷台に横になりそのまま寝てしまった。


そのころマリと朧月は平原を抜け森を歩いている。


「マリここで食材調達しようか」


朧月が呟く


「いいよーそれで何取って帰るの?」


マリの言葉に朧月が少し考える


「そうだなぁ…主は恐らくここにある食べ物は恐らくだが口にしたことがないはずだ」

「昨日の異世界人?という話ですか…いまだに信じられない…早紀が異世界人だなんて」

「昔この世界は異世界人によって滅ぼされた…まぁ…だが主はたとえ異世界人だとしても絶対に私たちの味方だろ」


朧月がマリの頭を撫でるとマリは大きな返事をした。


その後2人はどんどん木の実を取っていく


「朧月ー木の実は何個取れた?私13個なんだけど…」


マリが朧月に顔を見る


「20個だな…おかしいこんなに木の実がないことなんてあるのか?」


朧月が唸る


「最近いろんなところで異変が出てきてるよね…」


マリが悩むと地面が揺らぐ


「何これ?」


朧月とマリが背中合わせに周りを見ると目の前に巨大な石の塊が動いている


「あれは…ゴーレム?」


マリが首を曲げる


「何でこんなところに…しかも数が多いな」


朧月が剣を抜く


「まぁ…私達なら余裕でしょ…」


マリの言葉に朧月も笑う


「だけどこんなにゴーレム見るだけでも20体はいる…C+以下ランクの冒険者だと勝ち目はないぞ…」


朧月が呟くと2体のゴーレムの手が2人に襲い掛かる。


バン!と音が鳴り砂ほこりが舞う。マリと朧月が片手でゴーレムの拳を止めたのだ。


「んで…どうする?」


マリと朧月が拳にデコピンをする


「ぐぁ?」


ゴーレムが軽く首を曲げるとゴーレムの腕が大爆発を起こし2体のゴーレムが跡形もなく消し飛んだ。


「剣使う必要なさそうだな」

「さっさと終わらせようか」


朧月が剣を収めると2人はあっという間にゴーレムを倒し切った。


「ゴーレム強くなってるよね…」

「あぁ…私たち2人で5分もかかったもんな…ほかの冒険者なら5時間はかかるだろう…」


朧月が呟く


「動物の肉も欲しいよね」


マリは不意に思いつくように朧月に聞く。


「あぁそうだな…さて続きをしようか」


2人は木の実と動物の肉を取っていった。


(早紀さん!早紀さん!起きてー!)


「う…うーん」


早紀は目を開ける


「もうこんな時間に…」


と乗り物を降り伸びをする。


(さてと…何しようかなぁ…そうだ!この乗り物…速度も遅いし乗り心地も悪いからちょっと変えるか…でも変えれるのかな?)


(はい!作りたい乗り物を想像すれば素材があれば作ることが可能です!)


(素材居るのか…そうだ能力創作で素材なしでも生み出せる能力作れないかな…)


[自動能力創作により新能力【想像創作】を獲得しました]


(はいきた!)


(解析鑑定が終了しました。想像創作は物体を想像するだけでその場に具現化し制作することが出来ます!なお錬金術は想像創作スキルを獲得したため消去しました!あと!能力創作と想像創作をリンクさせることに成功しました!これにより想像創作した物に能力を付けることが可能になりました!)


とサキエルが説明してくれた。


(よし!まぁ…今は前に乗り物があるからベースはこの乗り物にするか…どんな形にしようかなぁ…あっ…そうだあれにしよう!大きさも……アレくらいにしたらいいかなぁ。ギルドになるならと考えると……そうやねアレでいいや)


早紀はそのまま両手を前に向けた。

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― 新着の感想 ―
サキエルの能力の幅が広くて自由で凄くいいのじゃ!どんどん新たな能力を作っていけそうで面白くなってきたのう!更に敵の詳細もわかってきたのじゃ。異世界人との衝突になるかもしれんのう。面白かったのじゃ!
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