表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/120

12話 豪華な出発


白い空間にて


「お疲れなのじゃ~」


赤服の女の子が笑っている


「あぁ…かなり疲れた…」

「でもこれでマリさんと朧月さんがどれだけ強いかわかりましたね」

「というか」


赤服の女の子が青服の女の子を見る。


「お主使ったら早紀が戦う必要ないじゃろラファエル」

「そういうミカエルは戦いたくないのですか?」

「わしも戦いたいわ!じゃが今回はウリエルだったしなぁ…」

「なんだ?不満か?」

「まぁまぁ…別に良いじゃないですか」

「お主は呑気じゃのうガブリエル」

「はい!今も楽しいですから」


ガブリエルが大きく頷くと4人はまたモニターらしきものを眺めた。


「おはようー」


早紀が目をこすりながら起き上がる。


「主!」


朧月が叫ぶ


「どうしたの!?」


あまりの大きな声に早紀の肩が震える。


「手紙だ」

「ちょっと…それならそんなに大きな声を上げなくてもいいじゃん…」


マリも耳をふさいでいる


「あぁ…すまん」


朧月は首を下に向ける


「あれ?ラミ王女からだよ」

「そういえば報告のこと言ってたね…」


早紀の言葉にマリが頷いている


「とりあえず読むね」


と早紀は手紙を開ける。


[天優団の皆様、本日はあなた方が冒険に出ていかれることを私はとても嬉しく思います。些細なものですが前回のお礼をさせて頂きたいので12:00までに王宮に来てください。王女ラミより]


「へえ~ラミ王女って今日の事覚えていてくれたんだね」


マリが覗き込む


「12:00と言ったらあと1時間か」


朧月が時計を見る


「じゃあそろそろ出かける準備をしましょうか!私たちの旅はこれからだよ!」


マリが笑っている。


(そういえばそうだった…忘れてたけど私冒険者だったんだっけ…冒険っていう冒険に一回も出たことなかったなぁ…外ってどうなっているんだろ)


「皆さんもう出ていかれるのですね」


フローラが寂しそうに下を向く


「短い間ですがお世話になりました!」


早紀の言葉に3人は深く頭を下げ出て行った。


「そういえば2人に聞きたいんだけど」

「ん?どうしたの?早紀」

「なんでも相談に乗るぞ!主よ」


早紀の質問にマリと朧月は早紀の方を向く。


「盗賊とかってやっぱりいるの?」


2人は目を見開いた


「まさか早紀盗賊の事も知らずに冒険に出るつもりだったの?」


マリから逆に質問をされる


「まぁ…なんだ主はまだ冒険者の生まれたてだ…知らないのは当たり前か…よし!私が説明してやろう」

「ちょっと待ってよ!何であなたが説明するのよ!そこは早紀と一番仲がいいこの私が…」

「私の主だぞ!私には説明する義務がある!」


(朧月…それは違うと思うけど…ってか何で2人して私を取り合ってるのよ!)


早紀はついつい心の中で叫ぶ


「とりあえず!誰でもいいから説明お願い!」


早紀が睨み合っている2人に叫ぶ。


「それじゃああれで決めるか」


朧月が手を握る


「えぇ…仕方ないわね…」


マリも手を握ると2人からとてつもないオーラを感じる。


(待て待て!ここで戦う気!?町が滅んじゃうよ!)


と早紀は思ったがどうやら違うらしい『せーのっ!はいっ!』2人は拳と拳を向けている。


「相打ちか…」


朧月が呟く『せーのっ!はいっ!』今度は見たことないようなガードのポーズをしている。



(あれは…じゃんけん?けど何か違う気がする…)


「あの…それって?」


早紀が2人の方を見る


「あぁ…これは決め対決と言ってな…」


朧月が説明をしてくれる。朧月が言うにはいわゆるじゃんけんのようなものでグーとパーは同じ形をするがチョキは違うみたいで手刀の形らしい…。


「……それでなこの拳の事を石、この手の事を剣、最後にこのガードのように手を前に出すのを盾と呼ぶ…強さだが…石は、剣に弱く、剣は盾に弱く、盾は石に弱い関係になっている」


朧月が詳しく説明してくれた。


(えっ…ということは私たちの世界のじゃんけんと逆?いや…そもそも形違うか…。まあ…今の事を私たちの世界で例えるなら…グーはチョキに弱くてチョキはパーに弱くて…パーはグーに弱いってことか…まったく逆だ…ん?)


「そういえば何で石は盾に強いの?」


早紀が朧月に質問する


「盾は遠距離攻撃はなかなか防ぐことが出来ないから石は盾より強いって昔から言われている。ちなみに剣は石もろとも叩き切るから石より強いってなっているぞ」

「へぇ…決め対決の歴史ってそうだったんだ…」


マリもどうやら初耳だったらしい。


(ってことはもうこの世界ではグーチョキパーの概念を忘れて石剣盾と覚えた方がいいか…)


「続きだ!」


マリと朧月は決め対決を始めた


「せーのっ!はいっ!ちょっと朧月!遅いよ!」


どうやらせーのっ!はいっ!だけの掛け声だと2人の息が合わないらしい…何回も怒りながらやり直している。怒る度に周りの視線が来ている。なぜならここは商店街?のど真ん中だからだ。


(まぁ合わないだろうなとは思ってたけど…どうしようかなあ…じゃんけんでは最初はグー!で始まったけどこの世界そんなの無いし…最初は石!っていうのもおかしいよね…あっそうか強さで決めてるなら)


「ねえ2人とも、どちらが強いかせーのっ!はいっ!に合わせて一回やってみて」


2人はー瞬顔を曲げるもまた振り向く。


「行くよ朧月!」

『どちらが強いかせーのっ!はいっ!』

「やった!私石!」

「なんだ盾かよ負けた~」


朧月がまた頭を下げた


「この掛け声すごくいいね!揃いやすいよ!」


マリがはしゃいでいる


「それより今の時間は…」


早紀はたまたま見えた広場の時計を見る。


「11時45分!?やばいよ2人とも!急ご!」


早紀の言葉に2人も慌てて王宮に向かった。

3人は何故決め対決をしたのかすっかり忘れていた。


「なんとかついたね…」


早紀が門を見上げる


「えっと…今で50分だね」


マリが門の上にかかっている大きな時計を見る。


「それより主よ門番に手紙見せた方がいいんじゃないか?」


朧月が早紀の顔を見る


「そうだね」


と早紀たちは門番の前までくる


「なんだお前たちは?ここは一般人が来て良い場所ではないぞ」


門番が険しい顔で見てくる


「はい、私たちはラミ王女に招待されてこちらに来ました」


と早紀は手紙を見せる


「ふむ…確かにラミ王女の字だ…よかろう…もう時間もない急いでいくようにな」


と門番は笑顔になりながら門を開けた。


「ところで主よ」


廊下を歩いているとき朧月が早紀に聞いてくる。


「どうしたの?朧月」


早紀が振り返る


「ラミ王女は私の事を知っているのか?」


早紀ははっと気づいた


「そういえば私と早紀しか知らないよね?」


マリも急に不安になったようだ


「そうだね…古代竜だということが分かればもしかしたら警戒されるかもしれない…」

「まぁでもラミ王女なら大目に見てくれますよ」


マリが笑う


「そうこう言っている間にもう着いたね」


早紀が大きな扉をノックする


「はい」


中から声がかかる


「すいません手紙によって呼ばれた早紀です」

「あっどうぞ」


と扉が開いた


「お待ちしておりました!天優団の皆様!」


目の前には騎士たちが槍を構えて立っていた。


「なにこれ…」


中にはごちそうがたくさん並んでいた。


「お待ちしておりましたよ早紀さん、マリさんそして朧月さん」


奥からドレスを着た女の子が歩いてくる。

すると騎士たちはいっせいに膝をついた。


「ラミ王女様これは一体…」


早紀が周りを見る


「はいっ!あなたたちにはギルド潰しそしてドラゴン…いえゴブリンからの仲間の解放、ゴブリン討伐などとても助けて頂いたので…シェフや騎士たちにお願いしてこのようなパーティーの場を設けさせていただきました。今日はゆっくりと楽しんで明日冒険に出られてはどうでしょうか?」


ラミが首を曲げる


「そうだね…そうさせて頂きます」


早紀が頭を下げるとラミは朧月の方を見る。


「ゴブリンたちから仲間を守っていただき感謝してます。朧月さん」

「なんだ…もとから知っていたのか…」


朧月がため息をつく


「はい、冒険者ギルドの方からお話は伺っております」


とラミは3人を丸いテーブルに案内をした。


「ということで!天優団の冒険ということで私ラミが言葉を述べたいと思います!」


ラミが前の祭壇に上ると周りから歓声が沸く。


「えっと…こんなお祝いしてもらっていいのかな」

「良いんですよあなた方は私たちの恩人なんですから」


と料理を運んできてくれた


「…ということであらたな旅立ちを祝して乾杯!」

「かんぱーい!」


周りも叫んだ


「主!このお肉すごく美味いぞ!」


朧月がお肉をどんどん食べている。


「ちょっとは加減して食べなさいよ朧月!」


マリが隣で怒っている


「良いんですよ!料理はたくさんありますからどんどん召し上がってください」


3人はお腹が大きくなるまで食べ続けたのだった。


「ふぁ~美味しかったな主!」


朧月が椅子にもたれかけている。


「さすが竜ですね…この量を1人で食べきるなんて」


ラミが笑いながら歩いてくる


「それより皆さん明日渡したいものがあるので10時頃に門の前まで来てくれませんか?」


3人は頷くとラミが用意した部屋に向かった。


「ここだっけ…?」


早紀が目の前に見える巨大な扉を見上げる。


「さすが王家…」


とマリが扉を開く


「おぉ~!」


3人は目の前の広い部屋に目を丸くする。


「凄いぞ主!」


朧月がさっそく布団に飛び込んでいる。


「ちょっと朧月!暴れたらだめ!」


マリが叫ぶ


「マリは細かい女だなあ」

「なんですってぇ!?」


マリと朧月がまた睨み合っている。


「とりあえず寝ましょうか明日も早いんだから」


早紀が布団に入り込む


「じゃあ私は主の隣だな」


と朧月が早紀のベッドに入ってくる


「ずるいよ!早紀の隣は私なの!」


とマリも逆側にはいってくる


「あー!もう暑苦しい!皆別々!」


早紀が叫ぶと2人は下を向きながら自分のベッドに入った。


「ふあぁ…」


早紀はゆっくりとベッドから降りる。

マリと朧月はまだぐっすりと寝ているようだ。


(集合は確か10時だっけ…あと1時間か)


「おーい2人とも朝だよ!」


早紀は部屋のカーテンを開ける


「あるじぃ…もう少し…」


朧月は枕を抱きかかえている。


「ダメ!早く起きろー!」


と早紀は2人の布団を取り上げる


「まったく……もっと別の起こし方があるでしょ…」


マリが不機嫌な顔をする。


「いやぁ主私は普段こんなベッドに寝ることないからなぁ…なかなか新鮮だったぞ!」


朧月はいいベッドに寝れて幸せのようだ


「とりあえず支度して広場に向かおうか」


早紀の言葉に2人は慌てて支度をした。


「ところで早紀、何か渡したいものについて心当たりある?」


3人が廊下を歩いていると不意にマリが質問をする。


「なんだろうね…パーティーもしてくれたし何もないと思ったけど」

「主、見えてきたぞ」


朧月が前を指さす


「あれは馬車?」


早紀たちがラミのところまで行く。


「おはようございます皆さん」


とラミが頭を下げる


「これは馬車ですか?」

「馬車…ではありませんが乗り物です。あなたたちは見る限り乗り物を購入していないと思ったので私からはこの魔力で動く乗り物を差し上げようと思ったのです」

「え!?まさか魔道車!?」


マリから高い声が出る


「なんだマリ、どうかしたのか?」


朧月が首を曲げる


「そりゃどうかしますよ!魔力で動く乗り物は世界でも数台しか作られていなくて…すべては王室の方々がお乗りになられるんですよ!この乗り物一台約金貨100枚以上の乗り物ですよ!」


マリが説明する。


(金貨100枚以上ということは…1000万円以上!?見た目全部木だけど…)


「私特性なのですべて合わせると金貨500枚ほどになりますがこの乗り物は私からのプレゼントです。どうぞお使い下さいませ」


ラミが頭を下げる。


(まさかの5000万!?まぁそうか…普通は馬車が主流だもんね…見た目はなんだろうなぁ…外国のバスをめちゃくちゃ小さくしたような感じかな…軽自動車……くらいだと思うけど、この世界ではこれでも巨大な方なのか…)


と3人が中に入る。


「この乗り物はこちらのレバーを引くことによって魔力を放出し動きます」


とラミがハンドルらしきものの隣にあるレバーを指さす。


「もうこのレバー上にあげるだけで動くのですか?」


早紀がラミに聞くとラミは首を縦に振る。


(えー…鍵無いってことはアクセルだけなのね…誰にでも乗れるじゃん…)


「それで止まるときは左側のレバーを上にあげれば止まりますので」


とラミが頷く


「最後にこれを」


ラミが早紀に何かカードらしきものを渡す


「これは許可証ですたまに厳重に警備されているギルド国もあるので私の知り合いということが分かればすぐに受け入れてくださると思います」

「分かりました!それでは…」

「早紀さんちょっと」


と早紀だけ呼び出される


「なんだ?主何かしたのか?」


朧月が乗り物の椅子に座って外を眺めている。


「大事な話があるんでしょうね!いやぁこんな乗り物に乗れるなんて!」


マリはどうやら興奮が収まってないらしい


「それでは天優団の皆様!お気をつけて行ってらっしゃいませ!」


とラミが王宮の門を開けた。


「マリ!朧月!行くよ!」

「任せてよ!早紀!」

「私はずっとお供しますぞ!主!」


後ろからの返答が聞こえると早紀は乗り物を動かした。


「見てみて!めっちゃ見てくるよ」


マリが外を見る


「そりゃあこんなもの乗ってたら目立つだろう…」


朧月がため息をつく


「2人ともこの街から出るよ!」


早紀が叫ぶとそのまま門を抜けた。


(うーん…でもやっぱり自動とはいってもスピードは馬車よりも少し早いくらいか…それに椅子も木でできているから背中ものすごく痛いなぁ…次の街もしくは村に着いたらバス作れないかどうか試してみるのありかな)


早紀が軽く笑った。


「それにしても快適だねマリ」


早紀が後ろを振り返る


「ここら辺はずっと平原だもんね」

「だが主私の予想だがこの先に小さな村があるはずだぞ」

「朧月、何時間かかるかわかる?」


早紀がまた前を向く


「そうだなぁ…約2日ほどか…」

「全然この先じゃないじゃん!」


早紀は思わず驚いた声を出してしまった。


「2日なら近いだろう」


朧月も驚いているようだ


「マリそうなの?」


早紀は確認のためマリに聞く


「うーん…そうだね大体どこか行くときは1週間は最低でもかかるよ」

「ううぇ…」


(なるほど…だから全然平気なわけね…)


早紀は首を落とす


「まぁなんだこれで晴れての私たちの冒険が始まったのだぞ主!楽しもうじゃないか!」


朧月が笑っている


「まぁそうだね!」


早紀とマリもつられて笑った。


(そうだよね!念願の冒険に出られたわけだし楽しんだ方がいいよね!今はまだ3人だけどこれからもっっっと増やして目標は国を作りたいなぁ)


早紀はそんなことを思いながら乗り物を走らせていた。


この時はまだ誰も知らなかった天優団がとんでもないことになっていくことを…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 馬車ではなく、魔道車とは凄いのじゃ!いよいよ早紀とマリと朧月の冒険が始まるわけじゃが、一体どんな冒険になっていくのじゃろうかのう?不便もあるじゃろうが、楽しい冒険になっていくんじゃろうか?…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ