10話 ドラゴン討伐
馬車に揺られている3人はいよいよドラゴンが住む岩の山に入っていく。
「ここがドラゴンがいる山ね」
シオンが振り返る
「うーん…今のところ何もないけど…」
早紀とマリは荷台で横になっている。
「あのねぇ…二人とも!ドラゴン討伐は遊びじゃないのよ!」
シオンが叫んだ。
「グルルルア!」
と鳴き声が響く
「ドラゴンよ!2人とも降りて!」
シオンが叫ぶと2人は慌てて馬車を降りる。
「あれが…」
早紀は目の前にいる巨大な竜を見上げる
「あれは…まさか……最古から存在する竜……」
「古代竜ですって!?」
シオンの言葉にマリが驚いた顔をする
「早紀逃げ…」
マリが振り返ると早紀はドラゴンの背中にいた
「うわあ!高い!見てみて!マリ!」
「って何してんのよあんたわぁ!!」
シオンがまた大きな声で叫ぶ。
「なんか気に入られちゃって!」
早紀は竜の頭を撫でている
「ところで…古代竜なら確か人間型に変身できるんだっけ?教本だと」
早紀がマリの顔を見る
「名前を付けたら人間型になると書いてあったけど……私見た事ないよ?」
「まさかあなたたちこの竜を仲間にするというんじゃないですよね!?」
シオンが驚いた目をする
「まぁ…この竜も全然悪い竜じゃなさそうだし…」
早紀が竜の顔を見ると竜は寂しそうに首を下に向ける
「朧月!これからあなたの名前は朧月ね!」
早紀が竜の顔を見ると竜は黒く光り輝く
「うそでしょ!本当に古代竜を仲間に引き入れるなんて…」
シオンが目を見開くとマリはシオンに近づく
「ねっ私たちでもドラゴン討伐できるでしょ?」
「もう…何も言いませんよ…」
3人はそのまま黒い光を見ていると中から可愛い女の子が出てきた
「あなたが私の主……そして私の名前は朧月だ」
と女の子が現れる。
(超かっこいい!!古代竜が人間姿になるとこんなにかっこいいの!?刀を持っているということは刀使いなのかな?)
早紀はそんなことを考えながら朧月からのギルド加入申請を承諾する。
「これで3人だね早紀!」
マリが早紀の手を握る
「それで朧月さん」
シオンが詰め寄る
「あなたのせいで何人の冒険者や騎士たちが犠牲になったと思っているのよ!」
「あぁ…それで私の討伐に来たということか…わかったついてこい」
朧月が歩き出すもシオンは乗り気ではなかった。
「大丈夫ですよシオンさん朧月は私たちの味方ですから」
早紀が笑顔になる
「…分かりました」
シオンはしばらく考えると大きく頷くとマリ、早紀、シオンの3人は朧月の後を追っていった。
「あれは洞窟?」
早紀は目の前に見える大穴を指さす
「ここが私の家だ」
早紀たちが中に入っていくと大きな扉があった
「大きいなぁ…」
「まぁ朧月は巨大な古代竜だもんね」
マリが朧月を見ると朧月は気にせず扉を開く
「おかえりなさいませ!竜様…おおお…」
と何人かの冒険者たちがお出迎えすると朧月の格好を見て驚く
「……あなたたち…ここで何をしているのですか…?」
シオンが驚いた目で見る
「この人たちが森でゴブリン退治をしていたところを私が見つけて助けたのよ」
朧月がため息をつく
「えっ!?ゴブリン!?何で…ゴブリンがこんなところに…」
シオンが頭を悩ませる
「私も良く分からんが…私は古代竜だ私を襲うことはない」
3人はようやく合点がいった
「つまり助けてくれていたのですね」
シオンがホッとしたのかその場に崩れ落ちる。
「あぁ私もなかなか竜の姿だと人里にこいつらを連れてはいけないからな」
「なら誰かに名前を付けてもらったらよかったんじゃないですか?」」
マリが朧月に聞くと険しい顔をする
「私も一応心はある、名前という大事なものは私自身が決めたくてな」
朧月が早紀の顔を見る
「まぁ今はこうやって主にも出会えた」
朧月が早紀の方に歩く
 
「皆さん帰りますよ!」
シオンが叫ぶと50人はいるだろうか…の人たちが一斉に歩いて行った。
「ところで主よ、一つ聞いていいか?」
朧月が隣を歩いている早紀に聞く
「はい?」
「その…だがな私でも泊まれる宿屋はあるのか…?」
早紀ははっと気づいた
「そういえば2人部屋でしたね…あそこ」
マリも思い出した。
「えええ!?古代竜!?」
フロントの人が叫ぶ
「まぁ…そういうわけで仲間になった朧月だよ」
と早紀が頭を下げる
「宿屋のオーナーのフローラです…ってそうじゃなくて!何でそんな上位竜があなたの使い竜になってるのよ!」
フローラが叫ぶ
「私が選んだのだ、文句あるなら私に言ってくれ」
「ひええ」
朧月の周りには異様なオーラがにじみ出ていた
「と…とりあえず3人部屋ですね…分かりました手配いたします」
フローラは慌てて奥に走っていった。
「なぁ主よ…私変なこと言ったか?」
朧月が振り返る
「あんたはもう少し気迫を隠しなさい…そんなんじゃ周りから怖がられるよ」
マリがため息をつきながら答えた。
「それにしても良くドラゴン討伐依頼を成功にしてくれたねシオンさん」
「私何も悪いことしてないぞ、なのに古代竜だからってみんなして襲い掛かってくるから仕方なくだな…」
朧月がため息をつく
「……ちなみに聞くけどそれで倒した人数は?」
「確か10000人ほどだったか……よくもまあ私にケンカを売ってきたものだよ」
(それは確かに討伐依頼出されますよ…)
マリと早紀は同じことを思いながら朧月の話を聞いていた。
 




