9話 初めての依頼
マリとの特訓からもう一か月がたったある日…
「ねぇ早紀、討伐依頼受けてみない?」
マリは部屋の机に座り本を読んでいる早紀の方を見る
「討伐依頼?」
早紀は首を曲げる
「うん、もう早紀は十分剣も強くなったしそろそろ本格的に魔物やモンスターを狩った方がいいと思うの」
「確かに…ずっとマリとの訓練も飽き…こほん…マリとの訓練もマリが大変だろうし…」
「へぇ…飽きてきてたんだねぇ、私が教えている間もそんなこと考えてたんだ」
マリは早紀のほうに歩いてくる
「え!?いや…そんなことはないよ!!」
早紀は慌てて言い訳する
「それより依頼ってどこで受けるの?」
早紀はマリの顔を見る
「確か冒険者ギルドに紙が貼ってあったでしょ」
(そういえばあの時やたら人が多かったのはそういうことだったのか…というか…ファンタジー世界特有の依頼クエストきたあ!)
「どうしたの早紀?そんな一人でニヤニヤして」
マリは心配そうに早紀の顔を見る
「なんでもないよ!とりあえず行こうか!」
マリと早紀は冒険者ギルドに向かった。
「おや早紀さんと…マリさんですか今回あなたたちがここに来たのは依頼かな?」
シスターの服を着たおばさんが歩いてくる。
「お久しぶりです!はい!討伐依頼を受けに来ました何かありますか?」
2人も頭を下げた後、前を見る。
「それが今は無くてのぉ」
2人は顔を見合わせる
「冒険者ギルドが依頼ないなんてことあるんですか?」
早紀が目を丸くする
「私が説明します」
と奥から女の人が歩いてくる
「あなたは?」
マリが聞くとおばさんが答えてくれる
「私の娘じゃ…まだ20歳だからお前たちと息が合うと思ってな次来た時からは任せようと思ったのじゃ」
「はい、私はシオンと言いますギルドマスターの娘で今日からあなたたちの案内人になりますのでよろしくお願いします」
シオンが2人に頭を下げる。
「こちらこそよろしくお願いします」
2人も慌てて頭を下げる。
「なるほど…ドラゴンが現れたから通常依頼を受けている場合じゃないってことね」
マリが呟く
「ちなみに聞きますがドラゴンはまだ倒されていないのですか?」
早紀がシオンに聞く
「はい…こちらからも沢山のギルドの人たちにお願いをしたのですが…全滅しました」
シオンは悲しそうな眼をする
「私たちが行きます」
「ちょっとマリ!?」
早紀がマリの顔を見る
「あなたたちでは無理ですよ…」
早紀もうなずく
「でも…たくさんの人たちを危険な目に合わせているドラゴンを放っておくわけにはいきません」
マリはシオンの顔を覗き込む
「ですが…ほら早紀さんもあまりお勧めできないような顔してますし」
「うんうん!そうだよ!だってどうやって行くのさ!」
「え!?そこですか!?」
シオンがさらに驚く
「まぁ…馬車借りたらいけますが…」
「行ける距離ならいいかな…」
シオンは早紀の答えに目を見開いていた。
「んで…ドラゴンってそんなに強いの?」
馬車に揺られながら早紀がマリの顔を見る。
「ドラゴンは最強種族の一つですレベルはD+の1500から2000はあります」
馬車の手配をしてくれたシオンは心配らしくついてきたようだ。
「1500から2000ですか…」
早紀はとんでもない数字に目を見開いた。
「まぁ私と早紀とシオンが居れば何とかなるでしょ」
マリはのほほんとした顔で外を見ている
「マリはもっと緊張感を持ってほしいです!」
シオンが叫ぶそんな2人の言い争いに何故かほっこりする早紀だった。
「今日はここで寝ましょうか」
シオンが平原に馬車を止める
「ご飯~」
マリが両手を挙げる
「よっと」
早紀が手を伸ばすと手の光の中からテントが出てきた
「ええ!?それ収納魔法!?」
シオンとマリが目を見開く
「そう簡単に収納魔法を使われたら私の立場無いわぁ…」
シオンがふてくされたように横を向いた。
「いやぁ…まさか初依頼がドラゴン討伐なんて…」
3人は焚火を囲むように座っている
「まあ…いいじゃない!」
早紀の問にマリが答える
「そういえばシオンさんどうしてこの国の騎士はドラゴン討伐に行かないのです?」
早紀がシオンの顔を見る
「遠征には行っているけど全滅したのよ」
「そうなんだ…あっ!肉焼けたよ!」
マリが肉を渡す。
「いただきまーす!」
早紀は笑いながら肉をほおばった
「はぁ…もう私は何も突っ込みません…」
シオンも呆れながらお肉を食べた。
ある白い空間にて…4人の女の子が向かい合いながら話している
「いきなりドラゴン討伐依頼とか早紀達は一体何を考えておるんじゃ」
赤い服を着た女の子が呟く。
「まったくだ…だが…マリは相当強い」
金色の服を着た女の子が答える
「マリさんに関しては強さが未知数です…でも早紀さんとは少し違う強さですね」
水色の服を着た女の子が水を飲んでいる
「さっきからすごくその水飲みますよね」
緑色の女の子が振り返る
「この水を飲むと癒されますから」
と笑っている
「そんなことよりわしらはいつまでここにいるのじゃ?」
「まぁ…早紀さんが気づくまで待ちましょうよ」
水服の女子が水を置く
「ちょっと待て召喚魔法使いの君ならいつでもあっち側に出れるんじゃないのか?」
金服の女子が緑服の女子を見る。
「まぁ…まだ出るときじゃないと思うから…それまで早紀さんとマリさんの強さをここで楽しみましょうよ」
「マリの強さはわしも気になるのぉ」
赤服の女の子も笑って答えた。




