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第009話 0日目 キャラクタークリエイト③

 さて最重要課題である、キャラ構築(ビルド)の開始である。


 まずアルジェが意識を向けたのは


 『種族レベル:人間(MAX:5)』

 『(ジョブ)判定:-』

 『天性能力(タレント)希少(レア)ドロップ上昇 最終与ダメージ*1.05 最終被ダメージ*0.95』

 『獲得能力(アクワイア):取得経験値*1.05 能力値*1.1 老化減衰無効 不老』


 が一纏めになっている表示枠。


 この表示枠は任意で操作できる欄はないが、天性能力(タレント)獲得能力(アクワイア)が気になる。

 とても気になる。


 意識を向けると、案の定「やり直し」が可能だった。


 やり直す度に天性能力(タレント)のみが入れ替わり、他の三つは不動。

 他の表示枠の数値たちも確認してみるも一切変動していないことから、天性能力(タレント)以外は固定数値でスタートなのはまず間違いない。


 獲得能力(アクワイア)に関しては数も共通していることから、種族レベルが上昇するごとに取得する能力と見ていいだろう。

 ちなみに『種族レベル』へ意識を向けると「5:MAX――人間種としては最上位・仙人レベル」という説明がポップする。


 ――なるほど。


 レベル2で秀才、レベル3で天才、レベル4英雄、レベル5で仙人といったところ。

 経験値取得効率向上、基礎値ブースト、老いてなお軒昂を経て不老を得るわけだ。

 人間レベル5で、四つの獲得能力(アクワイア)を習得しているということだ。

 人間レベル1が常人ということで、特に能力は無いということなのだろう。

 どうやら人間種としては最高峰から開始できるようになっているらしい。


 となれば拘るべきは、マラソンするべきはここをおいて他にはない。


 何度かくりかえしてみた結果、常に二つか三つの天性能力(タレント)がランダムに与えられる。

 一つということもないし、四つ付くこともない。

 おそらくは天性能力(タレント)を持って生まれてくる者などごく稀で、プレイヤー特権とでもいうべき項目なのは間違いない。


 できれば三つを前提としたいところだが、アルジェが最重要と判断した天性能力(タレント)が二つ揃っているのであれば三つ目は諦めてもよいと判断する。

 これは絶対数よりも、有効な能力の組み合わせが優先される。

 とはいえアルジェの判断で甲乙つけがたい天性能力(タレント)が三つあった場合、三つが揃うまでやり直し続けるしかなくなるわけだが。


 本来であればノートに一度出た天性能力(タレント)をメモしていきたいところだが、どうやらアルジェの躰に宿っている脳は優秀なようで、一度見た内容は完璧に記憶できた。

 これがゲーム要素に限定されないのであれば、これもひとつの天性能力(タレント)と数えてもいいくらいだろう。


 納得いく条件が揃うまで止まることのできない、地獄の繰り返し。

 いわゆるリセット・マラソンの開始である。


 繰り返していくと稀に通常の文字色ではなく、金色の文字で記された天性能力(タレント)が付与されることがある。

 それらは通常の天性能力(タレント)で付与される数値部分がより大きいものになっている、いわば上位天性能力(タレント)とでも言うべきものだ。


 よってアルジェは「金色3つ」を最低条件と定め、その中でも己がより優位と思える天性能力(タレント)が並ぶまでくりかえすことを決意する。


 これは苦痛であり、愉しくもあるという、曰く言いがたい開始時のみの愉悦だ。


 だがずっとくりかえしているとまさかの赤字が出た。

 一つ目は『取得経験値減衰無効』というもの。

 

 これは文字通り、彼我のレベル差によって取得できる経験値が減衰しないというぶっ壊れレベルの天性能力(タレント)である。


 こういう能力設定があるということは、少なくとも基本的に敵一体から得られる経験値量は多少の上下こそあれ一定ということだ。

 自身がレベル1のときに、レベル1の敵を倒そうがレベル100の敵を運よく倒そうが取得できる経験値は基本的に例えば100。

 ある程度のレベル差によってボーナスが付与されるのであろうが、100の基礎値が1000になることなどはまずありえない。


 イベントボスや特殊な敵はその限りではないかもしれないが、通常レベリングという点においてはまずそうだろう。


 であれば『取得経験値減衰無効』は必須(マスト)だ。


 迷宮(ダンジョン)で言えば第一階層の魔物(モンスター)ですら、倒し続けるコトによってカンストが在るのであればそこに至れるという事なのだから。

 どれだけ自分のレベルが上昇しようが、際弱の敵からの取得経験値量が「おなつよ」以下にならないというのはぶっ壊れどころの騒ぎではない。


 次に出た赤字は『必要CP増加無効』


 これも必須(マスト)としか言いようが無い。


 『取得経験値減衰無効』と同じように、こういう能力設定があるということはあることを示唆している。


 つまり初期設定でこそ基礎能力値を1上昇させるために必要なCPは1だが、開始後はおそらくそうではないということだ。

 1から2にするのはCP1で可能でも、2から3にする際にはCP2ないしはそれ以上が必要となるであろうパターン。

 もっともだというか、良くある設定である。

 

 武技、魔法、AS(アクティブ・スキル)PS(パッシブ・スキル)についてはそれぞれ固定値が設定されており、階梯が上になるほど必要CPも上昇しているので『必要CP増加無効』の恩恵は無い。

 実際最初に『必要CP増加無効』が付与された際も、武技、魔法、AS(アクティブ・スキル)PS(パッシブ・スキル)がツリー状に表示されている取得に必要なCP値は変化しなかった。


 だが四つの基礎能力値と、おそらくは人間以上の種族レベルを取得する際にも間違いなく消費されるであろうCPの要求値が1のまま固定されるというのは大きい。


 基礎能力値と種族レベルの絶対値が上がれば上がるほどCP要求値も上がることはいわば順当で、それを無視できるとなれば超越者となれる。

 おなじ『CP:100』を持つ者同士であっても、『必要CP増加無効』のあるなしでその戦闘能力は天と地ほどの差が付くことになるからだ。


 そしてその差はより基礎能力値を上昇させ、上位種族のレベルを上げてゆくほどに大きくなってゆく。


 この(コトワリ)が適用される世界で強さを求めるのであれば、『取得経験値減衰無効』と『必要CP増加無効』の天性能力(タレント)を揃えて取ることははずせない。


 やりなおしになど期待できない以上、それは絶対だ。

次話 2/8 22:00前後に投稿します。

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