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第012話 1日目 チュートリアル②

 アルジェの意識はキャラクタークリエイトの時からキチンと連続している。


 連続しているといっても相変わらず要らん知識ばかりあって、自分に関する記憶というべきものは先のクリエイトシーン以降からしかないのだが。

 とはいえそれは今考えたところでどうなるものでもない。

 そういう問題に対しては、考えすぎて止まるよりはいったん棚上げしておくのが正解だ。


 ――この世界に、アルジェ・クラウィスとして今生まれたと思っておけばいいか。


 この世界。

 

 今アルジェの目に映っているのは、おそらくありきたりな迷宮(ダンジョン)内の風景である。

 少々暗く、じめじめしている石造りの一室。

 雰囲気からすれば低階層、序盤の攻略対象というのが一番しっくりくるだろう。


 ――まあいきなり深層部から開始されても困るわけだが。


 とはいえ開幕から見たこともないような不思議空間というのも結構燃えるものだが、そうではないらしい。

 まあオーソドックスというのも嫌いではないし、手堅いことは悪いことでもない。

 

 見たこともないようなステージや展開、派手な魔物などはイベント関連ででも見せてくれればいい。

 軸足となる育成ステージなどは、奇を衒っていないほうがいいだろう。


 アルジェは左肩にラトを乗せたまま、まずは自身を確認する。


 右手に「魔法遣いの杖」、左手は無手。

 身につけているのはわりと上等な感じのする、ローブっぽい一式。

 装備の表示枠にあるとおり、如何にも駆け出しの魔法遣いといった格好。


 装備欄で埋まっているのは、右手、胴、脚、足の四箇所のみである。

 後で一度素っ裸になって、実際に身につけているものと装備欄との相関関係を確認する必要があるだろう。


 今やったら何というかヘンタイくさい。


「…………」(ㅍ_ㅍ)


 ――いやだからここじゃ脱がないって!


 次に軽く体を動かしてみる。


 基礎能力値の力は「1」だが、貧弱な感じはまったくない。

 かなりしっかりした杖だが、持っていて重いとも感じない。

 充分人並みというか、毎日ある程度以上の運動をしている人のような感覚だ。


 わりと広いこの空間を動き回って見るが、敏捷性が「3」だけあってものすごくすばやい。

 走ればちょっとびっくりするような速度が出るし、軽くジャンプすれば超人かよというくらいに飛び上がり、着地の衝撃も難なく吸収してみせる。

 動こうとした際の反応速度も機敏で、意志の赴くままに躰をぶん回すことが可能である。


 そして生命力が「1」であるわりに、なかなか疲れない。

 全力疾走を一分くらい続けても、じわりとした疲労とわずかな速度低下を感じるくらいだ。

 ひいはあと息が上がることもなければ、汗もわずかに浮く程度。

 止まればあっという間に元の状態に戻ることが実感できる。


 持続力は生命力だけではなく、敏捷の数値にも影響されると見て間違いないだろう。

 いくら魔法の存在する世界であっても1、つまり人並みの持久力で今のような連続行動が可能とはとても思えない。

 もしもそうだとしたら、この世界の「人並み」が怖すぎる。


「というかすごいなラト!?」


「ナ?」(o・ω・o)?


 なにが? という顔をしているが、今アルジェが高速機動を続けていた間、特に慌てる様子も見せずに左肩に安定して乗り続けていたことは地味にすごい。

 アルジェが左肩にラトを乗せていることをほぼ意識しなかったくらいなのだ。

 この黒猫様の身体能力がえらく高いのは間違いないようだ。


 眼はとてもいい。


 遠くまではっきり見えるし、なんとなればズームとかも可能かと思ってしまうくらいに。

 光源の見当たらないこの迷宮(ダンジョン)内において、薄暗いことを理解しつつも困らない程度に明るく映像を捉えることができている。

 現状では夜目が利くという程度であろうが、魔法やAS(アクティブ・スキル)PS(パッシブ・スキル)でその手のものを取得すれば真の闇でも見通すことが可能になるのだろう。


 躰の確認を一通り終えると、クリエイト時にもみた表示枠が一斉に視界に展開される。

 自分が定めた各種ステータス類に、記憶との乖離は見られない。


 ――ああそうか、基礎能力値と装備その他を加えた後の最終数値は違うんだった。


 敏捷値も基礎数値である3――超人域から4――化物域へと至ればさっきのような動きも可能になるというわけだ。


 これは成長してすべての基礎能力値が二桁に乗ってくると、冗談じゃなく超越者の域に至るんじゃなかろうかとアルジェはちょっと腰が引ける。


 それがステータス上だけではなく、さっきの動きのように現実として展開されるというのはちょっと空恐ろしい。

 3だの4だのでああなのだ、二桁を越えた際には制御能力も共に付与されると信じたいところだ。

 でなければちょっと力を入れたら人を砕いたり、慌てて走り出したら壁を突き破ったりしかねない。

 もしかしたら上昇する基礎能力値に応じた、それを制御する武技なり魔法なり、AS(アクティブ・スキル)PS(パッシブ・スキル)を取得する必要があるのかもしれない。

 そう思ってしまうほどに、たかだか4でしかない敏捷値が可能にした機動はものすごかった。


 ――そーいえば調子に乗って知力は上限の15にしたなー


 ちょっと不安に襲われるが、そもそも魔法というもののすごさの基準など持っていないのでまあ大丈夫だろうと自分を納得させる。

 一定以上理解を超えたものは「すごい」でみな一緒になるだろうからまあオッケ。


 一番大きな表示枠である第一階梯から第十階梯までの「取得可能リスト」の第七階梯に、黒字で今は取得不可能だが『思考加速』だの『魔力掌握』だのが存在することからは目をそらす。

 知力は15あれば第七階梯までの取得条件に達しているのだが、種族レベルが人の上限5では届かない。

 取得するには人の限界を突破するか、人外になるしかないのだ。


 力を得るにも、その力を使いこなすにも、どちらにせよ成長するしかない。

 そしてそれはアルジェの望むところでもあるのだ。



次話 2/12 20:00前後に投稿します。

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