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第010話 0日目 キャラクタークリエイト④

 アルジェはこの二つが揃いさえすれば、最悪2つしか天性能力(タレント)がなくてもかまわないとの判断の元、長い長いリセマラに突入する。


 果てない繰り返しの中、どちらかがごく稀に出るが二つが揃うことがない。

 幾度かでている赤字はこの二つしかないため、天性能力(タレント)における最上希少(レア)はこの二つなのだろう。


 揃わない。


 だがアルジェが諦めることもまたない。


 もしかしたら赤字はひとつしか認められないとシステムに縛られているのかもしれないなどという、疑心暗鬼にも陥らない。


 こういうときは思考を停止してくりかえすのみだ。

 注意するべきはせっかく出たのにうっかりまた「やり直し」をしてしまわないことくらい。


 幸いにしてアルジェの意識は集中力を切らすこともなく、うっかりもないままにリセマラを続けてゆく。


 頭の片隅で「どーせ揃うまでやるんだからさっさと揃え」と思っているがそういうものでもないことも理解している。

 MO、MMOなど想像すらできなかった頃の古の地下迷宮探索RPG(ウィザ○ドリィ)の頃から、初期ボーナスの最高値を狙ってやり直しまくるのはひとつの様式美ともいえる。


 好きに選べるのであれば、すべての天性能力(タレント)は一長一短、好みや目指す構成(ビルド)によって取捨選択可能なほぼ平等といえるものでなければならない。

 ランダムという儀式を経るからこそ、希少(レア)唯一希少(ユニーク・レア)という特別、ぶっ壊れ性能の天性能力(タレント)を仕込むことが許されるのだ。

 生まれなおしに近い作業を、己の意志が折れるまで繰り返すことを許されているのがプレイヤーという特別な存在なのだ。

 

 その手間を惜しむ者に、大きな力が与えられることはない。


 長い長い、どれくらい時間がたったのかすらわからなくなるほどの繰り返し。

 あるいは現実世界ではなく、黒白の世界に浮いているようなこの状況だからこそ耐えられたのかもしれない永遠にも似た時間の経過の果て、ついに赤字が二つ――『取得経験値減衰無効』と『必要CP増加無効』が並ぶ。


 その二つが揃えばそれでいいと思っていたアルジェだったが、運よく三つ目もあった。

 それももまさかの赤字、初見の『魔物支配』というもの。


 アルジェはじっと考える。

 初めて出た『魔物支配』を加えた三つ以外の赤字もあるのではなかろうかと。


 だがこの長い繰り返しの中で一度も出たことがなかった赤字だ。

 ここからまた繰り返すにしても、次に『取得経験値減衰無効』と『必要CP増加無効』が揃った際に『魔物支配』も付与されているという保証はない。


 繰り返すことそのものに対する忌避感はそれほどないが、アルジェは自分が定めたルールに従うことに決める。


 曰く『取得経験値減衰無効』と『必要CP増加無効』が揃うまではまわし続ける、揃ったらたとえ天性能力(タレント)が二つであってもかまわない。


 であれば『魔物支配』は僥倖、おまけみたいなものだ。

 もしかしたら『魔物支配』は一度しか現れない天性能力(タレント)である可能性だってある。


 なにが正解か確定できない場合は、己の定めたルールと気分に従うべきだとアルジェは思う。

 よって出るまで繰り返すという執着と、一期一会を大切にするという矛盾を気分で併せ呑み、アルジェはこの三つを以って己の天性能力(タレント)を確定させた。


 三つとも赤字というのはなかなかに見栄えもいい。

 わりとご機嫌である。


 あとは基礎能力値の確定と、5CPによる武技、魔法、AS(アクティブ・スキル)PS(パッシブ・スキル)の選択取得だ。


 ちなみに基礎能力値を1から順に上げていくと、その数値が人という種においてどんなレベルのものかが表示される。


 1で常人、2で天才。

 3で超人、4で化物の域。

 5ともなれば超越者と見做されるほどになるらしい。


 あくまでも人間というカテゴリにおいてではあるが。


 人が生まれつき持って生まれることが可能な基礎能力値の上限は3であり、それ以上は何らかの手段によって成長し、獲得するしかない。


 つまりプレイヤーは種族レベルだけではなく、基礎能力値としてすべてにおいて超越者として誕生可能なのだ。


 魔法遣い系を目指すアルジェにとって、知力は最優先。

 基礎能力値の初期上限が15である以上、知力はどうしても15にしたい。


 5で超越者ならば、上限の15はなんと呼ばれるべき域なのだという話だが。


 となれば他の基礎能力値を減らして、その分をまわすのみだ。

 力は不要なので下限の1にして得た4を知力にまわして9とする。


 それにしたがってHP:59→53、MP:59→134、物理攻撃力:6→2、魔法攻撃力:6→10、物理防御力:110→66、魔法防御力:110→154と数値が変化する。

 思い切って生命力も1、敏捷を3にして知力を15にしてみたらHP:8、MP:278、魔法攻撃力:17、物理防御力:22、魔法防御力:176という極端なものになった。


 自由に割り振れるCP5は魔法、AS(アクティブ・スキル)PS(パッシブ・スキル)に回すと決めている。

 ツリー型である以上、魔法遣いらしい構築にしようとすればいずれCPを投入して魔法、AS(アクティブ・スキル)PS(パッシブ・スキル)を充実させることは必須となる。

 であれば最初のCP5をそこにつぎ込むことは選択さえ間違わなければ無駄にはならない。


 この判断ができるのも、『必要CP増加無効』の天性能力(タレント)を取得できているがゆえだ。

 今の状況では余剰CPをつぎ込んでの基礎能力値上昇も数値1に付き1しか消費されない。

 本来であれば攻撃手段である魔法をCP1で確保し、残りの4は基礎能力値へつぎ込むべきであろう。

 だがキャラクタークリエイトが終了した後も基礎能力値を伸ばすために必要なCPが1で変わらない現状であれば、初手から多彩に戦える手段を充実させるべきだとアルジェは判断した。

 

 基礎能力値の上下操作だけで、知力を上限値にできたことも大きい。


 減少したHPを補う為に、魔法遣いとしては将来も必須である第一階梯魔法『魔法障壁』をCP1で取得する。

 これはMP1でHP100分の魔法障壁を全周展開できるので必須だ。

 ちなみに第一階梯の武技、魔法、スキルの消費MPはすべて1で統一されている。


 物理防御力が激減したにせよ、初期HP値である59を大きく上回る108となれるのでまず問題ないだろう。


 攻撃手段は必須なので、五行属性に支配されない第一階梯魔法『魔弾』をCP1で取得。

 同じ第一階梯魔法である、火水土氷雷の五行属性弾は後回しである。


 HPは補えても低下した物理防御力には不安があり、遠隔戦闘を基本とする戦術を取るのは魔法遣いとしては当然だ。

 よって敵性存在を早期発見できるように第一階梯PS(パッシブ・スキル)である『警戒』をCP1で、遠距離攻撃を必中とするために第二階梯PS(パッシブ・スキル)である『追跡化』をCP2を費やして取得する。


 これで5CPは使い切ったことになる。

 知力を15まで引き上げているので第五階梯までの魔法及び知力を取得条件とするAS(アクティブ・スキル)PS(パッシブ・スキル)も開放されているが現時点ではCPが足りないのでどうしようもない。


 知力条件は満たしていても、第六階梯以上は種族レベルが同等以上でなければ取得不可能となっているので、人間のままではCPをためても取得不可能だ。

 第六階梯以降を取得することを望むのであれば、人であることをやめる必要がある。

 あるいは何らかの条件で、人間としての種族レベル上限である5を超越するかだ。


 よって第六階梯以降はどんな魔法、AS(アクティブ・スキル)PS(パッシブスキル)があるかすら今はわからないが、いずれ取得する手段を模索せねばならないだろう。


 いずれ人の限界を、あるいは人という種そのものを超越するのだ。

 

 名前と年齢が決まり、天性能力(タレント)も確定された。

 基礎能力値も設定され、魔法やAS(アクティブ・スキル)PS(パッシブスキル)の取得も完了した。


 キャラクタークリエイトが完了したのだ。


 すべての要素から、アルジェの狙いどおり(ジョブ)が『魔法遣い』と確定された。

 それに伴い、装備が付与され、長らく真っ裸であったアルジェが如何にも『魔法遣い』といった姿へと変じる。


 魔法遣い、アルジェ・クラウィスが生れ落ちる。




 冒険が――廃墟迷宮ハック&スラッシュが始まる。


次話 2/9 20:00前後に投稿します。

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