21話 ファングニール王
~旧ギア研究所~
旧ギア研究所は廃れていた
ライル
「ここは破壊が在ったのか」
ライルが見るのは残骸の数々
しかしそれを改装させたものはいない
ライル
「まるでもう使われていないようだ
しかし偉人達はこの研究所に閉じ込めているらしいが」
旧ギア研究所へと入っていく
ライル
「しかし中は綺麗だ 誰かが管理しているのだろうな」
中だけは一応改装されていた
ライル
「といっても綺麗にとは言わないが
部分的な場所のみ改装されているな
使える部分だけを知っているようだ
管理者はこの旧ギア研究所の関連者か エリスで間違いないのだろうな」
ライルが見たのはマグニナンバーズで唯一戦うのを拒んだような態度をしていた姿だ
彼女の何がそうさせたのかライルには検討する術を知らない
研究所の色々な部屋へと入る
テーブルには博士の写真があった
ライル
「これは?」
博士の隣にはカプセル状に入っている虚弱マグニのエリスだ
写真の右下に 『dear,elise』 と書かれている
ライル
「この子がエリスか 随分と違うな
カプセル状に入ってる虚弱マグニのエリスは元気の無いようだ」
それは元々の顔立ちであったものの、ライルは今のエリスと違う表情を感じた
ライル
「見えている景色が今は違う…か」
ドライとロードも荒くれた態度は取っても結局自分の意味合いの為の生存だった
エリスもきっとそうなんだろう そう思いながら写真のあるテーブルから去る
辺りを見渡す
実験が行われていた部屋だけだな
そうこう見ていく内に最後尾の奥の部屋へと行く
そこにはクロックギアエリスとカプセル状に入れられている偉人達が見つかる
エリス
「私には役割がある
リングランド王から頼まれた
私の変換マグニとファングニール国の偉人達を組み合わせる
そうすれば、マグニファイが成功すれば上位者となれると」
ファングニール王
「ではそれが失敗すればどうなるのだ」
エリス
「それはまた失敗という事だと思うのよ」
ライル
「また失敗?」
ファングニール王の考えに何かを感じた
ライル
「王様 あんたも知っているのか?」
ファングニール王
「そうだな 言ってしまおうか
クインツがマグニファイを行った時、私はそこにいた」
ライル
「クインツのエルドラド共有を持ってしてか?」
ファングニール王
「どうしてそれを分かったのだ?」
ライル
「俺はどうやらトランスレイドの影響で研ぎ覚まされているらしい だから察知してしまうのだよ」
ライルのトランスレイド能力を把握してファングニール王は真実を口にする
ファングニール王
「ライルはアリファ国で生まれたが、それは肉体がだよ」
ライル
「どういう事だ 肉体がとは?」
ライルは恐怖を感じた
ライルはそれを察知した
ライル
「こいつは、俺の正体は…魔王なのか?」
ファングニール王
「そう 恐怖依存型の創造マグニの肉体の欠片なのだ
恐怖依存型の創造マグニは恐怖を依存させたと同時に欠片を放っていた
一つの種子だけに留まる事が創造からしてナンセンスだと感じたのだろう
ギア博士に君も拾われたのだ
そしてギア博士は戦闘狂兵士らしい肉体へと編成し直したと改造の主を伝えて去っていったのだ」
ファングニール王
「成長していくにつれて
クインツもマグニファイをして成長しようと試みた
そして案の定、それは失敗に終わった」
ファングニール王
「成功しそうになったが、それは機械生命体の制限時間による爆発によって遮られたのだ」
エリス
「ナンバー20の制限時間で電気マグニで制御されたファングニール国は放電自爆を発生させたのね
だからあれだけの爆発と破壊が招いたのね」
ファングニール王
「その影響によってマグニファイという圧縮エネルギーは失敗に終わった
そしてその電気マグニによる放電自爆の破壊の恐怖の象徴が魂となって
それは恐怖依存型の創造マグニの肉体の欠片から出来たライルからすれば
立派な穢れなき魂へと変わっていったのだ」
ライル
「という事は
俺の魂は、数多の恐怖で作られた魂というのか」
ファングニール王
「そうだな 恐怖依存型の創造マグニの肉体だ
今は君がマスターみたいなものだ」
ファングニール王
「クインツはその後に、
穢れなき魂を持ったライルに希望を見た
そしていくつかの選択肢の希望を芽吹かせて
そして今に至るのだ」
ライル
「ドライは俺の存在を知っていたのか?」
ファングニール王
「あぁ知っていた しかし、ロードに説得されてどうにか考えを改めたのだよ」
ライル
「だからこそ荒くれ者だったはずのドライがあれだけ俺に穏やかな対応をしていたのか」
ドライのあの仕草は
後を続けという動作をしていた事にようやく気付いた
ファングニール王
「ロードも知っている
ロードは戦闘狂兵士の中でも仲間を思った正義の魂を持ったトランスレイド所持者だ
その正義によって、彼の中で仲間の魂は生存し続けている 今もずっとな」
ようやく話が終わるとエリスは口にする
エリス
「マグニファイをするとしたら今なら失敗はしないね 今の話を聞けば
私はマグニファイを行う」
ライル
「話を聞いていなかったのか」
エリス
「話は聞いた でも私は博士を追いたい
博士のブリキの一つとなって博士に追いつきたいのよ私は」
ライル
「ギア博士は、マッドサイエンティストだぞ
それでも機械生命体の初期番号はまだ意思を変えないのか?」
エリス
「うん 虚弱マグニだった私は博士によって生存が可能となった
だから私は博士を見ていきたいの」
偉人達は否定するもののクロックギアエリスが強制介入し出す
変換マグニが起動して偉人達は巻き込まれる
ファングニール王
「ライル お前は創造マグニである魔王だ
しかし戦闘狂兵士として誰に戦うかを選べよ さらだばだ魔王よ」
そして変換マグニに巻き込まれていく
エリスは何かを感じた そしてクロックギアエリスは機械生命体としての在り方を変えた
完全制御体機械生命体
「不完全制御体だった私は完全制御体になったみたいだ」
エリスは機械マグニで歯車を狂わせる
するとライルの身体が捻じ曲がる
ライル
「俺の身体が捻じ曲がって動かねぇ…!」
エリス
「やはりライルは強い 並の人間ならまず受け流せない
さっさと肉体諸共朽ちているからね」
歯車を狂わせる対象をテーブルに変えると
テーブルが直ぐに形をぐるんと折れ曲がらせる まるで折り紙のように簡単に曲がらせる
エリス
「私の歯車能力が完全制御下に入った
それでも私に挑む気?」
ライル
「上等だ
変換マグニとなった対象を救うために俺は戦う」
【歯車能力】
≪外部の基軸を狂わせる事が可能
内部の感情を狂わせることが可能≫
エリス
「歯車能力であなたは叶う事が無い
いくら耐久性があっても、それは強さには比例しない」




