18話 紅火山
~紅火山~
母竜を探す為に来ていたのは紅火山という火山が降りかかる山だ
ロード
「紅火山に入るにはアクセスポイントが必要だ
無ければ火山灰が溶けた状態となって火山灰溶隕石が降りかかる」
アクセスポイントが無い人間が、紅火山の火山灰欲しさに来る
そして火山灰溶隕石で焼け爛れて死ぬ
それを実演するように人々がやってきては
そのまま紅火山の範囲に入っては、紅火山灰隕石が繰り出されて
次々と焼け爛れて死んでいた
その後に続いた奴らがいた
計算し尽くしていたのだ
エア助手
「ギア研究所の助手をやってかれこれ6年になる
そこで私はこの紅火山の火山灰からの魑魅魍魎的な強さを理解した
だからこそ私はここにいる」
仲間
「あんたを雇って正解さ」
「俺達だけじゃ、まずこの火山灰溶隕石の攻撃にやられていた 任せたぞ」
紅火山の範囲に仲間が入っていく
計算してきたかいがあって、火山灰溶隕石を瞬時に避ける
ロード
「ほー、なかなかだな」
ライル
「どうやって避けているんだあれは」
ロード
「あれは、神経を研ぎ澄ませている訳ではない
ほら、あいつらの頬を見て見ろ」
頬にはイヤホンらしきものが付いていた
ロード
「骨伝導イヤホンだあれは
そして助手のあいつはギア研究所でいたマグニ者だ
伝道神経マグニだ
神経に流れてくる情報を一覧化する能力だ
だからこそあいつはギア研究所で助手をやれていた
しかし、
そのマグニを紅火山灰欲しさに利用するとは、なんたるマヌケっぷりよ」
ロードは何かを知ってるような言い草で笑っていた
伝道神経マグニ者のエア助手は
骨伝道イヤホンを改造した
骨伝道マグニ共有イヤホンによって
互いの地面の位置での伝道を共有して
どこから火山灰の流れが変わっているのかを察知する
そしてそれを練習していた通りに回避角度へと進んでいくという方針だ
ライル
「これだと火山灰は手に入るのではないのか?」
ロード
「紅火山に誰もいなければの話だがな」
二人はそのままアクセスポイントでロードの情報を読み取らせる
紅火山は、
その火山灰溶隕石というリスクからギア研究所で作成された
封鎖マグニで紅火山を見えない壁のように封鎖している
ロード
「アクセスポイント内だと、まず死ぬことは無い」
エア助手が気付く
エア助手
「ロードか?お前、ここに何しに来た?
まさかお前も紅火山灰欲しさか?なら山分けしようじゃないか」
ロード
「エア助手 私は母竜を探しに来たのだ」
エア助手
「母竜?あんなのはただのガセだろ
だってギア博士すら見てきていないと言うのに
ギア博士は
研究所に閉じこもったようにかじりついているお方だ
そんな博士ですら見つけられないのだから…」
ロードは自信満々に言う
ロード
「力が無ければな」
アクセスポイント内に入っていくのを理解して
後ろからエア助手もついてくる
ロード
「ギア研究所で俺は世界の歩き方を見ていた」
ロードは紅火山を見渡しながら語る
ロード
「世界の歩き方
それが少し前は、創造マグニという魔王を退治するという
英雄物語式の世界だった
そして群雄割拠であった
しかし
ギア研究所という研究所気質なマグニ者を集めて結成されたのが
ギア研究所だった ギア研究所は世界の歩き方を変えだした
ここで言えばマッドサイエンティストなのかもしれないな ギア博士は
その証拠に機械生命体という被害者もいるわけでな」
ライル
「どういう事だ?」
ロード
「奴らは、材料となるのが魂なのだよ
つまり元の肉体は滅びる 魂だけを結晶化させた檻に閉じ込めた状態で
ゼンマイの心臓のように動かしているのだ
酷似したトランスレイドとも言えるだろう」
その発言を今度はエア助手が擁護し出す
エア助手
「しかし、あいつらも売却された人間だ
実験体にふさわしい材料なのだ 私達は何も悪い事はしていない」
ロード
「そう、ファングニール国では戦闘狂兵士がその材料であり
ギア研究所では実験体がその手の材料という訳だ」
ライル
「ギア博士は何をするつもりだ?」
ロード
「ブリキシステムを構築する為だろう
ブリキシステムとは
機械生命体が最たる例だ
生命体として稼働させるのが目的だ
恐怖依存型の創造マグニが魔王だった
その魔王という役目がブリキシステムの一つだ
全てのブリキを構築するのがギア博士の目的だ
まあ、メタそのものを変えようとしてエルドラドを夢見ているクインツと考えは変わらないだろうな」
紅火山の頂上に来ていた
エア助手
「紅火山灰がもうすぐ手に入るぞ やはり助手6年は間違っていなかったのだ」
ロード
「エア助手はそれだけのために、惨たらしい実験をやり続けていたのか?」
エア助手
「惨たらしい?あぁ確かに しかし俺はこの日だけを夢見ていただけだ だから怖くなどない」
その表情の変わりようでライルはマグニを感じた
ロード
「マグニを感じたのか?
マグニを察知する事を研ぎ覚ましたようだな」
ライル
「エア助手は洗脳マグニにかかっているのか?」
ロード
「そうだ 奴は呪われしアイテム発掘屋のロール国出身だ
その時の洗脳マグニでずっと生きているようだ」
ライル
「洗脳を外す事は?」
ロード
「無理だろうな 強い洗脳が施されている
呪われしアイテムは別に使用を禁止されている訳ではない
その柔軟性で、使う人間は何も考えていないことが多い
そんな光景での被害者という訳だ奴は」
エア助手
「はやく!紅火山灰をこの手に!」
ロード
「やめろ馬鹿者が」
アクセスポイントから外側へといこうとするのを掴んでやめさせる
一方で、仲間は頂上から紅火山灰を取ろうとする
しかし、骨伝道から伝わる地面での紅火山灰の揺れ方が尋常じゃないので憔悴する
仲間
「一か八かだ」
そして掴み取る
紅火山灰対策用の網籠によって紅火山灰を大量に持ち逃げする
颯爽と逃げていく
仲間
「よし これで俺達は紅火山灰を…!」
ライル
「何故そんなに紅火山灰を欲するのだ?そんなに高価なものなのか?」
ロード
「紅火山灰はな あいつを呼び覚ますのだ」
ロードは笑った
ライルはその笑った動作から、マグニを察知した
ライル
「お前…! もしかして…!」
ロードが持っていたのは
呪われしアイテムのメトロノームだった
【循環変異メトロノーム】
≪相手の行動を洗脳するメトロノーム
使用者の生命を蝕むアイテム≫
ライル
「使用者を蝕むのならロードはそこまでして何をして…
それに、あいつって誰だよ」
ロード
「それは母竜の事だよ
私が待っていたのは、母竜を呼び覚ませるその時だ」
そして紅火山灰が頂上から出てくる
仲間
「ま、大丈夫さ ここまで来ればあと少しで紅火山からの外範囲まで到達出来る!」
「待て!地面からも紅火山灰の伝道が…!」
ロード
「紅火山灰を最初から盗むことなどできはしないのだ」
ライル
「ロード、お前 この状況で笑っていられるのか!」
ロード
「やはりお前は正義が強いな
しかしな、本当の正義というのは最後のエデンを構築出来る者こそが正義といえるのだよ」
紅火山の地面全てが紅火山灰が溶けた状態となる
仲間
「足が!」
「まだ歩けるぞ!」
ライル
「やめろあんたら!」
その声はむなしく聞こえず
骨伝道マグニから察知される紅火山灰の情報だけが奴らを埋め込んだ
ロード
「母竜の出現条件が整った
母竜の出現という訳だな
人を利用してまで手に入れる覚悟 それこそが正義といえるだろう」
颯爽と紅火山灰隕石が降り注ぎながら
母竜が出現し出した




