幸運のまねき猫~だから東京は良いところなんだって!!~
「ダメダメダメ!! ツクモにそんな危ないことさせられるかあ!!」
「そういうけどな? ツクモちゃんおまえのこと心配して立候補してくれたんやで?」
「みゃん!!」
ああ、もうツクモさんがイケメンすぎてマジつらい……。
「みゃむみゃむ!!」
「『マサムネは私が守るの!!』っていってんで?」
「ツクモ……」
いや、俺ペットの猫に守られるほど弱いのか?
……弱いな。確実に弱いな。
「……っていやいやいや。そもそもこのアイテムペットは使えないぞ?」
「みゃん!?」
「それを早く言えや!!」
あ、ツクモがガーンってなった……。
まあでも、考えてみればそこはやはりバランスブレイカーすぎるだろう。
戦闘用ペットならかなり強いのいるしな。
「んー、でもツクモちゃん使わなアカンのは確定なんよ」
「……なんでだよ?」
「いや、マサムネ先輩単体では最早戦力にはならないっすけど……」
「悪かったな!!」
「そうやないんや」
あっさりと否定したノブナガを他三人が思わず振り返る。
だってみんな絶対そういう話だと思っていたし。
しかし、そんな三人(と一匹)を無視してノブナガは話続ける。
「どうやら日常用ペットは通常ステータスの伸びが悪い代わりに隠しステータスが伸びやすい傾向があるらしいんよ」
「みゃん?」
「攻撃力とかがあがりにくい代わりに他のところが伸びやすいって感じっすか?」
「そうらしいんや」
チャットや掲示板を利用した情報収集はノブナガが担当している。
似非関西弁は伊達ではない。
「で、その隠しステータスの一個に幸運値がある……らしいんよ」
「あー、それで猫さんギャンブル強いんっすか」
「そういうことやね。けどそれだけじゃないらしいんや」
「……どういうことだ?」
「みゃむ?」
「幸運値をフラグにする隠しルート……みたいなもんがあるらしいねん」
「……ああ、確かに」
静かに頷いたのはドーザンだった。
「なんというか……随分都合良く落っこちたものだな、とは思っていた」
「言われてみれば猫さん落っこちなければ、『意志疎通』手には入ってないわけっすか……?」
「なんやそういう感じで幸運値が一定以上の時だけ攻略補助ルートが開く……らしいねん」
うちもまだよく分かってないんやけど、と前置きしてノブナガは話す。
「正直、うちら随分都合良く攻略できたと思わへん?」
「思うっす」
「思うな」
「思う」
「みゃむ!」
「それがどうもツクモちゃんの幸運値による補正らしい、という情報があるんよ」
「……幸運値が高いキャラがいるから『運良く』攻略できていたってことか?」
「そういうこと、らしいねん」
つまりは文字通り「幸運にも」攻略できていたと言うことらしい。
文字通りツクモが幸運の招き猫だった訳だ。
「ならば、ツクモを連れて行かないわけにはいかない、と言うことか」
「多分」
「ううう……」
「みゃむ! みゃむ!」
「本描もめっちゃやる気やしなあ……」
うぬぬ……。
なんだろうこの攻略上必要と言われた時の断りにくさは。
いやまあ、俺だってゲーマーだしなあ……。
「わーったよ……ツクモは連れてくよ」
「ま、それが妥当やろうな」
「そっすねー」
とまあ、こんな感じで。
ツクモ、参戦確定である。
* * *
「つーかさ。俺らがその前にログアウトしちゃったら意味なくね?」
「確かに」
「そっすね……」
「ああ、それなら多分心配ないやろ」
……なんかもうノブナガがイニシアティブ握りすぎじゃね?
名探偵なの? 名探偵なんですか!?
じっちゃんの名にかけちゃうのか!?
いつも真実はひとつなのか!?
合わせてじっちゃんはいつもひとりなのか!?
「……賛否両論あるんやけどね。うちらが住んどるようなセキュリティ厳しい系のマンションて、令状無いと警察すら入れへん場合があんのや」
「「「……は?」」」
「みゃむ?」
「にゃむ?」
三人ほどぽっかーんである。
ついでにツクモとマシロも首を傾げる。
めっちゃ可愛い。
じゃなくて。
「……マジ?」
「規約読んでへんのかい……。まあ、うちもそっちの規約読んだ訳やないからなんとも言えへんけど。でも、基本東京でセキュリティ厳しい系のマンションやったらそんな感じやねん」
「闇深いっすね東京……」
「東京砂漠の闇を見てしまった……」
「いや、良いところだからな!? 東京良いところだからな!?」
地元民の声がむなしく響いたとか響かなかったとか。




