ユニークスキル~目指せ一刀両断~
つまりはすろら最高の偵察能力を持つのはコーヴァスどもだったということだ。
それはこのラスボス手前の四天使どもの隠匿効果を軽くぶち抜いて余りある。
それは割と早くから知られていたことではあるし、マサムネですら前々から知っていた事にすぎない。
ただし。
コーヴァスどもの致命的な弱点と一セットではあるが。
こいつらは――二語以上を話せない。
どんなモンスターを偵察させても言うことは四パターンのうちのどれかでしかない。
すなわち――
「ツヨイ! ツヨイ!」
「ヨワイ! ヨワイ!」
「スゴク! ツヨイ!」
「スゴク! ヨワイ!」
この四つである。
逆に言えばコーヴァスどもがその違いを間違える事はない。
どれだけ弱そうに見えても奴らが「スゴク! ツヨイ!」と叫ぶならそれは一定以上のステータスを有するし、どれだけ強そうに見えても「スゴク! ヨワイ!」と叫ぶならそれは弱いのだ。
まあ、それが分かったからって何だというのだという話ではあるが。
ただ、これに意志疎通が加わると――
「二語以上話せるようになる、か」
「正直、強いどころの話やないんや。なんせ四天使能力値が完全にランダムで決まるんよ」
「完全ランダム?」
「せや。相性も戦略もなんもなく完全にランダムや」
ノブナガ曰く――
四天使どもは
①バステ一種に対する抵抗の弱体化&直接ダメージ
②魔法防御&魔法回避&物理防御&物理回避いずれか一つの低下
③バステ一種の効果強化
④特殊攻撃一種の強化
の四つをを完全ランダムで持つらしい。
……って調べたのか。お疲れさまだ。
「まあ、負けても渡すアイテムに事欠かんからこその力技やな」
「……お前らぼさっとしてねえで攻撃しろ!!」
そんな俺らはただ今ミカエル戦まっただ中であった。
* * *
まあ、そんなのんびりできるのもコーヴァスの見つけてきた弱点「硬直耐性減」のおかげなのだが。
硬直は移動を封じるバッドステータスなのでひたすら硬直かけて遠間からチクチク攻撃していけば何とかなる。
俺たち後衛組にとっては近づかれないってだけでも結構気が楽なのだ。
ただし、慣れない弓なんぞを引かされているドーザンのイライラはミカエル戦が終わっても収まらなかった。
「……ふふ」
「……にゃ、にゃあ」
薄ら笑いを浮かべながら愛刀神霊殺しを研ぐ鬼気迫る姿にマシロもあわあわである。
「……ふふふ一刀両断一刀両断……ふふ、ふふふ」
「いや、一刀両断って……」
無理じゃねえかなあ……
「いや、俺は一刀両断動画を見たことがある。攻略組の不幸男アーサーなるものの動画で……」
「あ、それはユニークスキルの特殊効果だって言ってたぞ」
「……まさか会ったのか!?」
「カジノで。噂に違わぬ不幸っぷりっだったぜ」
アーサー曰く。
「逆転の英雄」の基本的な効果は「五分間全防御が1/nになり超挑発状態になる。五分後、全攻撃が2n倍、全防御がn倍になる」というものなのだそうで。
超挑発状態中は行動ルーチンもなにもかも無視して一定エリアの全エネミーが突撃しかけてくるらしいがそれを乗り切ればそのブースト率たるや恐ろしいものがあるとか。
最大で攻撃力200倍まで上がったことがあるそうな。
そりゃ一刀両断もできるだろう。
「……すろらで200倍はすごいな」
「ユニークスキルならではだよなあ」
はっきり言って法外な倍率だが、その効果を得るためには防御力1/100状態で五分間耐えしのがなければならないわけで。
仲間との連携が肝となるユニークスキルだといえよう。
「まあ、だからユニークスキルでもないと一刀両断は――」
「マサムネ」
ヒュン。
空を切った白銀の刃にドーザンの顔が写る。
薄く薄く――獰猛に笑うその顔が。
「俺がユニークスキルを持っていないと――いつから思っていた?」
「にゃん!」
一声鳴いて嬉しそうにドーザンの肩に乗ったマシロの頭を撫でてドーザンは言った。
「ちょうど良い。そろそろ俺のユニークスキルを見せてやる」




