第七ラウンド~22/7と円の真理~
そろそろ一ラウンドが短くなってきました。
さてさてさて。
俺のターンですよ。
いや、もうこれはモーリスを攻撃するしかなくね?
アーサーの手札が事故っている以上、ここで9点削りきられるってことはないだろう。
ならばもうモーリスを倒してデッキを増やした方がいい。
なんだかんだ言ってもあの鬼ドローは痛すぎる。
「俺のターン。ワンドロー」
クローバーの4。
さて、こっからどうするかね。
「ハートとクローバーの2とダイヤの3でモーリスを攻撃」
「ダイヤの10とクローバーのキングを使って……エンドですな」
うん、こいつ絶対悪足掻きすると思ったよ。
何にせよこれでHP0。
モーリス敗退である。
「はははは。これもまた一興――というところですかな」
そんな高笑いと共に――モーリスは去っていった。
「あー、スペードの7をユニットに。三枚トラップを配置してターンエンドだ」
「オレのターン……一枚トラップをハイチしてターンエンド」
すげえな。一行で終わるよアーサーのターン。
これは……勝てるか?
アーサーはゲンナリである。
「2とかスキなスウジなんだがな……」
「俺は七分の二十一が好きだけどね」
「…………………3.142857でジュンカンだな」
「おお」
暗算したのか。すげえな。
「エンシュウリツ……のキンジチか」
「こっちの方が3.14よりも近いんだよ。微差だがな」
理系なんてそんなもんだと初めて俺に突きつけた数字。
3ではなく3.14でなければならない理由が精度なら――22/7であっちゃいけない理由はなんなのか。
正しさなんて誰も求めてなくて――精度なんて誰も求めてなくて。
円の真理など誰も求めていなくて――全ては慣習と歴史が支配する。
全ては上の世代に追従するために。
全ては上の世代に従属するために。
全ては上の世代に隷属するために
真理などいらない――上の世代が信じた事を継承せよ。
小学生の俺が感じた違和感は結局年を重ねても消えなかった。
教授に嫌われれば何も出来ない。
上司に嫌われれば何も出来ない。
真理などどうでもよくて――結果などどうでもよくて。
だから――研究者も大企業も蹴ってworksworksworksに転がり込んだ。
まだ、新しい技術――VR技術に夢を見たのだ。
「さて、俺のターン行かせてもらうぜ」
軽く頭を振って意識を切り替える。
まだゲームは終わってない。




