第四ラウンド~じわじわ減るプレイヤー~
さて。
どうするかね。
多分キティを攻撃すれば一撃で落ちる。
ここでトラップを一枚しか使えなかったということはそう言うことなんだろう。
だが。
気になるのはキティとエリオットのメッセージだ。
あの二人が組んだとしたら……?
キティにツクモを渡す条件でエリオットにキティが協力してるとか……?
でも、だとしたら攻撃を防御したのはなんでだ……?
……。
…………。
………………。
まさか、デッキアウト狙いか?
ここでキティが敗退すればデッキにキティのカードが戻る。
キティが生存すればデッキは墓地カードのみ。
俺のターンでなくなる事はないだろうが……キティかモーリスあたりでなくなる、よな?
記憶をたどってデッキの枚数をはじき出す――7枚。
俺のユニットが2枚だから3枚ひけるとして……残り4枚。
――削りきれない。
どうする? どうする?
何が最適解だ? どれが最善手だ?
「――まあ、結局はこうなるか」
俺はデッキに手を伸ばす。
「――ドローするカードを公開。赤ならキティ、黒ならエリオットを攻撃する」
結局、考えて分かるぐらいならSEなんざやってねえ。
だったら賭に出るだけだ。
デッキから一枚引いて――ひっくり返す。
踊る道化師――ジョーカーだった。
「……ターンエンドで」
ここで。
ここでくるかジョーカー!!
いや、まあ、モーリスが使ってたけど!!
……俺、バカなんじゃないか?
「私のターンにゃ。一枚ドロー」
さて、キティ。
俺が攻撃しなかったことでデッキには余裕があるはずだが……。
「スペードのエースをユニットにしてエースと3でモーリスを攻撃にゃ」
モーリスのHPは5。
この攻撃で0になることはないが……。
6の方で攻撃は出来ねえよな。最悪回復されちまう。
「3に対してマジックを使用ですな。――10ですな」
これでモーリスのHPは4。
凌ぐなあ……。
あれか? TCG名物「追いつめられてからの方が長い」ってやつか?
「二枚ドローして、三枚トラップ。ターンエンドにゃ」
これでデッキは残り三枚。
「我輩のターン。まずはドローですな」
残り二枚。
「――さて、ここは賭に出る所でしょうな。手札よりダイヤのエースをユニットとして配置いたしましょう。そして――」
整列するは――三枚の撃墜王。
「エース三枚でキティを攻撃するといたしましょうか」
「……一枚、ハートの6でブロックするにゃ」
これで通ったダメージは2点。
キティのHPは2点。
「――プレイヤーラッキーキティ様敗退です」
ディーラーの無機質な声がテーブルに落ちた。
* * *
さて。
この場合面倒なのはデッキアウトだが――ディーラーによると。
この場合モーリスの追加引きはキティのカードがデッキに戻ってから三枚引くらしい。
ハートの六だけ墓地に落ちて――デッキは残り11枚。
そこからさらにモーリスが三枚引いて――残り8枚。
微妙な枚数である。
アーサーとエリオットの手番で引ききってしまいそうな。
墓地カードは二枚しかないからそれが一番怖い。
というか。
ここでHP4のモーリスが落ちれば次はHP15の俺の番なんだよな……。
弱ったところにリソース集中させるのは基本中の基本。
アーサーの動きも読めねえしなあ……。
とそこで。
ディーラーの無機質な声が響く。
「プレイヤーマサムネ様、プレイヤーアーサー様よりメッセージが入っております」
「……受ける」
視界の端でアーサーが薄らと笑った。
* * *
『ソッチョクにイウ。――テをクマナイか?』
「具体的には?」
ほとんど定型と化した問いを返した。
察してくれとかそういうことを言うんなら手を引くしかない。
そういうことがやりたいんならよそを当たってくれ。
『オレのユニットでオマエをコウゲキしてやるよ。――ハートでもスペードでもスキに使えばイイ』
「……!」
思わずアーサーのユニットを見る。
ダイヤの5と8。
――回復もカウンターも使える。
『ココラでカイフクしてオカナイとシュウチュウコウゲキくらうぞ?』
「――俺は何をすればいい?」
くくくと、喉の奥でアーサーは笑う。
「エリオットをコウゲキしてくれ」
「……分かった。こっちへは5の方で頼む」
「モトよりソノツモリだ」
そうして。
メッセージが切れる。
* * *
「オレのターン。ドロー」
アーサーは引いたスペードの10をそのままユニットに出す。
……とことん引きが悪いな。完全事故ってんじゃねえか。
しかし、なるほど。
俺に同盟を持ちかける訳である。
アーサーはエリオットに攻撃したくともできないのだ。
1から3以外で攻撃すればカウンターや回復を食らう可能性がある。
そしてアーサーのユニットに1から3はない。
だから、俺に――HPの残ってる方に話を持ちかけた。
「オレはダイヤの5でマサムネをコウゲキ」
「……」
もっとも。
俺が裏切らないとも限らない訳だが。
ここで俺がスペードの使用を宣言すれば――あるいは。
「……ハートのクイーンを使用。ダメージ適応後六点回復してHP16。クイーンの効果によりワンドロー」
まあ、やらないがね。
信頼云々の話ではなく――アーサーの手元に残ったユニットが問題だった。
スペードのカウンターにはマジックもトラップも使えない――しかし。
ユニットによる防御は出来るのだ。
二枚も未行動ユニットが残ってる状況でカウンターはねえ。
というかアーサーもそれを見越してユニット増やしたんだよな……。
「……」
引いたカードはハートの10。
ぶっちゃけクイーン以外にハートのない俺からしてみればうれしい。
まあ、実際トラップに出来るのは俺のターンなんだが。
「オレはコレでターンエンド」
「俺のターン。一枚ドロー」
エリオットは引いたスペードの7をそのままユニットにする。
そして――
「スペードの7でモーリスを攻撃」
「「!!」」
「……ハートの9を使用ですな。二点回復してHP6です」
「そしてモーリスにメッセージだ」
「……受けましょう」
……そうくるか。
アーサーのターンで俺とアーサーが手を組んだことを知ったエリオットはモーリスと手を組むことにしたのだ。
いやまあ、考えればそうするしかない。
俺とアーサーが手を組んだ状態でモーリスが落ちれば二対一だ。
流石に不利だろう。
ならばモーリスと手を組み二対二のチーム戦に持ち込んだ方が分がある。
「……」
「……」
アーサーと視線を交わす。




