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すろら!!  作者: 的菜何華
四日目~不壊城編~
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第二ラウンド~困ったらブン投げる~


「メッセージってのは何か聞いても?」

「プレイヤーはディーラーに申告していただければ他のプレイヤーと直通回線で会話ができます。会話の内容は他のプレイヤーには聞こえませんが開始と終了は全員に公開されます」


ふむ……。

第一ゲームといい不壊城ちょいちょいプレイヤー同士で密談させようとするな……。

モーリスが速攻で使ってきたことを考えると、このゲーム特有のものじゃなくてこの部屋の賭は「そういうもの」だってことだろう?


……なんとなくだけど。

リョーマらしい、といえばらしい。

こういう中二病こじらせたようなギミック、あいつはかなり好きだ。


「制限とかあります?」

「通話は一回三分間。第一プレイヤーのターン開始から最終プレイヤーのターン終了まで各プレイヤーが一度だけ行うことができます」

「……最終プレイヤーのターンが終了して第一プレイヤーのターンになったら回数はリセット?」

「そうです――お受けいたしますか?」

「頼んます」


その途端、目の前に半透明のウィンドウが出現。

……ああ、半透明なウィンドウはロマンだよなあ。


「くっくっく。手っ取り早く行きましょう――我輩と手を組むつもりはありませんかな?」

「……手札事故った?」

「くっくっく。手札がどうであれあなたにはご挨拶しようと思っておりましたよ――おそらく他の連中も。ああ、キティは違うかもしれませんが」

「……ふうん?」


三分――百八十秒。

それでも饒舌なロールプレイをやめないのは流石だが。


「我輩にとっては子猫の行方はどうでもいいので。我輩が欲しいのは勝利のみ。それを譲っていただけるというのなら――子猫のお嬢さんをそちらにお譲りするのはやぶさかではないですからなあ。くっくっく」

「……逆にいやあ、キティさんはうちのツクモに用があるってか」

「ツクモ?」

「猫の名前だよ」


ああ、とモーリスは納得したようだった。


「キティは猫マニアですからな。ツクモのお嬢さんをあなたに先を越された時は地団駄踏んでいましたよ」

「…………まあ、あのフラグは確かに鬼畜だった――ということは」

「そう、あなたに断られたら我輩は同じ取引をキティにも持ちかけることが出来ますなあ」


それどころか。

二人に同じ取引を持ちかけて――同士討ちをねらうことだって出来るだろう。


「騙されたら――自己責任ってか」

「それが我々のルールですからな。くっくっく」

「……具体的には何をして欲しい?」

「そうですな。とりあえずこのターン我輩に攻撃しないでもらえますかな?」

「……考えとく」


そう言って。

俺は一方的に通話を切った。


「通話終了です」


ディーラーが無機質に告げる。


さて。

どうしたものか。

ぶっちゃけ俺はこういう駆け引きが苦手だ。


というか。

そんなことが出来るコミュ力があるならSEなんざやってない。

……いや、コミュ力のあるSEの方すいません。

文系のSEっているんだよ。ホントに。


騙して欺いて裏切って――そんな事するぐらいなら純粋に良いもん作れやと思ってしまう。技術屋の性だ。

……いや、じゃあ良いゲームってなんだよって感じなんだが。


……さて。

まあ、だったら逆に。

やることは決まってる訳だが。


「キティ」

「……なんにゃ?」


メッセージ――ではない。

生の肉声で俺はキティにそう呼びかけた。


「――ふざけてると思わねえか?」


ああ、ホントにもう。

駆け引きって奴は苦手だ。


「どいつもこいつも――ツクモの事なんか二の次」


しかし、ならば――KYでも、場違いでも、悪手でも。


「あんなかわいいにゃんこを――駆け引きの駒としてしか見ちゃいねえ」


思ったことを――思ったように言うだけだ。


「猫好きとして――腹立たしいと思わねえか?」

「……結論を言うにゃ」


ジト目のキティ。

しかし、むしろここで気になるのは――他の三人か。


……キレーにポーカーフェイスだよ。

さすがはギャンブラーってか。


「猫好き同盟を組もうぜ」

「具体的に言うにゃ」


俺はデッキに視線を移す。


「ディーラー。この引いたカードってさ――公開することは出来る?」

「可能です」


瞬間。

全員の目の色が変わった。


「俺は今から引くカードを公開する。そのカードがハートならエリオット、クラブならモーリス、スペードならアーサーを攻撃する。――組む気があるならあんたも同じの攻撃してくれ」

「……ダイヤならどうするにゃ」

「俺を攻撃して良いよ」


デッキの一番上に手を置いて。

こともなげに俺は言った。


「ダイヤかジョーカーが出たなら俺を攻撃して良いよ。そこでツキに見放されてるんならもうしょうがないだろう」


駆け引きは苦手だ。

ならば――ギャンブルしかないだろう。


「……正気かにゃ」

「さあな」


呆れたようなーー恐れたような。

キティの呟きを無視して――俺はデッキの一番上を表に返す。



クラブの2。


そのカードを二本の指で挟んで――刃のようにモーリスに向けた。


「さあ、勝負と行こうぜ?」

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