アーユーレディガイズ?~ウララでいいよもう~
「ちょ、おま、ま、はえーよ!!」
「ヒャッハー!! イヤッハー!!」
「スピードダウン! ダウン!」
「アーユーレディ? レッツパーリィ!!」
「話聞いてくれええええ!!」
そんな感じで。
マサムネ、ただ今空飛んでいます。
* * *
「にゃあむ」
「お帰りなさいませ!!」
すっかり板に付いたスライディング土下座である。
もう、お父様には頭が上がらない。
「にゃむ、にゃむ、にゃあむ」
「……そうですか」
「にゃあ、にゃあ、にゃ」
「……仕方がありませんね」
「にゃ」
……なんのこっちゃさっぱりわからない。
分かるのはずらりと並んだ日常系モンスターがじっと俺の事を見ているということだけだ。
「いいですか。心して聞きなさい」
「にゃあむ」
「……そのような寛大なお言葉このような者には――」
「にゃ」
「……差し出がましいことを。失礼いたしました」
おお、なんかお父様がフォローしてくれてるっぽい。
マジ頭あがんねーぜ。
「我々はどこにでもいます。ゼヘクまでの全てのフィールド・シティのどこにだっています」
相棒として。乗り物として。ペットとして。
町に、野に――文字通りどこにでも。
「その我々が全ネットワークを駆使して探索して――見つからなかった。どう言うことか分かりますか?」
「ノヴァーリアか、別の星にいる……」
「にゃ」
「その通り」
ノヴァーリアや他の星に満ちる悪しき電波は我々には毒です。
ミカヅキは淡々と言う。
「我々はそこにはいけない。――倶利伽羅様の名の下に命じます」
「にゃあむ」
「ただちに彼の地に降り立ちツクモ様を救出しなさい」
「「「「「にゃあ」」」」」
合唱のように揃えられた鳴き声の前に――俺はただ黙って頭を垂れた。
* * *
事は急を要する。のたのた歩かれてはたまったもんではない、と言うことで。
用意されたのがこのレッツパーリィさん。
プニルという馬型モンスターの適合者で、自称遅れてきた救世主ヴァイエルフォルト十三世である。
本名はウララである。……こっちの方がセンスいいじゃねえかと思うのは俺だけか?
とにかく、このウララが龍人ヶ原最速モンスターと言うことでお父様はおっしゃった。
「乗ってけ」と。
かくして、俺はこのスピード狂レッツパーリィの背中に乗ることになったのである。
「アーユーレディガイズ? ヤー! ハー!」
「……」
「ゴートゥーヘブン!! オーケィ?」
「……」
最早、無の境地である。
願うのは早くノヴァーリアに着かないかなということだけだった。
* * *
そこまで急いだのにも関わらず――着いたのはゼヘクだった。
別に間違えたとかじゃない。
セントラル号の売店で売っている魔法電子銃――これが一番コスパがいいと判断してのことだ。
このままノヴァーリアとか死ねる。マジ死ねる。
まずは装備を調えなくては。
しかし、金がない。マジ金がないというピンチである。
お財布がいないと素寒貧である。
「……といっても、何か依頼を受けてる余裕はないし」
どうしたもんかと空を見上げる。
ムカつくくらいに良い天気だった。
「……ノブナガに頼むか」
ああ、俺マジで格好悪い。
と、頭を抱えつつ連絡を取ろうと――した時。
向こうからメッセが来た。
「……おお?」
まとめると内容は金を渡すからのの字屋まで来いとのこと。
目印として紅龍の瞳を渡せば百万ほど融通すると。
「……おお」
怪しい。
あの守銭奴が百万もただでくれると――怪しすぎる。
「……なにを企んでる?、と」
返信はすぐに来た。
曰く、「第六ボス倒したからそのドロップ品の分け前」
曰く、「つーか、百万ごときの端金でぐちゃぐちゃ言うなやボケ」
「……おおう」
倒したのか、第六ボス。
というか百万端金かあ……お財布スゲー。
ま、そういうことなら。
行くか、のの字屋。
* * *
前言撤回。
百万ごとき端金でした。
すぐ無くなっちゃったぜ、マジで。
ちょっとカスタムパーツ買ったら無くなる無くなる。
まあ、カスタム始めると見境無くなるというSEの性質のせいもあるけど。
「とはいえカスタムしないわけにもいかねえんだよなあ……」
そのままでは未電脳化のデメリットを相殺しきれない。
とにかく発動速度を上げないと戦闘開始と同時にジ・エンドだ。
その他、防御力をちょこちょこ上げてMP上限をちまちま上げる。
もう回避は捨てた。
障壁とあわせれば結構止めるし大丈夫だろう。
「……問題は攻撃力か」
魔法電子銃の威力は魔法攻撃力依存なのでそこそこどうにかなる――はず。
まあ、俺の魔法攻撃力なんかツクモより低いが。
物理よりましではある、が。
――それでも。
「……着いたか」
セントラル号が止まる。
ドアの向こうはノヴァーリア。
無慈悲で無情なサイバーパンク世界である――!




