ポン・デ・ツクモ~ツクモのシリアスブレイク力がマジ半端ない~
「そういや、マサムネこういうのめっちゃ引きがええんやった……」
「マサムネ星の加護再びっすね」
「うむ」
「……勘弁してくれ」
つまりまあ。なんというか。
一発で当たり引きました、ということである。
あ、船は俺のイベントリに入ってました。
入るのか。船入るのか!?
……入るんですね~これがまた。
まあ、ゲームだからな。
ジンベイザメがポケットに入っても驚かない驚かない。
それはさておき。
「……天国、やんなあ」
「天国っすねえ」
「天国、だな」
「……神界って言うみたいだぜ」
第六ステージ、天国であった。
正確には神界というらしい。
なんで分かるかって?
目の前に「Welcome to SINKAI」って立て札が立ってるからだ。
いや、無論「深海」や「新界」や「新海」である可能性もあるんだが。
「まあ、とりあえず――町の方にいこか」
「ラジャっす」
「了解」
「まー、そんなとこか」
そういうわけで。
遠くに見える町並みへゴーだ。
* * *
「にゃにゃにゃにゃ!」
「みゃみゃみゃみゃ!」
ふかふかの雲の地面にツクモとマシロちゃんはおおはしゃぎだ。
てしてしと地面に対してパンチを繰り出し、ぱしぱしとしっぽで地面を叩いている。
「みゃ!?」
「にゃあ!?」
ツクモのしっぽが雲の地面にぽすっと埋まる。
マシロちゃんびっくり。ツクモもびっくり。
おそるおそるツクモのしっぽが埋まった周辺の地面をつつく。
「……みゃあっ!!」
「にゃっ!?」
気合い一閃。
しっぽを引き抜くツクモ。
そのしっぽは――
――雲がまとわりついてワタアメみたいになってた。
「みゃ? みゃ?」
ツクモ、しっぽをぶんぶん。
雲は取れずにもふもふのまんまである。
「みゃ! みゃ!!」
「にゃあむ……」
ぶんぶんぶんぶん。
もふもふがお気に召したツクモ、上機嫌である。
マシロちゃんは「いいな……お姉ちゃんいいな……」って感じで羨ましそうにツクモのしっぽを見ている。
「……みゃ!!」
閃いた!!って感じに一声鳴くツクモ。
そのまま雲の地面にぽすっと頭を突っ込む。
「みゃああああん!!」
「にゃにゃあ!?」
ツクモ、頭を上げる。
首の回りに襟巻きのようにふわふわの雲がくっついている。
ポン・デ・ツクモだ。……可愛い。
「にゃ!!」
ツクモの襟巻きを羨ましげに見ていたマシロちゃんも意を決したように雲の地面にぽすっとダイブ。
がばっと顔を上げるとその首もとに襟巻きが。
「にゃ!」
お揃いお揃いとしゅたっと前足を振り上げるマシロちゃん。
「みゃ!」
ツクモもしゅたっと前足を振り上げて――ぷにゅっとハイタッチ。
「みゃあみゃあみゃあ♪」
「にゃあにゃあにゃあ♪」
顔を見合わせて――たっと俺たちの方へ走り出す。
「見て見て!! 可愛いでしょー!!」って感じだ。
無論可愛い。可愛すぎて死ねる。むしろ可愛くないって言った奴を殺す。
「和むわ~」
「うむ」
「和むっす」
「和むな」
どこであろうと和める癒し系モンスター。
それがミュミュである。
* * *
それはさておき。
町である。
入り口のゲートが正しいなら――Valhalla――ヴァルハラというらしい。
「天使ばっかりっすね……」
「というか、なんでもかんでも羽生え過ぎじゃないか?」
「お金に羽生えてるとか……不吉やわあ」
「羽がついてるのに車輪で動くのか……」
このヴァルハラエリア。
ギリシャ神話的ないかにも神聖っぽい町並み名のだが――一つ特徴として。
目に付くものすべてに羽が生えてる。
人に羽、犬に羽、猫に羽、木に羽、家に羽、車に羽、金に羽。
とりあえず、羽。
ぱったぱたである。
「……なんかの伏線なんかな?」
「木を隠すなら~って奴すっかね?」
「あり得る、な」
「とりあえず、上に注意な」
と、頭上を見れば。
あちらこちらに飛び交う人、犬、猫、車、家、エトセトラエトセトラエトセトラ。
落っこちて来ないか実に心配である。
「とりあえず、店に入らへん? ウチらも飛べるようになるかもしれんよ?」
「電脳化手術とかあるぐらいだしな」
「なら行くか」
「行くっす」
そんな感じで。
俺たちは手近な店ののれんをくぐった。




