ツクモ無双~にゃんこは永遠に無敵です~
もう忘れているかも知れないが――ミュミュをはじめとする日常用モンスターは人数外という特性を持つ。
これは正しくは「人数外(n)」のように表記される。
多分絶対に覚えてないと思うが――人数外は「規定の匹数になるまで人数に数えない」という特性だ。
つまりn=規定の匹数である。
この場合適合者であるツクモは人数外(2)。
適合者でないマシロちゃんは人数外(5)。
そして人数外のレベルの違うモンスターを複数使用する際はm/nとして足していく。
m=モンスター数、n=規定の匹数である。
それが1以下なら人数外発動だ
つまりこの場合。
ツクモ1/2、マシロちゃん1/5として計算するので、合計は7/10である。
つまり1以下なので人数外の適応内。
さらに、宇宙戦闘時の場合。
人数外モンスターのみで乗組員が構成される場合――その「船」に対して人数外が適応される。
つまりこのツクモとマシロちゃんだけが乗った偵察船は――数の外だ。
『にゃにゃにゃにゃにゃああああああん!!』
『みゃあ』
『にゃ!!』
にゃあにゃあしたほんわかとした雰囲気とは裏腹に偵察船は旗艦めがけて鋭く切り込んでいく。
船が軽いためスタートダッシュが速いのだ。
燃料も酸素もギリギリまで削って軽量化した成果が確実に出ている。
機敏に旗艦側面に回り込むと――ミサイルを発射した。
『にゃあにゃあ!!』
『みゃあああああああああん!!』
ギリギリまで近づいて撃たれたその一撃は敵旗艦の傷口に突き刺さる。
その爆発の勢いすら利用して――偵察船は旗艦を追い越す。
ちなみにマシロちゃんが運転担当、ツクモが攻撃担当である。
色々魔法が使えてMPの多いツクモの方が攻撃役として適しているのだ。
リンゴほどの大きさの水晶球――このために俺らの船から移したした魔法変換器にてしっと前足を乗せた姿が実にキュート。
ハイタッチまでして気合を入れていただけあって――息の合ったコンビネーションを見せる。
『にゃ!』
小さな前足でてしてしと巧みにタブレットを操作して――マシロちゃんは旗艦とすれ違い華麗にターンを決める。
そして再度特攻。
ぎりぎりすれすれの攻めのドライビングで攻撃をかいくぐり――攻撃。
射程延長で射程を伸ばされあらん限りに強化されたミサイルが容赦なく旗艦に突き刺さる。
『みゃみゃみゃあああああん!!』
襲い来る敵艦の攻撃を巧みにかいくぐり――避け損ねたものはツクモの一点障壁で上手いことそらす。
そしてそらせた攻撃は――敵艦へ。
艦隊丸ごと転移したせいで――続発する友軍攻撃。
『にゃにゃにゃあ!!』
『みゅみゅみゅう!!』
軽い機体を生かしてギリギリを攻める偵察船の姿を敵艦隊は捉える事ができない。
その隙に縦横無尽にミサイルを浴びせかける偵察船。
敵艦隊は短距離ワープで追いすがろうとするものの――あまりの小ささに敵船同士で衝突する始末。
そして――一分後。
俺らの前には崩れた隊列と無防備な側面をさらす敵旗艦があった。
「俺らも続くぞ!! ノブナガ!!」
「はいな。――竜巻発生!!」
最早定番となった魔法をノブナガがぶち込んで――戦闘は集結した。
* * *
「――ミュミュ強っ!!」
「みゃん♪」
「にゃん♪」
「俺らより強いんじゃないすか……?」
「チートだ。チートがいる……」
「だから、ここまで育てるのが大変なんだよ!!」
まあ、がんばって育てたミュミュ(適合者)は真面目に強い。
元々宇宙船ぐらい難なく運転できるほど賢い上に攻撃に防御に回復に付加とオールラウンドに対応する。
そして可愛い。
育てんの大変だけどな!!
あと地道に偵察船を強化しておいたのが大きい。
マシロちゃんでも運転できるようタブレットを装備したり――ツクモが魔法を使えるよう俺たちの船に合った小型の魔法変換器を移設したり。
この辺は出発前にレザールに用意させたものであるが。
エンジンも地味にバージョンアップしてあったり、ミサイルも増設しておいた。
イオンエンジンが強い。高いけど強い。
あの小回りの良さはイオンエンジンじゃないと無理だ。
ノブナガの資金回収力が生きた感じである。
「いや、それにしても――もう下手な戦闘用モンスターより強いんやない?」
「みゃん♪」
「にゃん♪」
えへんえへんと胸をはるマシロちゃんとツクモ。
ぴんとのびたしっぽが激可愛い。
「まあな。俺ログアウト不能になるまでひたすらツクモ強化してたし」
「マサムネ……そのプレイスタイル楽しいんか?」
「? 楽しいに決まってるだろ?」
いや実際原野型非戦闘員としては真っ当なプレイスタイルなのだ。
「それに俺ログアウト不能になってからも木の実は基本ツクモに回してたし」
「はあ!?」
「正直もう俺より強いぞ」
「……」
ん?
なんでみんなポカーンとした顔をしてるんだ?
「……ま、まあ、それはさておき船引き取りに行きましょうっすよ」
「そ、そやな」
「う、うむ」
なんかみんな疲れた顔だった。




