切り札~なんやかんやで活躍してるあの人です~
「落雷発生!!」
漆黒の宇宙空間を切り裂く電撃を道しるべに――二隻の旗艦の距離がどんどん近づいていく。
「隕石落下!!」
ウロボロスの旗艦めがけて落下する宇宙塵。
しかし、敵旗艦は四方八方から押し寄せるそれを電磁シールドで弾きながら――悠然と佇む。
ダメージが無いわけでない――外装はかなり傷だらけだ。
しかし、決定打に欠ける。
「……あかん、回復入るわ」
「りょーかい。ドーザン主砲発射して」
「承知」
ガゴンッ!!
ポップアップした主砲にエネルギーが集まり――オレンジに輝く。
「――ファイアアアッッ!!」
かけ声とともに発射された主砲――ホーミングミサイルがシールドを突き破って真っ直ぐに旗艦に着弾、爆発。
ここで初めて。
旗艦がぐらりと揺らぐ。
「……効いてるな」
「ドーザン、後何発撃てる?」
「二発、だな」
「――!! 来るっす!」
お返し、とばかりにミサイルが飛んでくる。
五隻の船から発射されたそれは――当たればただでは済まない。
「――全方位障壁」
しかし、それは。
突如発生した魔法障壁に阻まれる。
「――マサムネ先輩、ナイスっす!!」
「気抜くな!! 次来るぞ!!」
しかし。
「撃って、来ない、だと……?」
五隻とも――不自然に沈黙したまま隊列を組み直す。
突出した自分たちを取り囲む隊列から――横一列へ。
「どういう事だ……?」
「マサムネ」
口を開いたのは――ノブナガ。
「魔法撃てんで」
「――! 撃て!!」
「りょーかい」
ノブナガは船内に据え付けられたスイカサイズの水晶玉――魔法変換器に手を置いて、叫ぶ。
「竜巻発生!!」
吹き荒れる強風。
だが――そこに敵船は無い。
「!? しまった!!」
その瞬間――俺らの船の背後に五隻の船が出現した。
* * *
話は遡って戦闘前――ナティルでの打ち合わせ。
「えーとつまり転移妨害装置の効果範囲は百キロと」
「ええ、実に短くてすいません。なんとかはみ出さないようにお願いします」
「……かなり広いと思いますけどね」
「いえいえ、宇宙ですから。百キロぐらいあっというまですよ」
「あー、そうですねー」
そして、現在。
後方をチェックすれば遙か後方に――転移妨害装置。
どう見ても――行き過ぎだった。
「やっば……!」
「これは、マズい。マズいぞ……!」
「やってもうたね……」
言い訳させて貰えば。
宇宙空間では固定されているものが何もないので――その辺の塵だろうが惑星だろうが衛星だろうが恒星だろうがとにかく動いている――自身の絶対的な位置と言うのを知るのが不可能に等しいのだ。
おまけに空気抵抗も地面との摩擦も何もないので――動き出したら最後動きっぱなしである。
地上のように減速していかない。
素晴らしきかな等速直線運動である。
そんなこんなで――どうやらぶっちぎってしまったらしい。
言うまでもなく――非常にマズい。
「全方位障壁!!」
ドガガガガガガガガッッッッッ!!
――障壁を展開するのがギリギリ間に合ったのは幸いだった。
後方からの集中砲火をかろうじて防ぐ。
しかし、流石に。
このままでは削りきられる。
「ノブナガ!! もう一発竜巻発生撃てるか!?」
「回復せんとムリや!!」
「ちっ!! ドーザン!! 弾幕まけ!!」
「了解!!」
「セイメイもレーザーまいとけ!!」
「了解っす!!」
とにかく打てる手は打っておく。
それしかない。
「右翼と左翼!! 転移妨害装置と共に前進してください!!」
『『『了解いたしました!!』』』
「ついでに背後から撃っといてください!!」
『『『了解いたしました!!』』』
幸いにして挟撃が可能な配置。
援護を要請して――そして。
「ドーザン!! 切り札使うぞ!!」
「……しかたないか」
「ツクモ!! マシロちゃん!!」
『みゃ!!』
『にゃ!!』
しゅたっと敬礼した二匹。
これが俺たちの切り札。
「出発してくれ!! 旗艦の側面に回り込むんだ!!」
『みゃん!!』
『にゃん!!』
ツクモとマシロちゃんによる――偵察機発進である。




