アラクネ~金髪ツインテ縦ロールゴスロリとか盛りすぎだと思います!~
「ようこそ――アラクネへ」
ブラックフェルトハット。
ワインレッドのシャツに細身の黒スーツ。
ブラックタイと黒の革靴。
目元を覆うミラーサングラス。
そして銀色の蜘蛛のネクタイピン。
柔らかな間接照明の中。
制服のように揃いの格好の男たちの中心で、重厚なソファに座っているのは蜘蛛のぬいぐるみを抱きしめた少女だった。
豪奢な金髪は縦ロールのツインテール。
小さなシルクハットを斜めにかぶり典型的なゴスロリファッション。
年の頃は十二歳ほど。サファイアのような瞳は好奇に輝いていた。
彼女がいるだけで――まるで廃工場が宮殿の一室のように見える。
「ああ、外見のことなら気にしないで? ちょっとしたサービスと思って頂戴?」
「そんなら色っぽい和風美人の方がええんすけどなあ?」
「ごめんなさい。着物の着付けが分からなかったの」
なるほど。
流石サイバーパンク。
機械で作った少女の体に脳を移植した――否、遠隔で操っているのか?
周りの男たちも――生身ではないだろう。
人間ですらないのかもしれない。
「どうぞ、楽になさってね? 取って食おうってわけじゃないんだから」
「――ほんなら」
――こういう時のノブナガは。
関西弁がさらにきつくなる。
「何の用でしゃっろ?」
「――私はあなたたちを買ってるの」
桜色の唇に人差し指をあてて――少女は微笑む。
蠱惑的に。魅惑的に。そしてどこか――あどけなく。
「決して強いとはいえない――それなのにここまでやってきた」
幸運だけでは片づけられないわ。
くすくすと少女は楽しげに笑う。
「だから――とてももったいなく感じるの。あなたたちが――ここで終わってしまうことが」
「……終わらせたなかったら、銭詰みいつーこっちゃか」
「逆よ」
「逆?」
ぱちんと少女は指を鳴らした。
黒服の男がアタッシュケースを抱えて進み出る。
バチン!
アタッシュケースの中には――宇宙船のキーが一つ。
「――ウチの船を差し上げる。だからその船で世界蛇倒してもらえない?」
少女は笑った。
支配者の笑みだった。
* * *
宇宙海賊、世界蛇。
アラクネの商売敵だという。
「ウチが蜘蛛で向こうが蛇でしょう? だからどうも折り合いが悪くって」
ころころと少女は笑う。
「全滅させてとは言わないわ。そうね……五台。世界蛇の正規船五台こちらに引き渡して貰えば良いわ」
「実物も見せんでそないなこと言われても――なあ?」
「あら」
すっと。
サファイアの目が鋭くなる。
「私が嘘を言うとでも――思ってるの?」
「思うとるに――決まってますやろ?」
それに、と。
ノブナガは一歩も引かない。
「判子押す前に実物をチェックせえいうんは、騙す騙さへん以前のビジネスの基本やおまへんか?」
「……そう、ね。――良いでしょう」
ぱちんと少女は指を鳴らす。
黒服の男たちが倉庫の扉を開ける。
薄暗い室内を切り裂く陽光。
豪奢な金髪が鮮やかに照り映えて。
「ついてきて。ご案内するわ」
少女はそう言って――立ち上がった。
ノブナガの関西弁がさらに怪しくなりました。
高知県民だしね!!




