猫の聖女が虐げられ子を助けようとした話
神は自分の姿に似せて賢い存在猫を創造された。
猫に神の代わりに地上の支配者の地位を与えたもうた。
だが、下僕がいない。
寂しそうなので土から大きな猫をお作りになり。
猫の下僕とした。
大きな猫は猫のために暖かい石の家を作り。
食事と寝床を用意し。
猫の爪とぎのために家具を作るようになった。
出典 「メス猫教口伝より」
☆☆☆王都某女神教会懺悔室
私はとても無能で役立たずな娘なのです。
あ、名前はスメリー・ゴーランです。
子爵家です。歳は12歳です。
「グスン、グスン・・・」
家庭教師をつけて頂いておりますが、先生達からも勉強が出来ないといつも鞭を打たれています・・・
『また、家門名を間違えて・・・まだ、貴族年鑑全部暗記できないのですか?』
『まあ、この公式は貴方の年齢で使ってはいけないともうしあげたはず。0点です』
一方、義妹のデイジーはとても利発で皆に可愛がられています。
『デイジーは笑顔が可愛い』
『お嬢様、おやつでございます』
そのうち、私はお父様に見限られました。
『スメリーは使用人になりなさい。今のうちに家事、掃除を覚えるのだ』
『はい・・・』
私は何をやってもお父様やお義母様に認めてもらえません。
「どうしたら、良い娘になれるでしょうか?」
・・・そう懺悔室で言うと、神父様は。
「何事も女神様の思し召しです。努力を続けなさい」
とお仰せになったわ。
そうね。まだ、まだ努力が足りないのね。
そう思って戻り屋根裏部屋で掃除の準備をしようとしたら。
「ウニャ!」
真っ白い猫が入って来た。毛は長いわ。
尻尾がまるでホコリ払いのようにフサフサしているわ。
思わず話しかけると。
「まあ、猫ちゃん。迷子なの?」
「ウニャ!お前はパパに相談に来た大きな猫ですね」
猫が話し出した。
「妾はミーシャ。パパの御仕事のお手伝いをしているニャン!」
「ヒィ、猫ちゃん・・・お話を聞いたの?」
「懺悔室でパパのお膝の上に乗っていたニャン!」
神父様は愛猫家と評判だったわ・・・・
「妾は聖メス猫ニャン!大きな猫で言えば聖女ニャン!」
「ええ・・・・」
理解が追いつかない。
「スメリーはパパに愛されたいかミャン?」
「はい・・・」
「妾の言う事を聞くニャン!」
猫ちゃんの言う事をきいてみたわ。
・・・まずニャン。パパは家具を滅茶苦茶にすると喜ぶニャン!
『こら!ミーシャ、また、爪とぎをして、悪い子だな。抱っこの刑だ!』
『ウミュン!』
言われた通り。
デイジーの大事にしている机やテーブル、椅子を投げてみた。
ギャシャン!バタン!ズドーン!
今日はお父様とお義母様はデイジーをつれて観劇だわ。
その間掃除をするように頼まれたわ。
ここまで大きな音を立てたら、使用人達が・・・
「来ないわ・・・不思議ね」
・・・次はつまみ食いをするニャン!つまみ食いをすると・・・
『ミーシャ、ニシンが好きなのか?そうか、私のニシンをあげよう』
『ニャン!』
食堂に入ったら、料理人たちが仕事をしていた。
「あ、スメリーお嬢様のは野菜スープです。さっさと食べて下さい」
だから、
デイジーの分を食べてみた。
ホロホロ鳥のソースかけだわ。
良い子の食事・・・
「お嬢様、それはデイジーお嬢様の分です!旦那様に報告しますよ・・・あれ、体が動かない・・・・」
怒られると思ったら。
ミーシャちゃんがピンと尻尾を立てて入り口にいる。料理人たちを目力で抑えていたわ・・・
「金縛りニャン!」
「ミーシャちゃん・・」
「抱っこして移動するニャン!」
そうね。だからデイジーの家具を壊していたら、使用人が来ないのも不思議な力ね。
「いっぱい悪戯するニャン!」
「はい・・・」
悪戯と理解しているのね・・・
「「「ニャー!ニャー!」」」
「「「ワン!ワン!」」」
どこからもなく猫ちゃんとワンちゃんたちがやってきたわ。
犬は屋敷を走り回り。猫はカーテンやお母様とデイジーのドレスを引っ掻いていたわ。
また、
「カー!カー!カー!」
カラスがやってきて、宝石をくわえてどっかに行ったわ。
「カー!」
「あ、これはダメだわ。これは私のお母様の形見・・・」
「カー?」
カラスさんはやめてくれたわ。
私は胸に大事に抱え込んだ。
これはお義母様の部屋に隠されていた宝石だわ・・・
これから、どうするのかしら?
「ミーシャちゃん。もうすぐ帰って来るわ・・どうしたら良いのかしら」
「ミャン!」
そういうと使用人たちがまるで猫のように箱座りをして門の前に整列した。
「お、お嬢様が魔物使いになった!」
「ゆ、許して・・・下さい。もう、鞭で打ちませんから・・・」
「ミャン!ミャン!」
ミーシャちゃんの鳴き声でワンちゃんと猫ちゃんはそれぞれ帰途につき。
「これを上げるニャン。大きな猫はネズミを捕ると喜ぶニャン!」
ボトンと大きなネズミの死骸を私の前に置いたわ。
まさか、猫の思考でネズミをお父様にあげれば機嫌が良くなると思っているのかしら・・・と思ったらまさかのその通りだったわ。
「ニャン!これをプレゼントすると喜ぶニャン!」
ガクンと膝を落した。
これは怒られるわ。何日、納屋に閉じ込められるだろう。
【これはどうしたことか?!】
「まあ、私のドレスが!」
「お義姉様がやったの?」
「スメリー、説明しなさい!」
「そ、それは・・・この話す猫が・・・」
「ニャー!ニャー!」
「ミーシャしゃん。説明して!」
しかし、ミーシャちゃんは普通の猫に戻っていた。
話してくれない。
顔を洗っているわ。
「お前達も何をしている!」
「あれ、術が解けた・・」
「旦那様、スメリーお嬢様は魔女かもしれませんよ」
「ようし、懲らしめてやる」
お父様が手をあげた。
頭と腹を庇いながら目をつむったわ。また、いつもと同じ・・・・
あれ、いつまでたっても痛みが来ないわ・・・
【そこまでだ!】
「ヒィ、お義父上・・・」
「ダンデイル、貴様との縁はここまでだ!」
「ひ、ヒドいわ。マリアが亡くなった後も養育費渡していたのに・・・」
目をあけるとお祖父様とお祖母様がいたわ。
「見ろ。デイジーのドレス、スメリーに贈ったものだ。ネックレスも・・・」
「スメリー!」
お祖母様に抱擁されたわ。
「グスン、グスン、お祖母様・・・私、悪い子ですわ・・」
「その歳で貴族年鑑を暗記している子はいないわ・・・自信を持って」
「ニャン!」
「おお、ミーシャ、ここにいたか。心配したぞ」
神父様がいた。その後ろには大勢の騎士様達がいたわ。あの装束は聖騎士だわ。
「すまぬな。懺悔を聞いて虐待されていると思って侯爵閣下にお知らせした。自分を虐待されていると気がつかない子が多々いるのだ・・」
「虐待・・・」
「世俗に関わってしまった・・」
「ニャン!」
私はお母様の宝石を取り戻すために決起したと判断されたわ。
それ以来、私はブラウン侯爵家で引き取られたわ。
使用人たちは全員解雇。家門は遠い親戚が継ぐらしい。
お父様とお義母様は債務奴隷に堕ちて、デイジーは修道院に預けられたと聞いた。
あれからもお礼に女神教会に行くが・・
「ニャン!」
あの白い猫は言葉を発しない。
「ミーシャちゃん。有難うね・・・」
「・・・シャア!」
抗議の目で見られたわ。雀を狙っている。狩りの途中ね。邪魔してはいけないわ。
背を向けて歩くと・・・
「し、失敗したニャン!」
声がした。
振り向くと、雀たちが逃げていたわ。
「クスッ」
「ニャン!」
あれは幻覚ではなかったわ。
今度猫ちゃんにお魚を持って行こうと思う毎日だ。
最後までお読み頂き有難うございました。




