2-2
白石真理子は、検査結果の衝撃と戸惑いを胸に秘めながらも、冷静さを取り戻そうと努めていた。
誰にも相談できない孤独感が重くのしかかる。
「このまま一人で抱え込むのは危険だ。専門的な知識を持つ人に話を聞いてもらわなければ」
彼女は仕事の合間を縫い、信頼できる専門医を探し始めた。
国内の産婦人科の第一人者、遺伝子学の権威、そして希少疾患を研究する医師たちの名前を一つ一つメモに書き出す。
白石はそれらの医師の論文や研究成果を読み込み、連絡先を調べた。
深夜、自宅の小さな書斎でパソコンの前に座り、何度もメールを作成し送信した。
しかし、返信がないことも多かった。
忙しい現代医療の現場では、こうした問い合わせは軽視されがちだった。
それでも諦めずに連絡を続けたある日、研究医の小島から返信が届いた。
「お話を詳しくお聞きしたいです。」
その言葉に、白石は初めて胸の奥にほっとした温かさを感じた。
彼女はすぐに返事を書き、島で起きている不可解な妊娠のこと、自身の状況、そしてこれからどう進めるべきかを打ち明けた。
こうして白石は、一人では解けない謎に挑むため、新たな協力者を得て、調査の第一歩を踏み出したのだった。