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紬はゆっくりと成長し、毎日をのびのびと過ごしていた。柔らかな笑顔を浮かべながら、家の中を歩き回る姿は、家族にとって何よりの喜びだった。
朝は白石が用意した朝食の香りが部屋に広がり、健太は仕事へ出かける前に紬の小さな手を握って優しく「行ってきます」と声をかける。美咲は紬の髪を結いながら、微笑みを絶やさず、どんな時も家族みんなを支えていた。
夕暮れ時、家族はリビングに集まり、笑い声が絶えない時間を過ごす。紬はおもちゃを手に、健太や美咲と遊びながら、周囲の温かさを全身で感じていた。
窓の外から聞こえる風の音も、家の中の幸せな空気の一部のようだった。どんな困難があっても、家族が一緒にいることで、紬の世界は安全で満たされていた。
白石は医師としての忙しさの合間にも、家族との時間を大切にし、紬の成長を見守り続けた。彼女の眼差しはいつも優しく、紬の一歩一歩に寄り添う母のような温もりに満ちていた。
この家は、紬にとっての安らぎの場所。笑顔と愛情が溢れ、これからもずっと続いていく、幸せな日々の始まりだったと思っていた。




