23/86
4-5
「この現象は偶然ではありません。島外にも広がっている可能性が高い」
小宮は緊迫した表情で言った。
この情報は政府の内閣官房へも届けられ、関係機関は重大な事態として受け止める。
近く首都で開かれる国家プロジェクト会議では、今回の「奇跡の子」に関する公式見解の策定が急務となった。
厚い扉の会議室。
官僚や科学者たちが長いテーブルを囲み、資料や遺伝子データのプリントが並べられている。
「これまでに確認された症例数が増加し、島外でも類似事例が報告されていることは間違いありません」
小宮が慎重な口調で報告する。
「国民にどう説明するか、情報公開の範囲、そして倫理的問題への対応策が求められます」
官僚の一人が重々しく言葉を続ける。
「しかし、過度な情報開示は社会不安を煽りかねません」
別の委員が懸念を示す。
会議は長時間に及び、公式声明の内容と発表時期について議論が白熱する。
その一方で、情報は一部メディアや関係者の間で徐々に漏れ伝わりつつあった。
外の世界はまだ静かなままだが、嵐の前の静けさを思わせる緊張感が、会議室に満ちていた。




