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胸の奥で、不意にもう一つの鼓動が確かに響いているのを感じた。
それは瑞希自身の心臓の音とは違い、小さく、弱々しいけれど確かな存在感があった。
「どうして、こんなことが……」
声にならない問いが胸に込み上げる。
何度も自分に言い聞かせた。
「これは間違いだ。ありえない。」
しかし、目の前に広がる現実は容赦なかった。
誰にも話せず、ただひとり、静かな診察室の片隅で、瑞希は震えていた。
翌日、島の月一度の産婦人科医・白石真理子が診療所にやってくる。
彼女は都会の病院から派遣されてきた若い医師だったが。
瑞希は迷いながらも白石にすべてを打ち明ける決心をする。
白石は最初、半信半疑だったが、詳しい検査と問診の末、事態の異常さに気づき始める。
こうして、島を揺るがす奇妙な現象の真相を探る旅が始まった。