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【完結済】モブの俺。クラスで1番のビッチギャルに告白される。警戒されても勝手にフォーリンラブでチョロい(挿絵ありVer)  作者: 白井 緒望


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第87話 そんな彼女をひたすら愛でてみる。

 ふと、思ったのだ。


 ひたすらに一歌を愛でてみると、何が起こるのだろう。


 そこで今日は、全身全霊で、一歌をひたすら愛でてみることにした。今日は、一歌が服をみたいというので、駅前で待ち合わせをしている。


 待ち合わせ時間は13時。そして、いまは12時45分……。初デートの時は、随分とまたされたっけ。



 「おまたせっ♡」


 しばらく待たされるだろうし、缶ジュースでも買おうかと思っていると、一歌に声を掛けられた


 時計を見た。

 すると、まだ12時50分だった。


 すごい成長だ。

 すると、一歌が覗き込んできた。


 「蒼くん……どうしたの?」


 「いやさ、初デートの頃からすると、大進歩だなぁって」


 すると、一歌は首を傾げた。


 「遅刻なんてしたっけ? 覚えてないし」


 都合の悪い記憶は消去されているらしい。

 ちょっとイラっとする。


 俺は首をふった。

 イカン。今日は一歌を愛でる日なのだ。


 すると、そんな俺のことを、知ってか知らでか一歌は続けた。


 「仮に遅刻してたとしても、今日、早くきたから相殺だし!!」


 いやいや。

 あなたの遅刻は45分ですし。

 まだ差し引き35分のマイナス……。


 それにしても、今日の一歌は、なんだかツンケンしてるな。


 そんな一歌を足元から見てみる。


 黒いパンプスに白いスカート。淡いグリーンの薄いカーディガンを着ている。


 足首はキュッとしていて、鎖骨のかたちが綺麗だ。自分の彼女ながらに、良い身体をしていると思う。


 すると、なぜか一歌にジト目で見られた。


 「あれ、どうしたの?」


 「蒼くんが変なとこみてるし」


 「え、なんで。鎖骨みてただけだけど」


 「ヘンタイだしっ。鎖骨なんて男も女も変わらないじゃん。胸とかお尻見てる人の方がまだマシだし」


 鎖骨は、マニアックすぎてNGらしい。


 「じゃあ、遠慮なくお尻を見せて……」


 ……って、スカートだからシルエットすら見えないじゃん。


 ま、いいか。

 

 「じゃあ、そろそろ行くか」


 俺がそう言うと、一歌は不満そうな声を出した。


 「お尻見といて、感想ないの?」


 なぜか睨まれているぞ。


 「いや、スカートだからラインも見えないし感想も何も……」


 なぜか一歌はむくれている。

 女心はよく分からん。


 その後は服を見に行った。

 一歌が何着か着て、その都度みせてくれる。


 試着室のカーテンが開いた。


 「ど、どうかな?」


 一歌はそう言ったが、胸元が絞れていて、バストラインがよく見えすぎる。


 (ちょっと、この服で他の男の視界に入ってほしくない)


 「んー、その服はいまいちかな」


 そう言うと、一歌は舌をべーっと出した。

 なんだろう、やはり不機嫌みたいだ。


 担当してくれた店員さんに話しかけられた。


 「可愛い彼女さんですね」


 「ほんと、可愛いと思います」


 すると、なぜか一歌がカーテンの間からじーっと見ていた。


 そしてひとこと。


 「デート中なのに、店員さんナンパしてるし」


 えーっ!?

 とんだ言いがかりだ。


 たしかに、胸が大きくて可愛い店員さんだが。


 「鼻の下のばしてるし」

 そういうと、一歌はまたカーテンを閉めてしまった。


 おれ、鼻の下のばしてた?

 たしかに店員さんの胸を見ていたけれど……。

 もうちょっと本心を隠す練習しないと、ヤバいな。


 

 その後はブタカフェにいった。

 すると、ピギ丸がいなくなっていた。


 一歌は落ち込んでいる。


 「大丈夫だよ。ピギ丸はきっと有給なんだよ」


 お肉になったのでは……と思ったが、さすがにそれは言うのをやめた。

 

 一歌は俺の袖をつかんだ。


 「……寂しい」


 「うん」


 「蒼くんと仲良くなったキッカケのブタさんだし」


 たしかに。


 2回目のデートでピギ丸に脱糞をかまされて、一歌とホテルにいって、一緒に遊んだんだっけ。


 それから仲良くなった気がする。


 あの時、ピギ丸がいなかったら、一歌とも違ってたのかもな。


 そういえば、今日の一歌は機嫌が悪かった。

 なんでだろう。



 乙女心と秋の空というけれど……。

 一つ、実験をしてみよう。



 「……さっきはなんで怒ったの?」


 「そんなの自分で考えて欲しいし!!」


 来た。

 究極の2択。


 怒らせてる時点で、理由なんて分かるわけがないのだ。


 しかし、決して「分からない」と言ってはいけない。分からなければ、それ自体が理由に昇格して責められ、分かったなら、それはそれで不作為を責められる。


 なんだろ……。

 なんだか最初から不機嫌だった気もするが。


 「うん、服にダメ出ししたから?」


 一歌は下を向いた。


 「蒼くん、わたしに何もしてくれないから。わたしに興味ないのかなって……試着しても興味なさそうだし」


 少し意外だった。

 ちゃんと身体を褒めなかったのもダメだったみたいだ。鎖骨とか見てる場合じゃなかった。


 「ダメ出ししたのは……」


 俺がそういうと、一歌は不安そうな顔をした。

 

 「うん」


 嫉妬していたなんて、恥ずかしくて言えないっつーの。でも……。


 「……他の男が、俺の一歌をいやらしい目で見そうでイヤなんだよっ!!」


 一歌は少しだけ口元を綻ばせた。


 「……嬉しい。そう言ってくれたら、嬉しいことだったのに」


 ん?

 なにやら嬉しそうだぞ。


 もっと褒めてみるか。


 「あのさ、一歌。今日の服。すっげー、可愛い。カーディガンの色も今年の流行色だろ? 一緒に行った海みたいだな」


 「うん♡」


 「いつもありがとう。デートの度に可愛い格好してくれて」


 「お尻の感想は?」


 ここは素直に……。


 「見てると興奮する。触りたい」


 「じ、じゃあ、わたしの胸は?」


 「……揉みたい」


 「わたしに、興味がない訳じゃないの?」


 「こんな可愛い子に、興味ない訳ないじゃん」

 

 「だって、過去に色々あったし。もしかしたら、わたしはそういう対象じゃないんじゃないかって……メンタル彼女っていうか」


 メンタル彼女って、なんだ?

 レンタル彼女の聞き間違えかと思ったぞ。

  

 でも、そんな風に思ってたのか。

 いつも一緒にいるから油断していた。


 俺は一歌のお尻を鷲掴みにした。


 「……あんっ♡」


 あれっ、怒られない。


 っていうか、はじめて掴む女の子のお尻、柔らけー!! ちょっとクセになりそう。



 じゃあ、胸もいけるか?  

 胸をさわ……る前にデコピンされた。


 「……ここではダメだし!!」



 気持ちは言葉にしないと伝わらないものらしい。一歌がいっぱい愛情をくれるから、忘れてた。


 ってことは、スタートから機嫌が悪かったのは……。


 「一歌、今日は時間より早くきてくれて、……それだけ楽しみにしてくれてたってことだろ? ありがとう」


 一歌の頭を撫でた。


 「えへへ」


 すると一歌は、髪を撫でる俺の腕に、猫のように頬をすり寄せてきた。


 最初からツンケンしてると思ったけれど、ツンケンさせたのは俺だったらしい。


 ……最近、色んなことがあったし、2人の時間が足りなかったのかも。



 もし、どちらかに何かあったら?

 もし、俺が病気になって、一緒にいれる時間が残りわずかになっちゃったら?



 気持ちは伝えられる時に、伝えておかないとな。


 一歌の顔を見る。


 「一歌。好きだよ。誰よりも」


 一歌は俺の腕をギューっとした。


 「……うん♡」



 なんだか、明日も一緒にいたいな。

 

 「一歌、明日、どこかに出かけない?」


 「え、明日はガッコ……」


 「明日はテスト前で自習だろ? サボるんだよ」


 「わかった♡」


 彼女と、もっと一緒に居たいから。


 たまにであれば、それは。

 学校や仕事よりも優先度の高い理由だと思う。

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