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【完結済】モブの俺。クラスで1番のビッチギャルに告白される。警戒されても勝手にフォーリンラブでチョロい(挿絵ありVer)  作者: 白井 緒望


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第67話 そんな彼女の彼氏の友達のはなし

 俺らは身を潜めた。

 すると、一組のカップルが入ってきて、数メートル離れたシートに座った。


 女の子は、……美桜だ。

 男の方は、大学生くらいに見える。 

  

 いや、相当にハンサムだ。


 俺は横の男(隆)と交互に見た。



 「……ドンマイ」


 隆の肩を叩いた。


 美桜と男の会話の内容までは聞こえないが、美桜は終始笑顔だった。

   

 愛紗がツンツンしてきた。


 「隆、美桜に電話するのじゃ。それで本心が分かる」


 いや、それは酷だろう。

 やめといた方が。


 しかし、隆はスマホを手に取った。

 

 (すげー。勇者だ)


 電話をかけるが通じない。美桜は一瞬スマホに視線を落としたが、すぐに顔をあげた。


 「俺なんだけど、今どこ?」


 隆は、留守電を残してるのかな?

 すると、愛紗が通話に割って入った。


 「あの。わたし、隆とつきあってるんですけれどぉ〜? あなただれ? この泥棒猫っっ」


 愛紗はニマニマしている。


 いや、この人。

 絶対、泥棒猫って言ってみたかっただけだよね?

  

 すると、美桜はまたスマホを見た。留守電のテキストメッセージを読んでいるみたいだ。


 顔色が変わった。

 ここからでも分かるくらいに、ソワソワしている。


 隆のスマホが光った。

 美桜からメッセージが来たようだ。


 隆は画面を見せてくれた。


 「なんか留守電に女の声入ってるんだけど。浮気とか最低なんだけど」


 「……」


 やばい。こいつ最低だ。

 いや、これが女子高生という生き物の普通なのか?


 一歌は?

 一歌もこんなんだったらすごくイヤだ。


 隆は泣きそうな顔をしている。


 すると、愛紗が隆のスマホを奪って、何か入力した。


 「ちょっ、愛紗、やめ……」


 「送信っと♡」


 愛紗はドヤ顔だ。


 俺は恐る恐る、愛紗が打ったメッセージを確認した。


 「自分は男と会ってるくせに、何言ってんの? このヤリマン。隆は、わたしがもらうから。さよなら、泥棒猫さん♡」


 あーあ。

 これ、もう終わったでしょ。


 えと、美桜浮気調査団。

 活動完了、これにて解散です。


 お疲れ様でしたぁ!!


 「隆。マジごめん。おれがこのクソガキ連れてきたせいで」


 「いや、いいよ。むしろ、本性わかって、すっきりしたわ。愛紗ちゃん、ありがと……」


 「あぁ」


 「でもさ。初めての彼女がこんなだなんて、やっぱショックだよ。最高の彼女だと思ってたのに……うう」


 隆は泣き出してしまった。

 その様子をみていて、胸が痛んだ。

 

 (少し前の俺も、同じようなこと言って泣いてたよな)

 

 愛紗が、いつのまにやら移動して隆の背中をさすって、声をかけている。


 (少しは優しいところあるじゃん)


 「そうかそうか。酷い女じゃ、気持ちはわかるぞ」


 いや、大半はアンタのせいですけどね。


 「それに、おぬし、思ったより男気があるな。本気で友達紹介してしてやるから、元気出せ」


 「いや、愛紗ちゃんがいいかな。優しいし」


 は?

 隆。お前バカか?


 現在進行形で、この悪魔に泣かされてるじゃないか。


 愛紗は自分の両肘をかかえて、身体を左右に振った。


 「すまん。我の処女は、兄貴に捧げると決めておる。だから、すまぬ」


 おーい。

 そういうブラックジョークやめて?


 世間の人は信じちゃうんだからぁ。


 隆は愛紗を見た。


 「そっか。わかった。愛紗ちゃん。俺、その恋がうまくいくように協力するからっ」


 なんだか無駄にカタルシスに晒されてるし。


 すると、愛紗は隆の手を握った。


 「ありがとう、ありがとう!! 我も恩返しがしたい。だからちょっと、君のスマホかして」


 隆は愛紗にスマホを渡した。

 愛紗は受け取るなり、何かを入力した。


 「送信っと♡」

 ドヤ顔の愛紗。


 「おま、何入れたんだ……」


 俺の言葉が終わる前に、変化が生じた。



 ガタタッ


 店内の注目が集まる。

 その視線の先は、美桜だった。


 美桜は明らかに狼狽している。


 「ち、ちょっと、わたし、今日はこれで帰るからっ。ごめんっ!!」


 ここからでもハッキリ聞こえるような、大きな声だった。   


 美桜は走って店から出て行った。

 俯いて、歯を食いしばっているように見えた。


 何があった?

 どうして、こんな急展開に?



 「トドメを刺してやったわ」   


 愛紗はそう言うと、ドヤ顔で、 隆のスマホの画面をこっちに向けた。



 「おまえ、とんだクソ女だな。別れよう。もうメッセージ送ってこないで」


 ……。



 クソはお前だろ、このクソガキ。

 隆、マジごめん……。

 

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