第59話 そんな彼女のご褒美タイム
ごくり。
言われた通りに、ベッドに横になった。
すると、ふわっと一歌の匂いがしてきた。
促されて、うつ伏せになる。
「今日は頑張りました♡」
一歌はそう言うと、一歌は俺の太ももの辺りに乗ってくれた。そして、肩のあたりを掴むと、揉んでくれた。一歌の重みが心地いい。
「はぁー、極楽極楽」
思わず声が出てしまった。
って、マッサージかよっ!!
ま、確かに気持ちいいけど。
一歌は笑った。
「極楽だってぇ。おじいさんみたい」
「だって、健全なご褒美で、普通に気持ちいいなぁって」
「じゃあ、上になって」
「え?」
「表側も揉んであげる」
仰向けになると、一歌が乗ってきた。
俺の下腹部に、一歌の体重がかかる。
首周り、脇の辺り、横腹のあたりをマッサージしてくれる。これは……、普通に気持ちいい。
しかも、一歌の形の良いお尻が押し付けられている。きゅっと細い足首。華奢な鎖骨のライン。たわわなバスト。我が彼女ながらに、極上ボディ過ぎる。
あ、やばい。
下半身が激しく反応した。
「……んっ♡」
そう言うと、一歌は身体を持ち上げた。
……気づかれたかな?
ドン引きされたらどうしよう。
マッサージで欲情したとか、痛すぎるよね?
「はい。マッサージ終わりっ」
一歌はそういうと身体を起こした。
よかった。
気づかれなかったみたいだ。
すると、一歌はペロッと舌を出した。
「……えっち♡」
あー、バレてるや。
この場にこれ以上、留まるのは危険だ。
理性を保てる気がしない。
「な、どっか食事いかない?」
「ん。作ってあげるよ」
え?
一歌の手料理?
「一歌、料理できるの?」
一歌はぷーっと膨れた。
「できるし!!」
そっかあ。
一歌の手料理かあ。
めっちゃ楽しみだ。
おれは一歌の部屋で待っている。
……30分経過。
……60分経過。
……大丈夫か?
包丁で怪我とかしてないだろうか。
「一歌!! 大丈夫か?」
キッチンに行くと、一歌が座り込んでいた。
その姿をみてドキンとした。
怪我でもしたのか?
「一歌。怪我してない?」
すると、一歌は泣き出してしまった。
「ひっく……、蒼くんに、美味しい物作ろうと思ったのに、うまくできない〜」
天板の上には、残骸が色々残っている。
うまく切れていないニンジン。
ピーラーで中途半端にむいたジャガイモ。
頑張ってくれた跡だ。
「一緒に作ろうか?」
俺がそう言うと、一歌は恥ずかしそうにして、頷いた。
「うん……」
その後は、一歌と一緒にカレーを作った。
ポテトサラダにプチトマトをのせて。
一歌の部屋で食べることにした。
「蒼くん。ごめんね。手伝わせちゃった。わたし、見栄はってダサ……」
「そんなことないよ。女の子と一緒に料理したの初めてだったし」
「わたしも、男の子と作ったの初めて♡」
「おれ、好きなの一歌だけだから」
「蒼くん。指にカレーついてる」
一歌は、俺の指を口に含んだ。
ペロペロと指の間まで舐め回す。
やばい。気持ちいい。
人間って指の間が性感帯なのか。初めて知った。
俺と目を合わす。
一歌の瞳は潤んでいた。息遣いも荒い。
「……これがホントのご褒美♡ 」
「あの。もうそれくらいで……」
勘弁して……。
俺のその言葉を聞くと、一歌は小悪魔的な笑みを浮かべ、チュパチュパとストロークするように舐めじめた。
「これは、心配させられたお仕置きだし♡」
イヤらしい舐め方。
やばい。気持ちいい。
それに一歌の、猫のような。
俺を誘惑するような目つき。
やばい。
もう限界。
「あん……」
どすの効いた嬌声が響いた。
え。いまの俺?
変な声でた。
俺、変な声でたぁぁぁー!!
一歌はニヤニヤしている。
「蒼くんの声、女の子みたい♡」
恥ずかしい。
死にたい……。




