狐に包まれる―月の王子―その後・・・
月首都・エメット・・・
ここは、巨大なドームにおおわれている。
外惑星の岩石や、木星の大気からつくった空気や水が、ふんだんにある。
ほんの数百年前の「死の星」ではないのだ。
人類が、月へと進出して月人類と地球人とに分かれて戦争。
しかし、月の王子ライエルと地球の稲荷神の姫・京狐の婚姻が、執り行われた。
やがて、先王は退位した。
王に即位したライエルは、宮殿の中庭にいた。
「あれから、一年か・・・」
ライエルは、妻・京狐の肩を抱いた。
「あんまり、無理をするなよ。」
「うん!」
京狐は、その大きな尻尾でライエルの身体を包んだ。
大きくなったお腹をなでる。
新しい命が、宿っていた。
「この子が、新しい人類になるんだよね!」
「そうだね。
これから、君の一族もある程度移住してきているし。」
「稲荷電鉄」の支社長が、赴任したり「稲荷銀行」の支店もできている。
そうして、次の世代は続いていくのだろう・・・
未来へ・・・