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報告書 Ⅰ
報告書Ⅰ
ご依頼通り、惑星探査機より回収された生命体01について調査結果をご報告させていただく。大きさは二センチメーターほどの黒球。表面がざらざらとしていたが、それは髪の毛のように繊細な触手が無数に生えていることが原因であることがわかった。目や鼻などの顔の機関、肛門や性器なども存在していない。研究員の物理的接触や会話的接触にも反応を示さず、時折、不規則に転がるのみであった。
攻撃性は今のところ確認できず、それゆえ安全ではあるものの、言語的・非言語的問わずコミュニケーションをとることが困難なため調査は難航している。地球上で定義できる生命体であるのかすらわからない。今後、調査は食事など活動源に関するものを行っていく。この生命体がいつまで生存し続けるか不明であるからである。
研究責任者 花月信二