2:雨宿り その2
GW本番ですが、引きこもりのまま更新行きます!
「ぐへー」
「はふー」
「ぐたー」
「にゃふー」
3人と1匹は自堕落に倒れていた。
結局、全員で飯を食い、宿の浴衣に着替えてイイ感じでゴロゴロしていた。
「なんか、凄く居心地が良いな!」
「ん? そうか?」
セイルの口から勇者が言うと、ファミの口から魔王が文句ありげな声が応えた。
「ワレはどうもチクチクと針で突かれているような感覚がある」
「虫でもいるのか?」
「え~!? ファミ、虫いやだよー!」
「いねぇよ! ファミだけ刺す虫なんていたらおかしいだろ」
「ファミ、虫に好まれる体質?」
「そんなことないよ~! ジェイくんに好かれる体質ならそうだと思うけど?」
「絶対違うと思うぞ」
「ジェイくんひどい~!」
ファミがプンプンしている横で、セイルはフンフンと鼻を腫らしていた。いや、これは勇者だ。
「しかし……綺麗すぎて落ち着かん感じもするな」
「いつも薄汚いところで寝泊まりしておったからであろうが、勇者パーティは」
「そりゃその通りだな! 貧乏旅だったからな、オレたちは!」
「国の命運をかけて魔王と戦ってたのに貧乏ってひどくないか、それ?」
俺は思わず突っ込んだ。てっきり最高の装備、最高の待遇で旅をしてたんだと思ってたぞ。
「もうボロボロだったな。今の普通の冒険者の方がマシな装備だったぞ」
「それでよく魔王を倒したな……」
「はっはっは! そこはもう気合いと筋肉だ!」
「待て! ワレは倒されておらんと言うておるであろうが!」
異を唱えたのはもちろん魔王だ。
「オレがいるんだから、倒れたのは貴様だろう!」
「ワレもいるのだから、倒れたのは貴様であろう!」
「誰か証人はいなかったのか?」
「オレは確か……ひとりで魔王に向かったからな」
「ワレの配下は皆倒された……はずだな」
「だったら、おまえらふたりで納得するまで話すしかないよなあ」
「もうひとり……誰かおったような気がするのだが……」
「そんなわけはあるまい……。いや、いたような気もするな」
「「誰だ?」」
「わかったー! ジェイくんだー!」
「いや、それはありえないだろ!」
ポンと平手で突っ込みを入れる。
「ジェイくんならありえるよー」
「ジェイトならやる」
「おまえらの中で俺はどういう位置づけになってるんだ?」
「ジェイくんはジェイくんだよー」
「ジェイトはジェイト」
「謎の信仰だにゃあ」
ニャオウがう~んと背中を伸ばしながら言うと、俺の背筋にゾゾッと寒気が走った。
「やめろ! 宗教なんてものは絶対認めないからな!」
「神を否定するのかにゃ?」
「ああ、俺は生まれた時から宗教が大嫌いなんだ!」
「ローネちゃんを助け出すのもそのせいだよねー」
「ん……まあ、その一環だな」
「ジェイくん素直じゃないー」
「ジェイト、性格曲がってる」
「しかし、何か恨みでもあるのか? 洗礼で恥ずかしい名前をつけられたとか、教会の司祭に悪戯されたとか」
「最悪だな、それ。そんな例があるのかよ?」
「いや、わからんが、メディーナ教ならありえる話だな。昔からあの連中は……」
「ああ、そうだったな。ワレに対しても蛇蝎のごとき扱いだったわ」
「魔王はわかるが、送り出した勇者からも嫌われるなんて、ひでぇ宗教だな」
「だから、貴様もそうなのかと思ったのだ」
「そんなんじゃない。単に虫酸が走るだけだ。それに――」
「まだなにかあるのか?」
「ファミとセイルが魔王と勇者の生まれ変わりだってわかったら、直接話もせずに離れていった村人……。宗教が名前だけでファミを悪だって決めつけた。ああいうのは許せないんだよ、俺は」
「ジェイくん……」
「ジェイト……」
いきなりふたりが俺に抱きついてきた。ファミはいつものことだが、セイルまでこの反応は珍しい。
「青春だにゃあ」
ニャオウが間の抜けた声を上げた。
「しかし、一向に雨が止まねぇな」
俺はザアザアと打ちつける雨音に顔をしかめた。




