3:次の目的地は? その1
「で、なんだ、おまえ?」
俺は変態呼ばわりした女を捕まえて問いただす。
「変態に答えたくない」
「俺は変態じゃない!」
「公衆の面前であんなことを叫ぶ奴が変態でなくて何なんだよ!?」
「俺もそう思うが、それは初代勇者に言ってくれ」
「勇者? それって――」
「ジェイくん、見てくれたー?」
いきなりファミの声が飛んできた。振り向けば、ファミとセイルとローネが俺の方に駆け寄ってくる。と、元気よく手を振っていたファミの動きが凍りついた。
「ジェイくんの浮気者~っ!」
「短時間でまた女が出来た」
「ジェイト、さすがに見境がないと思うぞ」
「そうじゃねー!」
「ねえ、ジェイくん、不細工なおっさんまで守備範囲だったの?」
「しかも、縛り上げている……」
「男にしてももう少し可愛い男にするべきだと思うぞ」
「どこをどう見てもそうじゃねー! ローネまで乗ってくるな!」
「悪い悪い」
ローネは男たちを探るように見ていたが、冷たく言う。
「ふん、第2王妃の手の者か」
言われた瞬間、男たちの顔にかすかな変化があった。あ、図星か。
「殺せ」
吐き捨てるように言われて、ムカッとする。
「いや、口封じなら自分で死んでよ。殺してもらおうなって了見が甘すぎだろ、刺客のくせに覚悟がなさ過ぎ」
「うむ、確かにな。さすがジェイトだ。いいことを言うな」
「とは言っても、殺すの面倒だしなぁ」
「では、死なぬ程度に記憶をいじってやろうか?」
ファミが魔王の声で提案する。
「出来るのか?」
「死んだ方がマシと思うかもしれぬがな」
「じゃあ任す」
「いいじゃろう」
ファミが邪悪な笑いを漏らしながら男たちに手をかざすと、その後、半時間ほど阿鼻叫喚な感じで俺は目をそらして耳を塞いだ。ある程度、慣れていそうなローネまで顔を背けている。
「終わったぞ」
「死んでないの、これ?」
どうみてもゾンビな状態でフラフラと立っている男たちを示す。
「生きとるぞ。まあ、問題なかろう」
魔王のお墨付きを得て5人を自由にする。
「第1王女とその協力者はいなかったと報告してこいよ」
ぼーっとした顔で歩き去る5人を見送り、残された一角族の女の子に注意を向ける。あの騒動の混乱で逃げなかったのは茫然としてたからなのか、なにか用があったからなのか?
「で、おまえ、なんで逃げなかったんだ?」
「へ? は? あ、そっか! じゃあ、そーゆーことで!」
あ、完全に忘れてたな、こいつ。
愛想笑いを浮かべて逃げようとしたが、さすがに今さら遅い。
逃げ切れるわけはないと観念したのか、一角族少女は肩を落として神妙な顔をした。まずは名前でも聞くかと思ったしたところで、魔王が顔をしかめた。




