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わたし魔王の生まれ変わりなの、と幼馴染みは言った。  作者: 神代創
8章 村人Aは刺客に狙われる
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2:色街の乱闘 その3

 振り向くと、男が5人。先頭の男が俺の後ろにいる女の子に向かってナイフの切っ先を向ける。


「よくやった。おまえは苦しまずに一瞬で殺してやんよ」

「え!? ちょっと! 約束が違うだろ!」


 予想外のことを言われて女の子が抗議の声を上げた。

 いや、こんな男が約束なんか守りそうな顔に見えるかね? 絶対無理。


「で、俺に用?」

「いや。おまえの死体に用があるだけだ」

「あー、そういうことね。装着っ!」


 叫びと同時に初代勇者の甲冑が俺を包み込んだ。


「な、なんだ、こいつ!?」

「逃げるぞ!」


 俺は仕方なく女の子を抱えると跳び上がった。


「うひゃうっ!?」


 女の子が変な声を上げる。


「舌噛むぞ」

「んー! んー!」


 屋根に着地すると、走り出す。


「逃がすかっ!」


 男たちは俺の後を追って地上と屋根に分かれて走ってくる。しつこいな。よっぽど俺に金がかかってるらしい。その分、俺にくれ。


「待てや!」


 小柄な男がすぐ後ろまで追いついてきた。こっちは甲冑のせいでスピードはない。ジャンプは高く飛べるけど。

 足を止めて一発殴ろうと空いた右腕を引き絞った時だった。目の前にむっちりした双球がボインと出てきた。

 慌ててかわそうとしたが、足がついてこない。スマンと心の中で謝りながら胸を道連れに倒れる。


「ん、あ?」


 胸は潰れるどころかクッションにもならず、俺はひっくり返った。兜が割れ鐘のようにガアアンと響き、耳がおかしくなる。

 襲ってきた男は倒れた俺を見て不思議そうな顔をしていた。つまり、こいつのせいじゃない?

 起き上がろうとすると、今度は胸が3つ。大中小と並んで揺れ始めた。


「なんだよ、これ!?」


 ん? 大中小?


「この大はファミか!」


 ファミの胸の向こうにいる男に腕を振り払うと、胸が揺れずに男が吹っ飛んだ。


「いや、なんでこんなけしからんことを……じゃねぇ!」

「いたぞ!」


 屋根を走ってくる男がふたり。俺を指さしている。視線の先にはもうふたりの刺客がいるんだろう。

 何がどうなっているのかわからないが、今は逃げないと。

 振り返ったらローネが大胆に胸元が開いた服を着て、俺を見ている。ちょっと恥ずかしそうにしているのがファミと違って可愛いな。

 じゃなくて! なんなんだ、これ!?

 今度はセイルが手招きして、苦労して作った谷間に誘う。これは涙ぐましい努力だ。

 どうやらソーコちゃんが見た光景を俺に強制的に見せてるらしい。

 そこでファミに渡された首飾りを思い出す。しかし、今甲冑を着た状態では外せない。

 背後から迫ってきた刺客のナイフにローネのお尻が重なる。ナイフを籠手で弾こうとすると、ローネのお尻をひっぱたくようになった。思わず手を引っ込める。

 ああ、もう面倒だ。逃げるのやめ。

 俺は女の子を担いだまま屋根から飛び下りた。わざと人のいない袋小路を選んで隅に女の子を降ろす。

 すぐに4人が追いついてきた。


「追いつめたぜ」


 さっき逃げられたのに、自信満々でそう言う神経が理解出来ない。


「俺を本気にさせるヤツに初めて会ったぜ。この蛇目のスネ――」


 最後まで言わせる必要もないよな。ひょいと前に跳んで拳を突き上げると、男は名乗りも出来ずに宙を舞っていた。

 残りの三人も同時に襲ってきたが、ボスが吹っ飛ばされるのを目で追っている間に自分たちにも攻撃が飛んでくるのに気づかなかった。そのまま失神。


「終わったかな?」


 周囲を確認して女の子を左腕から降ろす。目を回してフラフラしていたが、なんとか自力で立った。逃げる気力はなさそうだ。


「裸が好きっ!」


 お決まりの呪文を叫んで勇者の甲冑を外した俺を、女の子が恐ろしげな物を見る目つきで凝視していた。


「へ……変態ーっ!」


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