2:色街の乱闘 その1
シュノバの町は全体を石材の壁で囲われた城壁都市の小型版になっていた。多分、色街ということで奴隷や娼婦が逃げ出さないようになっているんだろう。
「ジェイくん、これ持っててね」
町に入る前にファミが俺に手渡したのは首飾りだった。
「なんだ、これ?」
「女だけで遊びに行くというから、場所がわかるように魔法を込めておいた。用事が終わったら連絡が行くであろう」
魔王が代わりに答える。えーっと、つまり、俺だけ別行動ってことか。
「わかった」と手を振って、俺は町に入る。
なんだか、村を追い出されてからずっと一緒だったから、ひとりになるのは久しぶりだ。いや、村でもファミとセイルは一緒だったような気がする。
「さて、どうしよう?」
改めてひとりになると何をしたいのかよくわからない。いっつも3人だったからなぁ。それが魔王と勇者が加わり――というか、人数は3人のままなんだけど――おまけにニャオウとソーコちゃん、さらにローネが加わって賑やかになって、ひとりでいることがなくなってたんだ。
まあ、町に入ってなんか見て時間を潰してりゃいいか。
そう考えて、通りを進んだ。
色街と言われても、初めて入ったのでどういう感じかわからなかった。
一番近くだった町には娼館はあったと思うが、1軒くらいだったし、中に入ったこともなかった。まして、町全部が娼館やそこに関わる店ってのは想像したこともない。
とはいえ、見た限りは飲み屋街とあんまり変わらない。表通りだからだろう。違うのは美人が多いことくらいか。
もうひとつ、美人も多いが、亜人も多い。
王都では見かけなかったけど、こっちには多いってことは、制限されてるのかもしれない。生まれ育った村には数人住んでたからあんまり特別意識してなかったけど、差別する人も多いから。
耳が頭の上にぴょんと突き出している猫族、ウロコに覆われた蜥蜴族が多い。どちらも奴隷か力仕事の必要な職人の助手だろう。
「こんなところでなにしてんの?」
大通りのベンチに腰掛けてぼんやり見ていると、いきなり声をかけられた。




