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わたし魔王の生まれ変わりなの、と幼馴染みは言った。  作者: 神代創
8章 村人Aは刺客に狙われる
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1:目的地不明 その2

 というところで、目的地の話に戻って来た。


「その帝国に行くのもいいかもな。ローネのことを知らないだろうし」

「それは確かにそうだな」

「では、転移術で魔王城まで行くか」

「大丈夫なのか? 1000年も前の城がまだ残ってるもんかね?」

「我が城がたかだか1000年でどうにかなるものか。しばし待て」


 魔王は目を閉じて。が、いつもならパッと魔法が働くのに、今回は何も起こらない。流石におかしいと声をかける。


「どうした?」

「術が……働かぬ」


 魔王が悔しげな声を出したのは初めてだ。


「やっぱり城がなくなってんじゃ?」

「いや、城がなくとも術そのものは働く。その場合は出現した位置に他の物があれば融合してしまうが」

「え? それ死ぬんじゃ?」

「我以外はそうであろうな」

「冗談じゃねぇ」

「それすら働かぬということは、向こうで何かが起こっているということだな」

「何かって?」

「わからぬ。何かが邪魔をしておる」

「真の魔王とか?」

「我以外に魔王がいるわけがなかろう!」

「いやー、1000年の間にどこかからやって来たとか」

「古き者どもか外なる神々か……あり得ぬ話ではないが……」

「え? マジな話だったの?」

「世界は人間が思うよりも複雑で混沌に満ちあふれておるのだ。メディーナ神など雑魚よ、本来はな」

「なんかわからんけど、魔法が使えないなら歩いて行くしかないのか」

「では、シュノバの町に行くか」

「そうだな。ローネは顔を隠しておくか」

「仕方ないな」


 そんなわけで、一番近い町に向かうというだけで長々と時間を掛けてしまった。効率悪すぎだろ、俺たち。


「で、そのシュノバってのはどんな町なんだ?」


 ローネは言いにくそうにうつむくと、考えながら答えた。


「えっと、その、私は行ったことがないのだが、歓楽街だと聞いている」

「なんか歯切れが悪いな。自分の国の、しかも王都から一番近い町のことを知らないのか?」

「……色街なのだ」


 ローネはうつむいたまま短く答えた。気のせいか頬が赤い。


「あ、そういうことか。お姫様じゃ関係ない話だもんな」

「だから、私はできれば行きたくなかったのだ」

「そっか。しょうがないな。誰でも苦手な物があるよな」

「ん~、そうだ!」


 珍しく考え込んでいたファミがいきなり声を上げると、セイルと共にローネに近づいた。俺も近づこうとしたら、セイルが冷たい目で見る。無言の圧力に負けて、俺はすごすごと3人から距離を置く。女の子特有の問題でも発生したのか?


「……色街……色々置いてあるから……」

「なるほど! ……いや、しかし、私にそんな……似合う……」

「……鈍いから……迫って……」

「……上手くいったら……3人で……」

「いいのか!? ……いや、それでふたりはいいのか?」

「……このままでは進展……」

「う、うむ……そうだな……」


 ほとんど聞こえないが、なんの話だ?

 しばらくして解散すると、ローネが真っ直ぐ俺に歩み寄ってきた。


「よし、シュノバに行こう!」

「え? いいのか? 無理しなくてもいいんだぞ?」

「無理はしていない! 私が行きたくなっただけだ! さあ行くぞ!」

「いやいや、顔くらい隠せよ!」


 妙に張り切って歩き出したローネを追って、俺たちはシュノバに向かって出発した。

 なんの話をしてたんだか……。ファミもセイルも黙ったままだ。

 うーん、なんか起こりそう……。


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