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わたし魔王の生まれ変わりなの、と幼馴染みは言った。  作者: 神代創
8章 村人Aは刺客に狙われる
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1:目的地不明 その1

「さて、どこに行こうか?」


 王都を出て、来た方向と逆に歩き出したはいいが、そろそろ目的地を決めないといけない。


「えーっとねー、ファミは美味しいものが食べたーい!」

「却下。というか、それが食えるところから出てきたんだ。当分我慢しろ」

「え~」

「泣いてもダメ」


 涙目のファミにダメ出しをして、他の意見を待つ。


「出来るだけ早く次の街に行かねばな。この近くだと2日でシュノバがある」

「街道を行けばだろ? ローネの顔を見られたらマズいから、こうして道なき道を歩いてるわけで」

「その分、危険てんこ盛り」

「楽しそうに言っても嬉しくないぞ、セイル」

「ただの事実。ほら」


 セイルが指さした方向になんかいた。


「あれは砂漠ウルフの群れだ。10匹以上いるな。隊商が襲われたらマズい」

「ふははははーっ! かかってこーい、獣ども!」


 セイルいや勇者はひとりで駆け出した。

 これは、あれだな。ローネの件じゃ活躍の場がなかったから、溜まってるんだな。


「ジェイト、助力しなくて大丈夫なのか?」

「まあ、あれくらいは問題ないと思う」

「そうだな」

「しかし、いくら勇者でもあの数はさすがに――」


 ローネの心配はわからなくもないが、勇者のデタラメさを知っているので、説明するより見た方が早いだろうと放置した。案の定、ローネは『え?』という形に唇を開いたまま、硬直してしまった。

 セイルが長剣を担いで戻ってくる。体には返り血の一滴すらついていない。


「簡単に終わったぞ」

「な?」

「う、うむ」


 ローネは硬い表情でうなずくと、口の中でもごもごとつぶやく。


「接近戦は勇者、魔法は魔王とニャオウ、物資運搬はソーコちゃん……。こうなると、私の役割が……。もう夜のお世話しかないではないか……」

「ん? どうした?」

「い、いや、大丈夫だ! 経験はないが努力する!」

「ああ、料理か?」

「りょ、料理!? 恥ずかしながら、そちらの経験もない!」

「そちらも? どちら?」

「い、いや、なんでもない!」


 真っ赤な顔で首を振るローネ。なんかイメージと違って可愛いな。


「ジェイくんが浮気してるー」

「ジェイトは浮気性」

「浮気どころか恋愛に縁がないわ!」


 ふたりに言うと、顔を見合わせた後、これ見よがしに肩をすくめてハーッと長いため息をつく。ローネはこれまたため息をこぼして俺を見る。

 なんなんだ、こいつらは?

 で、また脱線して目下の課題が先送りになってしまっていた。


「ふむ、この辺りなら以前の住処が近いな」

「アジト?」

「アジトではない! 我が国の歴とした城だ!」

「それはどっちの方向だ?」

「ここからなら東に10日くらいか」

「いや、全然近くないだろ!」

「転移術なら一瞬だがな」


 なんてことなさそうに言う魔王。ローネが何かに気づいたように声を上げる。


「ちょっと待て。東に10日だとヴァレンドルン帝国との国境の辺りだな」

「てーこく? とてもつおい?」

「遅刻しちゃダメだよー!」

「そっちじゃない! そのバレンドドン帝国ってなんだ?」

「ヴァレンドルン帝国だ。レンディア王国の東隣にある大国」

「知らぬな」

「知らねぇ」

「いやー、ローネが常識人で助かったよ。こいつら常識がないヤツらばっかりで」

「自分を棚に上げない」

「結構簡単に棚に上げられるんだよな。こう、ひょいっと」

「相変わらず話が進まんな」

「うむ、すまないな。非常識なヤツばかりで」

「だから棚に上げるなと。ヴァレンドルン帝国は50年前に現皇帝が建国した軍事大国だ」

「なるほど。魔族の国が滅んだ後に出来た帝国か。よし、滅ぼしに行くか」

「やめんかい!」


 俺は魔王に拳骨をお見舞いした。


「ジェイくん、痛い……」

「魔王を叩いたんだ」

「ふみー。ファミは魔王だよー」

「ボクは勇者」

「いや、知ってるから。そろそろ頻繁に脱線するクセをなんとかしないとな」


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