4:王女の死 その2
ローネはなぜか顔を赤くして、慌てた様子で否定すると、脱ぎ捨てた血染めのドレスを示す。
「ところで、このドレスはどうしようか?」
「処女の血に染まったドレスなら呪物として使い道もあるが、豚の血では低俗な魔物を召喚するくらいにしかならんな」
魔王が物騒なことを言う。
「へえ、召喚出来るんだ。ちなみにどんなヤツが召喚出来るんだ?」
「グレムリンとかそのレベルだな」
「うるさそうな魔物だな。まあいいか。処分しとこう。捨てるわけにもいかないし、燃やしとくか」
ドレスが入った篭を一旦脇に置くと、ローネが俺に向かって頭を下げた。
「ジェイト、礼を言う。綺麗に殺してくれたな」
「本当に上手くいったかどうかはもうちょっと様子を見ないとな」
「そうだな。詐欺師として手配状が出回るかもしれんな」
ローネは冗談のように笑う。ただまあ、バレたら冗談どころでは済まないんだろうけど。
「本当に王女の身分がなくなって後悔してないのか?」
「身分より命の方が大事だ。国のために命を賭けるなら本望だが、つまらぬ権力争いの犠牲になるつもりはさらさらない」
「そうだよなぁ。で、これからどうするんだ?」
「さあ? しばらく好きに町を回ってから考えてもいいし、冒険者っていうのもいいな」
「冒険者ねえ。偶然、俺も冒険者の登録してるんだよな」
「ほう」
「パーティに空きもあるな」
「なるほど」
「ただ、問題があって、他のメンツがわけありなんで、事情がわかってるヤツしか入れられないんだよな」
「問題ね」
「それと、無茶苦茶な連中なんで、何もすることなく戦いが終わってしまうかもしれない」
「初心者にはちょうどよさそうだ。それに、自由を満喫するのにもよさそうだな」
「どうする?」
「厄介になってもよいのか?」
「歓迎するよ。なあ?」
「ジェイくんの浮気者ー!」
「ジェイト、股間で物を考えてる」
「まさか、私をハーレム要員にしようと考えていたのか?」
「今の流れでなんでそうなる!?」
「まあ、それでもかまわないがな」
「え?」
「かまわないと言ったのだ」
「マジですか?」
「なんだ、口だけだったのか? がっかりだな」
「いや、浮気とかハーレムとか言ったのは俺じゃないぞ」
「じゃあ、ローネちゃんは背後担当ねー」
「は?」
「ファミが右担当でー、セイルちゃんが左担当なのー」
「なんの左右だ?」
「ジェイくんのだよ? 決まってるじゃない」
「決まってたのか」
「決定事項」
「それでは、私はジェイトの後ろにいればよいのだな」
「うん。たまには代わったげてもいいよー」
「貸し借りするな!」
「出来ないのなら、私はジェイトを一生背後から抱きかかえているまでだ」
「えー、なんか重いな……」
「それだけのことをしたのだから責任を取ってもらう」
「俺はおまえからの依頼をこなしただけだぞ」
「罠か? これは罠だったんだな!?」
「だいじょーぶだよー、誰もジェイくんに酷いコトしないからー」
「ジェイトの方が酷いから問題なし」
「なんだよ、体張ってやったのに」
「感謝しているぞ。体のお返しには体で払ってもいいぞ?」
ローネが俺の背後から抱きつき、首に腕を回してきた。胸が背中に当たる感触がファミより弾力を感じる。
「どうする?」
耳元でローネが囁く。予想外に色っぽい声だ。




