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わたし魔王の生まれ変わりなの、と幼馴染みは言った。  作者: 神代創
7章 村人Aは婚姻の儀に乱入する
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1:前日の仕込み その2

 宿に戻ってくると、ファミが腹が空いたと言い出した。魔王が魔法を使うと腹が減るらしい。

 もう夜だし、仕方がないので、宿のサービスを使う。さすがに高い宿は違う。すぐに料理を届けてくれた。


「高いんだから味わって食えよ」

「ふんっ! ふごくおいひいよ、じぇいふん!」

「食ってからしゃべれ!」


 少しだけ俺とセイルも口にして、軽くエールを飲みながら明日の話をする。


「それで、具体的にどうするかだけど、できるだけド派手にやりたいな」

「ジェイト、どうするかまだ決めてなかった?」

「ん? なんとなく考えてたけど、詳しくは全然だぞ?」

「ジェイくん、無責任だー」

「責任は取ってもいいが、俺はその場のノリを重視する」

「ローネちゃん、えらい人に任せちゃったねー」

「災難。ローネに安らぎを」

「勝手に殺すな!」


 勝手なことを言い出したふたりを黙らせる。どれだけ俺が酷いヤツだと思われているのかよくわかったぞ。


「大体の感じは決まってるんだよ」

「どうするの、ジェイくん?」

「まず式が始まるだろ? そしたら貴族のボンボンが来て、わーってなるだろうから、そこにドンとやって冒険者が割り込んでわーってなるから、その隙にローネを殺して逃げる」


 ファミとセイルが顔を見合わせる。


「セイルちゃん、わかった?」

「全然」

「よかったー。ファミがお馬鹿なのかと思っちゃったよー」

「否定しない」

「えー、セイルちゃん、ひどーい! ぷんぷんだよー」

「肯定もしないけど」

「なにも言わないってこと?」

「それがわかれば馬鹿じゃない」

「あー、よかったー!」


 ファミがたっぷりすぎる胸を名でお留守と、いきなり魔王に変わった。


「ドンとやるところにとっておきのものがあるぞ」

「魔王ならわかってくれると思ったぞ」

「我の能力でかなり補完したがな」

「凄ーい!」

「補完というか想像?」

「うむ、95%は想像だな」

「それ完全新作」

「原案だねー」

「ええい、言いたい放題言いやがって!」


 ファミとセイルに話の続きをさせろと注意して、魔王に訊く。


「で、なんだって?」

「倉庫にしまってあったはずだ。探すか」

「ちょっと待て! ここに倉庫を出すのか?」

「心配いらん。狭くとも出せる。倉庫番よ、参れ」


 魔王が言うと、黒ずくめの少女がどこからともなく現れた。


「わ、ソーコちゃん、久しぶり!」

「でばん、なかった。わたし、わすれられてる?」

「そんなわけないよー。こんなカワイイのにー」


 泣きそうな顔をしたソーコちゃんを、ファミが抱きしめて頭をなでる。いや、可愛いが元は真っ黒な化物だぞ、それ。ファミの感覚が魔王に影響されているのか、それとも……。まあ、昔からあんな感じだったか。

 と、ソーコちゃんがいきなりいそいそと服を脱ぎ始めた。


「ちょ……ちょっと待て!」

「ぬがないと、やれないよ?」

「つぶらな瞳で危険なことを言うな!」

「わたしのなかに、はいりたいんでしょ?」

「いや、ちょっと対象外だ」

「ジェイくん、ソーコちゃん嫌いなの?」

「そうじゃないだろ!」

「だいじょうぶ。みんな、はいれるよ?」


 ソーコちゃんがシャツのボタンを外すと、一気に左右に開いた。

 思わず目をそらそうかと思ったが、そこにさらされた物に目が吸い寄せられた。

 黒くて、なにもない空間。


「……倉庫の入り口?」

「他に何があると?」

「いや、その、神秘的ななにか?」

「ジェイト、危ない人?」

「危なくないし! いや、それはいいからソーコちゃんに入ろう」

「やっぱり危ない人だー!」

「もういいから!」


 そうは言いながら、まだソーコちゃんの形をしたままの倉庫に入るのは結構気合いが必要だった。


「わーい、一番乗りーっ!」


 はしゃいでソーコちゃんの中に飛び込んでいったファミはどう考えてもおかしい。

 意を決して中に入ると、前に装備を探した時に入った時と同じ空間だった。


「魔法アイテムは奥だったか」


 面倒そうに言うと、ファミこと魔王は木箱を凄い勢いで確認していく。


「これ……ではないな。こっちか? いや、違うな」

「整理整頓しとけよ、魔王」

「ジェイト、他人の事言えない」

「セイルにはバレてたか」

「ジェイくんの部屋足の踏み場ないもんねー」

「なにっ? 入ったのか? いつ?」

「えー、ジェイくんが寝てる時ー」

「いつの間に夜這いしてきたんだ、おまえら!?」

「夜這いじゃないよー。昼間だ――」

「うむ、これだ」


 いきなりファミから魔王に切り替わって、箱の中から取りだした物に、俺は思わず親指を突き出していた。


「お! それいいな」

「いかにもであろう?」

「うんうん。で、これをどうするかだけど……」


 俺がふたりをみると、ふたりも俺を見ていた。


「あ……やっぱり俺だよなぁ」

「ジェイくん、似合うよ!」

「いや、役割的にはファミなんだが……」

「頑張れ、ジェイト。おー」


 セイルがやる気のなさそうなエールを送ってきた。


「まあいいか。遊ぶ時には全力でってのがモットーだからな」

「ジェイくん、村の祭りも全力だったもんねー」

「気合いの入った屋台好き」

「セイルはチョコ掛けバナナばっかり食ってたな」

「アレ食べるとジェイトが喜ぶから」

「ジェイくんじっと見てたもんね」

「よく食うなぁと感心してたの!」

「舌の動きをじっくり見てた」

「そ、そんなことは断じてない!」

「カマかけたらズバッと斬れた?」

「あああ明日に備えて早く寝るぞ! 後はまぁ、なんとかなるだろ!」


 俺は倉庫から駆け出すと、予定より早くベッドに潜り込む。

 こんな調子で大丈夫か、俺?


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