1:前日の仕込み その1
再開です! いきなり少なくて済みませんm(_ _)m
ちょうどいい区切りがここしかなかったんです。
「明日だ……」
ローネが緊張した顔で俺を見る。
場所はローネの部屋だ。すでに明日の式典に備えて、花嫁のドレスが運び込まれている。ドレスだけ見てもおもしろくないので、明日のお楽しみだ。と思っていたら、ファミが歓声を上げた。
「ドレス、見せて見せて!」
「本番のお楽しみだろ」
「えー? 見たいよ」
「そんなもん、自分の時に取っとけ」
「じゃあ、ジェイくん買ってくれるの?」
「なんで俺がおまえのドレスを買わなけりゃいけないんだ?」
「ジェイトはケチだから」
「ファミ、一生ドレス着られないよー」
「諦めた方がいい」
セイルまで加わってまったくわからないことを言いだした。
こんなことでこいつらの将来は大丈夫なんだろうか。
相変わらず脱線する話に呆れ気味のローネが尋ねる。
「明日、きちんと私を殺してくれるのだな?」
「いーよ!」
「ファミル、もう少し緊張感というか緊迫感のある答えはないのか?」
「こいつに訊いたのが間違いだろ」
「そうだな」
ローネは苦笑を浮かべると、俺を見た。軽口を言おうとしたけど、あんまり必死そうな目だったので、安心させてやろう。
「まあ、色々仕込んでおいたから何とかなるだろ」
「で、具体的に私はどうすればよいのだ?」
「ん? 別に普通にしててくれたらいいよ?」
「いや、口裏を合わすとか何か必要だろう?」
「まあ、その場のノリにあわせておけばいいんじゃないかな? 芝居みたいな感じで」
「芝居だと?」
「うん。見たことあるだろ?」
「まあ、何度かは。運命に引き裂かれる男女の悲恋が多かったが」
「ローネちゃん、乙女だねー」
「わ、私だって、その、女だったから……」
「今だって充分女だよー」
「必要以上に女」
セイルの目が殺意を持ってローネの胸を見る。
いや、殺すな、セイル。その前にファミルの方がでかいぞ。
「じゃ、でかい船に乗ったと思って安心してろ」
「ファミが造った泥の船だけど」
「丈夫に作っても氷山で沈む」
「おまえら、不安になるようなことばかり言うな!」
俺はふたりに言うと、魔王が開けてくれたゲートにふたりを追いやり、最後に飛び込む。
「……待ってるから」
ローネの声が最後にか細く聞こえた。




