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2:襲撃された村 その2

「いや? 俺は――いやああああああーっ!」


 セイルこと勇者がいきなり奇声を発した。セイルの声は元からハスキーだったので、男の声でも通じなくもない。それが無理矢理女の子の声を物まねしたような響きになっていた。


「どうしたっ!?」

「魔王の家がぁっ!」

「魔王の家じゃないし! って、焼け落ちた?」


 火の回りが予想より早かったのか、ファミの家が音を立てて崩落した。目の前まで来ていながら間に合わなかった。


「お父さーん!? お母さーん!?」


 悲痛なファミの声が燃えさかる炎の音に虚しくかき消される。


「許さんぞ! この魔族ども!」


 セイルが長剣を構えて雄叫ぶ。


「おおっ! なんか勇者っぽいセリフ出たっ!」

「あんな可愛い部屋を焼きやがって!」

「……そこ?」

「そこ以外あるかーっ! 死にやがれ、クソどもがーっ!」


 セイルこと勇者は雄叫びと言うにはあまりにも悲壮な叫びを上げながら、スケルトンの群れに突っ込んでいった。当たるを幸いとばかりに剣を振るう。そのたびにカーンキーンといい音が響く。ダンジョンならもっと反響して綺麗な音になるかもしれない。

 俺は隣にある自分の家の様子を見たが、すでに逃げた後なのか、両親の姿は見えない。


「ファミ、ここには誰もいない。きっと逃げたんだ」

「だよね、ジェイくん」


 ファミは自分に言い聞かせるように健気に笑う。


「フフフフフ……フハハハハハッ!」

「そういう笑いじゃない!」

「ワレの眷属どもが不埒なことをしでかしたようだな!」

「キサマのせいだろうが!」


 カキーンとスケルトンの頭蓋骨を高々と打ち上げた勇者が、その長剣をファミに突きつける。


「ついさっき転生したと自覚したばかりで、さすがに手を回せぬわ。キサマこそ昨日転生を自覚したくせに異変を察知できんかったのか?」

「む……それは……」

「まあ、そうであろうな。キサマは昔から他人のことなど気にかけたことはなかった」

「え? 勇者なのに?」

「教えてやろう。こやつはな――」

「ええい、過ぎたことだ!」

「確かに1000年前なんだよな」

「1000年? そう! そうだ! 大昔のことじゃないか」

「ワレはそれまで2000年以上生きていたぞ。1000年など一瞬だ」

「2分の1じゃそこまで短くないと思うけどな」

「やかましい! 人間の分際で! キサマなど一瞬で灰に――」

「ジェイくん殺しちゃダメーッ!」

「わかった! 殺らんからわめくな!」

「それよりこの骸骨さんなんとかして!」

「……仕方あるまい」


 ファミに命令されて、魔王はおもしろくなさそうに唸ると、両手を広げ、呪文の詠唱を初めた。言葉の意味はわからない。いや、そもそも人間の口から発せられたとは思えない奇妙な響きがファミの口から出るのは奇妙なというより、恐ろしい気さえした。喉の調子、悪くならないんだろうか。

 詠唱が終わると同時にズドンッと重い響きが空から地上に打ち下ろされた。稲妻がスケルトンたちを射抜いた。粉末になるまで砕かれ、地面には白い粉と身につけていた武装だけが残っている。


「魔王、凄いな。今のは?」

「古の魔術じゃ。まあ、これで片づいたじゃろ。さあて、どこのどいつがスケルトンを召喚したか――」

「ファミ!?」


 俺が村の惨状を見回していると、ファミを呼ぶ聞き慣れた声が聞こえた。

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