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わたし魔王の生まれ変わりなの、と幼馴染みは言った。  作者: 神代創
6章 村人Aは王都を満喫する
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2:教会を下見 その3

「ふぇぇぇぇぇーっ!」


 教会の中に入ると、さっそくファミが一発かましてくれた。

 ファミの素っ頓狂な感嘆の声が響き渡る。ああ、いい残響だ。ファミが数十人いるような……。聖歌隊のコーラスならもっとよかった。

 くすくす笑う観光客に不快そうな信者。申し訳ない。ちゃんと教育しておきます。


「ふわぁぁぁぁ~……」と今度は控えめな声。

「ファミ、そんなバカみたいに口開けてたら虫が飛び込んでくるぞ」

「大丈夫だもん」


 そう返事はしたものの、ファミは口を閉じて教会の中を見回す。

 外から見たよりも中から見た方が広く見える。そして、高い空間。色ガラスを通して射し込んでくる光がこの世界ではない神の国にいるような錯覚を起こさせる。実際、一緒に入ってきた旅行者たちは頭を垂れて祈り始めた。


「こんなところで結婚式したいね~、ジェイくん」

「いや、俺はいい」

「え~!? どーしてー!? 綺麗なドレス着たファミを見たくないのー?」

「別に」

「ひどーい!」


 ポカポカ俺の背中を叩くファミをそのままにして、教会の構造を確認する。

 ローネの式は、多分入り口から入って正面の祭壇で儀式をするんだろう。通路、左右に長椅子、祭壇、その脇にあるドアは協会関係者の控え室か。壁には色ガラスの窓。これは開け閉め出来ないようだ。祭壇の上にはひときわ大きくて立派な女神を描かれた色ガラス。さらに教会の紋章。

 うん、充分見た。


「よし、出るぞ」

「えー、もう?」

「これ以上何を見りゃいいんだ?」

「ファミとジェイくんの結婚式で使う控え室とか」

「アホか!」


 ファミを小突こうとして思い直す。


「いや、それはいい考えだな」

「ジェイくん、やっとその気になってくれたんだ!」

「違うからな」


 周囲を見て暇そうな神官を見つけると、歩み寄った。


「すみません。ここで結婚式を挙げることはできますか?」


 神官に尋ねると、微笑みを浮かべながら答えた。


「ええ、可能ですが、かなりの費用がかかりますよ?」


 ああ、わかる。貧乏人には用はないと遠回しに言ってるわけだ。


「ですよね。せめて、田舎から来た婚約者に施設を見せてもらえないでしょうか? 気分だけでも味合わせてやりたいんです」

「こちらが婚約者さんですか。メディア様の祝福を。こちらは?」

「妹です」


 ファミとセイルの主に胸を見比べた神官は納得したようにうなずく。失礼なヤツだ。


「残念ですが、ちょうど4日後の王女殿下の婚礼の準備で奥は入れないのです。5日後ならお見せ出来ますが」

「そうですか。明日帰らなければいけないので」

「ジェイくん、ダメなの?」

「悪いな、ファミ。無茶を言ったら悪いだろ」

「そうだよね……」


 ファミは潤んだ瞳で上目づかいになって神官をちらっと見た。


「あ、あの、少しでしたら、ご覧になれると思います」

「ホントですか!?」

「え、ええ」

「ジェイくん、見られるって!」

「ああ、ありがたい話だな」


 神官チョロいなどと思っているとはおくびにも出さず、拝んでやると、満面の笑みを浮かべて案内してくれる。

 ファミが絶好のタイミングで演技してくれたおかげだ。

 それから神官の案内で式典で使用される控え室から鐘楼まで解説付きで見て回った。少しなんてものじゃないのは、ファミのおねだりで神官の鼻の下がどんどん伸びたせいだ。

 満足した俺たちは神官に丁重に礼を言って教会を後にした。


「いっぱい見られたねー」

「ファミの演技のおかげだな」

「ジェイくんとの式が楽しみになっちゃったー。ふぇ? 演技?」


 真剣な顔でファミが俺を見返す。

 演技じゃなかったんかい!


「敵を騙すには自分から。ファミル凄い」


 セイルがファミの頭をなでる。いや、とても褒めている様には聞こえないんだけど。


「えへへ、それほどでも~」


 ああ、全然わかってない! 照れてる場合じゃないんだけどな。まあ、ファミらしいし、可愛いからいいか。


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