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3:王女と脱がしっこ その1

「ロンゾルという名は父が男以外ならいらぬと言う気持ちで生まれる前から決めてあった名前だ」

「そりゃ無茶苦茶ですね。せっかく美人なのに……」

「なっ!? なんだと!? 愚弄するか!」

「美人が愚弄!?」

「私がこういう容姿なのは母のおかげであって、私の力ではない。褒めるなら鍛えた肉体を褒めていただこう」

「……確かに……エロ……違うな、立派なお体で」


 身長は俺よりちょっとだけ高いくらいだが、筋肉は確かに凄かった。力こぶは明らかに俺の倍。それでいて女性的。あえて言えば、引き締まったお尻なんかエロいかも。


「私をそんな目で見るのは、貴殿が始めてだ。落ち着かん」

「え? そう? あ、ひょっとしてずっと甲冑着てたとか?」

「女であることを意識させぬようにしておったからな」

「あ、だからひとりで着脱してるのか。大変だな」

「まあ、慣れたが、最初の頃は確かに――」


 その時、王女の背後、目の隅に動くものが見えた。光を反射して気づいたが、そうでなければわからなかったろう。


「装着!」


 とっさに叫ぶと同時に王女を押しのけ、背後に迫った相手に跳びかかる。

 甲冑が俺の背後から飛び出して装着していく間、まるで時間が止まっているかのようだった。

 実際、襲いかかってきた男は動いていなかった。突き出してきた短剣は王女の背中に達することなく、俺のアームガードに叩き落とされていた。


「うがっ!?」


 悲鳴を発して地面にめり込んだ男は短剣を持った腕を押さえて転げ回った。あ、腕が折れてるわ。

 あんまりうるさいので、腹を軽く蹴ると、悶絶して静かになった。


「こいつは?」

「刺客ですね」

「敵? 帝国とか?」


 王女はため息をついて俺を見ると、深々と頭を下げた。王族なのに農民に頭を下げるなんて珍しいな。


「貴殿には2度命を救われた。私の事情を説明するしかあるまい」

「いや、別に聞かなくていいよ」

「そういうわけにはいかん。本来なら王宮で歓待すべきところなのだ」

「そっちの方が勘弁して欲しいから今話を聞く」

「そうか! その不思議な甲冑を脱いでくれんか?」

「い、いや、一旦つけるとしばらく脱げない仕様なんで……」


 王女の前で『裸が好き!』なんて叫べるか!


「私は第1王女だが、母は私を産んだ後亡くなった。今の女王は12年前に結婚した有力貴族の出身で、第2王女はその娘なのだ。王子がいないため、後を継ぐのは私になるのだが、第2王女を推す者も多い」

「はあ、腹違いの妹ね」

「この者は第2王女派の貴族の手下だ」

「なんだ、身元もばれてるのか」

「その程度の情報はあるのでな。此度の魔王軍討伐は私に手柄を立てさせて王位継承につなげるというのは表向き。実際には私を排除しようという第2王女派の策謀なのだ」

「それは確かな話なのか?」

「都を出発した時は倍の軍勢だったのだ。それが途中で3分の1が酷い食あたりで離脱し、残りの者も体調が万全ではないまま戦いに臨むことになった。援軍の要請もしたが、いまだに到着していない。しかも、魔王軍の侵攻は情報よりも早く、充分な態勢がが立てられないまま戦いになったのだ」


 ああ、それで王女さんが突っ込んだ時、援護が少なかったんだな。


「ところが、貴殿の助勢もあり、魔王軍を壊滅させてしまった」

「ああ、成り行きなんで気にしなくていいよ」

「第2王女派が本気になって私を狙ってくる。都に入れば周囲は敵ばかりになるだろう。私の味方は辺境に飛ばされた者ばかりだからな」

「頑張ってくれ。俺はここまでってことで、報償をもらって村に帰るよ」

「報償はやってもよい。しかし、私に協力すればだ」

「それっておかしくないか? どう考えても俺の方が損してるぞ」

「どうあっても協力していただく」

「どうやって?」

「ここで私が声を上げたらどうなると思う?」

「えーっと、外の兵士が雪崩れ込んでくる?」

「そして、貴殿を王女に不逞を働く者として捕らえる。即刻死刑になるぞ」

「いや、その前に兵士が目にするのって、完全防備の甲冑の前で全裸で踊る王女さんなんだけど、それはいいのか?」

「む……」


 俺の姿を再確認して王女は自分の失策に気づいた。


「女を襲えない甲冑姿の俺を誘惑する露出狂の王女って言われていいのかな? いや、普段からそんな格好してるのもどうかと思うけど」

「わ、私は裸が好きなのだ!」


 苦しまぎれに王女が言い放った途端、初代勇者の甲冑はバシュンと音を立てて俺の体から外れてしまった。


「はぇ!?」


 普通の格好に戻ってしまった俺は思わず口走ってしまう。


「ちょっと待て! 他人が言っても脱げるのかよ!?」

「……なるほど」


 王女の目がキランと光る。ヤバいヤツだと悟り、とりあえず甲冑を装着して速攻で逃げようと決めた。


「装着!」

「私は裸が好きなのだ!」

「そ、装着!」

「私は裸が好き!」

「装着ーっ!!」

「裸が好きーっ!!」


 ゼイゼイ……。

 あーっ、疲れたーっ!

 甲冑を脱がしたり着せたり、俺は着せ替え人形じゃねーっ!

 最終的に初代勇者の甲冑は脱いだ状態で、力尽きて膝をついた。


週末はお休みです。週明けにまた~。

GWって今年はあるのかないのかわかりませんが、生き抜きましょう。

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