表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/97

3:渓谷での決戦 その2

 渓谷のど真ん中で魔王軍と討伐軍が激突した。


「あー、これってダメな感じだよな」


 最初の攻防で討伐隊の不利ははっきりしていた。

 まず数が違った。さらにひとりひとりの力量も違った。よくこれで戦う決心がついたなーと感心する。よほど魔王軍をなめてたのか。


「下手くそです、振り回してるだけ」


 セイルの辛辣な評価は斬り込んでいった剣士たちに向けられていた。素人目にも戦略もあったもんじゃない。ぶつかって、当たるを幸い長剣を叩きつけている。

 そんな中、先陣を切って魔王軍に突っ込んでいった騎馬がいた。槍と長剣で魔物を次々と屠っていく。


「あの騎士はなかなかの使い手だな」

「しかし、後方からの援護がいまいち効いてないな」とはセイルの口から勇者のセリフ。確かに矢は散発的にしか飛んでこない。このままじゃ取り囲まれて孤立してしまいそうだ。


「ダメダメ。あれじゃ殺られる」

「偽物の魔王に負けるようでは、やり甲斐がないな。ほれ、キサマも行け」


 いきなり魔王にドンと背中を押された。


「え? え? え?」


 ここ崖の上なんだけど! 行けじゃなくて逝けだろ!?

 俺の体は崖の端っこに向かってトットットッと進み、際でかろうじて止ま――らなかった。さらに強い力で突き跳ばされて、宙を泳ぐ。足元にはなにも、ない。

 落ちただけじゃない。落ちていくのは戦場のど真ん中だ。

 ああ、これ、ダメなヤツだ!

 足は粉々になって、骨が皮膚を突き破って、腰も砕けて、トドメに巨人に踏み潰される。そんな未来しか見えない。

 猛スピードで地面が近づいてくる。

 風切り音が耳元でうるさい。

 どう考えても無理だ。

 ああ、終わった、俺。

 上から見ていると、戦場の兵士たちはまだ誰も俺が落ちてくるのに気づいてない。きっと驚くだろうな。いきなり俺が戦場のど真ん中に落下して死んでるんだから。それとも、戦場の死人にまぎれてわからないのか。

 それはちょっと腹が立つ。どうせなら誰かを驚かさないとなぁ。誰かの上に落ちるとか。迷惑だけど、でかいオークなら問題ないか。

 そう思っていると、オークがちょうど真下に進んでくるのが見えた。あいつに落ちたら討伐隊的には嬉しいかな。

 そして、俺はオークの脳天に向かって落下した。


「……い……生きてる……」


 魔王軍のど真ん中。踏みつけたのはデカイ緑色のオーク。いましも討伐軍の先頭で奮戦していた騎士に向かって棍棒を振り下ろそうとしていたところだった。そこに俺が頭に着地したもんだから前のめりに倒れて動きを止めていた。死んだ?

 騎士は俺を見て動きを止めていた。顔を覆うヘルメットをかぶっていたから、表情はわからないが、まあ、普通に考えて驚いてるはずだ。


「人間どもの隠し球か!?」

「魔王軍の秘密兵器か!?」


 双方から叫びが上がる。

 いや、どっちでもない村人Aです。


「天の配剤だ! 一気に攻めるぞ!」

「させるかっ! 人間どもを蹴散らせ!」


 魔王軍が俺に向かって怒濤の勢いで押し寄せてきた。


「よ、寄るなっ!」


 俺はとっさに長剣を抜いて魔王軍に向かって一閃した。いや、そんな格好のいいもんじゃない。たかってくるハエを振り払おうとシッシッと振り回したような感じで振った。

 ポポポンポンと首が飛んだ。

 そりゃもうおもしろいくらいに簡単に魔王軍の魔物の首が宙を舞った。


「なんじゃ、こりゃぁ~!?」


 渓谷の戦場に俺の叫びが響き渡った。


3章ラスト!

週末はお休みです!

週明けまでお待ちくださいm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=390487041&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ