【第6話】言いたい、言えない
【注意】
・こちらの作品は上海アリス幻樂団様の『東方Project』を原作とした二次創作小説です。
・東方Projectのキャラが登場しますが、その設定やキャライメージについては作者の独自解釈が含まれており、原作にないものが多く含まれます。ご注意下さい。
・誤字や脱字がありましたら、作者にお伝え頂けると嬉しいです。報告を受け次第訂正するようにしております。
言えずじまいの恋心。
でも仕方ない。私には、彼に気持ちを伝える資格なんてないのだから。
きっとあなたも、私となんかより、他の人と過ごした方が幸せになれる。
だから、だから。私はそれでいいんだ。気持ちはしまったままで。
でも。それでも私は。
ここにはもう二度と来ないかもしれないあなたを待ち続ける。
俯いて歩く帰り道。
ふと肩に触られた感覚。
私は思わず振り返る。
どれほど静かな時が流れただろう。
その直後、私はあなたの胸に飛び込んで、泣きに泣いた。
そしてこれまでのこと全部。あなたを待ち焦がれたこと、私の愚かさも全部、彼に伝えた。疑ったことも泣きじゃくって謝った。
病を克服し、一回り逞しくなったあなた。
でも、優しさは会った時のまま、変わらなかった。
私の愚かさを、あなたは受け入れ、許してくれた。
許されるはずのないことをしたのに。それなのに。
あなたは変わらず、あたたかくてあたたかくて。
ああ、神様。もう一度私にチャンスを下さい。
胸にしまったあの気持ちを、あなたへの気持ちを。
あなたへ伝えたくて仕方の無いこの気持ちを。
私には、あなたへ想いを伝える資格はあるのでしょうか。
【作者の一言】
予想もしない形で「あなた」と再会し、思いが溢れる小傘。
言いたいのに、言う資格があるのか分からない。
でも、でも。
次回、最終話。