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ラプラスの悪魔にとらわれて

作者: 陶山雅司

 僕は実は子供の頃から


 ラプラスの悪魔にとらわれてきました


 ラプラスの悪魔とは


 フランスの数学者


 ピエール=シモン・ラプラス


 が1812年


 「確率の解析的理論」


 の中で


 「もしもある瞬間におけるすべての力学的状態


 と力を知ることが出来、かつもしも


 それらのデ-タを解析できるだけの能力と知性が


 存在するとすれば


 この知性にとっては


 不確実なことは何もなくなり


 その眼には未来も見えているであろう」


 と書いたものを


 のちにエミ-ル・デュ・ボワ=レ-モンが


 「ラプラスの霊」と呼び


 その後広く伝わっていくうちに


 「ラプラスの悪魔」


 という名前で定着したものです


 ラプラスの死後


 20世紀に入って


 量子論が台頭し


 量子力学により


 原子の位置と運動量の両方を同時に知ることは


 不可能であることが明らかにされ


 ラプラスの悪魔は完全に否定されました


 

 僕はこのラプラスの悪魔の妄想を


 子供の頃からしていました


 だからボクシングをやったのです


 よく武術の達人は物の動きを全て知ることが出来ると


 いうじゃないですか


 僕は四回戦のプロボクサ-になりました


 果たしてラプラスの悪魔になれたでしょうか


 現実には僕は一ラウンドKO負けを二回して


 パンチドランカ-になり


 舌癌に二回なり


 九年半付き合っていた彼女と死別し


 精神病院で身体拘束五泊されました


 身体拘束ですから


 ラプラスの悪魔というよりレクタ-博士ですね


 僕はそこから回復し


 現在は警備員をやりながらボクシングをやっています


 ラプラスの悪魔になれたかって?


 なれてないですね


 僕はただの人間です


 ラプラスの悪魔は存在しないことを


 自身で証明した気分です


 僕にとって不確実な事が何もないということは


 全くないです


 寧ろ世の不確実さを楽しんでいる感覚です


 もちろん間違いやミスも普通にします


 でも内心


 その「不確実さ」自体が決まっているという


 妄想にとらわれています


 なぜなら未来は一つだからです


 でも実際には


 未来がどうなるのかは


 沢山の可能性があるのでしょう


 その中から一つの未来が選ばれるのです


 沢山の未来の中からどうやって


 一つの未来が決まっているのか


 そう考えると


 意外とまだラプラスの悪魔が


 復活する可能性はあるかもです


 未来を決定付ける「何か」があるかどうか


 これはインテリジェント・デザイン説


 みたいな話になりますね


 ラプラスの悪魔は存在しないのか


 存在しないとしたら


 宇宙の始まりや終わりには何か意味があるのか


 我々はただ、この世を楽しむためだけに生きているのか


 我々が人類の繁栄を目指すのは単なるエゴか


 だとしたらどのような繁栄の仕方を選択する?


 僕の考えでは


 そのような高い理想よりも


 現実世界で困っている人を助けるのが先と考えます


 勿論、科学の発展も大事です


 世の中、最後は神様の力で天国になると言います


 非科学的かもしれませんが


 そう信じた方が


 人類が良い方向に向かうかもです


 地獄を目指すより


 天国を目指した方がいいに決まっています


 さらにいい知らせがあります


 人類は今まで


 夢見たことは全て叶えてきているということです


 だが天国を妄信するなよ


 努力が大事です


 努力して皆で天国を目指しましょう


 


 


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