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運命の日~夜明けの輝星~  作者: 上総海椰
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3-1 魔導砲

その兵器が開発されたのは第二次魔王戦争末期のことだ。

聖剣の出現により、人間側が優位に立ったものの、それは一時的なものでしかなかった。

聖剣の数には限りがあり、また上位の魔族により一つ一つ破壊されていた。

聖剣はそうそう作れるものではない。聖剣は大量の人間の命を必要とするためだ。

あと数本作れば人間たちは戦争の勝敗以前に人間が人間側から消えてしまう。

そこで人間たち側は聖剣に代わる切り札が必要としていた。

そこで考案されたのが魔導砲という兵器である。

使われるのは人間ではなく捕らえた魔族、魔獣たちの魔力である。


だが、その開発途中、幻獣王たちによる反乱がおき、魔王クファトスは封印されてしまう。

やがて人間側は幻獣王側と停戦協定を結ぶことになる。

捕らえられた魔族、魔獣は解放され、開発者は謎の死を遂げ、

魔導砲の開発は凍結され、やがて歴史の流れの中で忘れ去られることになった。



「まさか…」

新しい服に着替えたポルファノアは玉座に座り、宙に映し出された三人の映像を見ていた。

「ポルファノア様?」

主の表情が曇ったのを察し従者の一人が不安気に声をかける。

「確かめてくれよう。魔導砲であの三名を討て」

ポルファノアは大声で叫ぶ。

「おそれながら魔導砲をこの城で使えば、この城にも被害が…」

「ならば城の外で放てばよかろう。二度は言わん、魔導砲であの三名を討て」

「はっ」

ポルファノアの一睨みに従者はおずおずと引き下がっていく。


目の前にいるのは得体のしれない仮面をつけた二人が傍らにいる。

仮面をつけて黒い衣服に身を包む。

間違いない、あの男は最強の幻獣王『黒竜王』オルカ。

もう一人といえばとんがり帽子に仮面をつけ、背後には黒い球を六つ浮かせている。

怪しいことこの上ないがただならない雰囲気を感じさせる。

少女の傍らにいるその二人は異様な雰囲気を醸し出していた。


「…フィアなのか?」

その女性を知るポルコールは呟く。


「静謐結界解除」


ポルコールが疑問をフィアにぶつける間もなく突然カロン城の門が開いた。

巨大な魔獣が数体それを引いて城の中から姿を現した。


「砲台固定」


城の中にいるヒルデは結界が一時解除されたことに足を止める。

「一体何が起きている?」

状況の把握をしなくてはならない。

外で何かが起きている。

彼女は窓の外を見た。


「超高密魔力弾装填」


互いにその力は拮抗していた。

クラントがその一撃を受ける。

背後に飛びのいたのを見計らって放たれた一撃を飛んでいる魔剣が受ける。

クラントは受けた魔剣に向けて語りかける。

「助かった」

『油断しないで』

互いにお互いの魔剣に細心の注意を払いつつ

上位の魔剣使い同士一瞬の油断もできない。

「始まったようだな」

シレはそう言って手にした魔剣を降ろす。

横にいるモーリスも剣を下げている。

いきなり相手が戦意を解いたことでクラントは怪訝な表情を見せる。

「逃がしてくれるって訳じゃあなさそうだな」

シレは視線を窓の外に向けるように顎を向ける。

「見ているといい。人間の時代が終わる様を」


「魔導砲充填を開始します」


カランティは満面の笑みでそれを見下ろす。

間もなく人類の作り出した醜悪な兵器が人類の英知の結晶ともいえる聖都を焼くのだ。

実に滑稽ではないか。

人の作り出した兵器が人の世を終わらせるのだ。


「なんだアレは?」

教会の陣営が混乱していた。

城の中から複数の魔獣たちが巨大な砲台を引っ張り出してきたのだ。

その砲台に教会の陣営の視線が集まっていた。

「ミリオス、罠だ。今すぐ撤退命令を」

それを知るソウは鬼気迫る形相で叫ぶ。

ソウのただならぬ様子にミリオスは状況がとてつもなく悪いことを感じ取る。

「全軍撤収だ」

ソウの声を受けてミリオスは全軍に撤退命令を出す。


「ニルヴァに結界の防壁を最大まで上げるようにと伝えろ」

ポルコールは大声で近くの伝令に伝える。

「魔導砲…。ポルファノアは我々を一網打尽にする腹積もりだったのか」

それを知る一人、ポルコールは唇を噛みしめる。


見逃してしまったことをソウは責めていた。

ポルコールは黙ってソウの責めを受ける。

「もういい、ポルコール万が一に備えてお前は後衛に回れ。ミリオス、私とここに残れ」

「…わかった」

そう言ってポルコールは踵を返し背後に走っていく。

「これより我々はあの一撃をこの場で受ける。ミリオス命を私に預けてもらえるか?」

ソウは剣を両手で掲げる。

「望むところ」

ミリオスは剣を手にした剣を同じように掲げる。

二人の周囲が光で包まれていく。


「その心意気やよし。聖剣を同調させて一か八か聖樹をこの場に顕現させる。

本来は聖剣三本以上で行うものだが、コーレスが吹き飛ぶよりはましだろう」

ソウの提案はかなりの無茶のある提案だったが、背に腹は代えられない。

互いの聖剣は同調し、聖剣に眠る力が次第に解き放たれていく。


二人が聖剣の力を練っている目の前で高密度の魔力が砲台の先に集まっていく。

二つの巨大な力がゴラン平原をはさんで対峙していた。

「ソウ殿、アレは一体…」

ミリオスはソウに説明を求める。

「第二次魔王戦争末期に作られた幻獣王と戦うため人間が開発していた兵器『魔導砲』という。

アレを受けられるのは大魔女の都市防御魔法か、防御に特化した聖剣サザリオぐらいだろう」

ソウは聖剣エウラーダを取り出し、躊躇いなくその力を解放する。

それにならってミリオスも聖剣バフーフの力を解放させる。

「待て、フィア殿が」

ミリオスの声にソウは一瞬躊躇をみせた。

目の前には先ほどの二人とフィアがたっている。

そしてその一瞬の躊躇が聖樹を顕現するタイミングを遅らせた。


「放て」

ポルファノアの声が城全体に響き渡る。


「発射」


そのポルファノアの声に呼応するかのように、高密度の魔力が砲台の先から放たれる。

それはゴラン平原を地を焼き焦がしながら一直線に駆け抜け、コーレスに向かっていく。

兵士たちは迫りくる白い塊になすすべがなく、その場にいる者たちは近づいてくる光に誰しも死を覚悟した。

視界がその光に包まれる。

その激しい光に誰もが目を閉じた。




目を開けると変わらぬ風景がそこにあった。

少女が作り出す魔法壁が彼らを護ったということは一目見れば誰もが想像がついた。

それは北の地でラムードを魔神オルドリクスの攻撃から防いだ魔法壁『八相層壁』である。


そのフィアの作り出した魔法壁は魔導砲の一撃を見事に防ぎきっていた。

敵、味方双方の陣営ともその光景に誰も声すらあげられない。

魔法壁の手前の地面は弾かれたエネルギーで真っ赤に溶けている。

焦げ臭いにおいが辺り一帯に立ち込める。

今目の前で起きたことは紛れもない現実だということを彼らに示した。

歓声が教会陣営から沸き起こる。

「…信じられん」

歓声の最中、ミリオスはそう漏らした。ソウはその光景をただじっと見つめていた。

「…選定会議の時よりもはるかに力を上げている。これではまるで…」

言いかけてポルコールはその言葉を呑み込む。

フィアの編み出した魔法式の構成は精度も規模も比較にならない。

既に別次元の領域に立っていると言っても過言ではない。

一体どうしたらこの短期間のうちにそこまで魔法力を上げることができるのか。


「ただの一介の魔法使いの作り出した魔法壁が魔導砲の一撃をを防いだですって?」

カランティは目を丸くしてそれを眺める。その力は幻獣王の一撃にも匹敵するはずだ。

今の一撃で教会陣営はおろか聖都コーレスも半分以上失われていてもおかしくはなかった。

それを完全に遮断したという。

まるで悪い夢を見ているかのようだった。


とんがり帽子をつけた男がふよふよと空を飛びフィアに近づいていく。

「見事、フィアちゃん。魔力の残量は大丈夫カイ?」

「…まだまだいけます」

フィアの表情にはまだまだ余裕がある。

保有する魔力量もそれほど減っているようには見えない。

強がりではないと言うことをドーラは感じる。

「ずいぶん魔力保有量を上げたもんだネ」

ドーラは感心してその少女を見つめる。

ドーラが教えたのはその魔法の構成。

『オルドリクス』との戦闘では彼女の魔力ではせいぜい二三回が限度だったはずだ。

「さてニ撃目を撃たれる前に破壊しておくカ」

そう言うとドーラの脇の黒い球の一つが分離し、黒い槍になる。

ドーラがぱちんと指を鳴らすと放たれた槍は吸い込まれるようにその砲台に向かっていく。

直後、砲台が光とともに爆発した。


「魔導砲破損」

切り札の魔導砲を失いポルファノアの陣営は混乱していた。

誰もがそれを信じられない。

「外に出していたのを狙われたか」

切り札の一つを失いカランティは悔しげに唇を噛みしめる。

「二撃目は…無理かと」

部下の一人が顔を青ざめて報告する。

「うそでしょう。ここからどれほどの距離があると…」

カランティの横にいるウィンレイは顔をしかめる。

ピンポイントにその魔法は砲台だけを狙って魔法を放ってきた。

とてつもない精度の魔法である。

「かまわん。まだ負けたわけではない」

どっしりと腕を組みつつポルファノアは言い放つ。

ポルファノアがみせる余裕により場は冷静さを取り戻す。

「双翼を展開し、城の中の者は臨戦態勢をとれ」

ポルファノアの声に城の中の者たちは一斉に動き出す。

「屍飢竜はいかがしましょう?」

「三体とも投入せよ。総力戦だ」

ゴラン平原に死霊と魔獣の部隊が一斉に動き始める。

魔獣が隊列を組み動くのは第三魔王戦争以降はじめてのことだ。

「はじめよう。人類最後の魔王戦争を」

そうしてポルファノア陣営は動き出した。

かくてその戦いの幕はきって落とされたのだった。

読みにくくてごめんなさい。

いろいろと考えたんだけどこれがいいかなって。

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