マォとりゅうりゅう
〔1〕双子の誕生
長かった魔空戦争が終わった翌年 エンドラの国にあるイチゴの森は双子の誕生で
沸きかえっていた。
ラマォダは生まれたばかりの赤子を妖精神ヤナホイに預けていたのだ、しかし生まれた子は不思議界ではたいへん珍しい紫の瞳をした女の双子だったのである。ある日乳母の精霊の二イガスがおつかいの帰りにルァナン山(ルイクスとの国境近くにある山)を飛んでいた時だった 突然の突風でバランスを崩し、双子の一人を落っことしてしまったのだ、慌てた二イガスはすぐに村の皆を集め探したが何故か赤子は見つかる事は無かったのである。
〔2〕妖精マォ
それから何年もたちマォと名づけられた双子の一人は3才(妖精齢で)になっていた。マォは親友のなりナ(黒猫の妖精)と一緒にヤナホイの使いでヴィーナスの丘にある泉水で聖水を酌んだ帰り道、いつものように沼に住む仲良しの龍と会話を楽しんでいたのだった 龍はこの世界に戦争が起こるずっと昔から住んでいてまだ幼かったマォが神龍の事を「りゅうりゅう」と呼んで以来の付き合いであった。「マォおまえの母はかつてこのエンドラの国一の戦士だったのじゃ、おまえもその血を受け継いでおる」と龍の話はいつも小さいマォには良く分からなかったが それでもマォはりゅうりゅうのことが大好きなのであった。
「そんじゃーりゅうりゅう そろそろかえんないとヤナホイ達が心配するので今日は帰るわ、また明日来るわね」マォはそう言うとなりナと共に来た道を引き返して行った 神龍は「帰るのなら送って行くから待っておいで」と言うと小女を捕まえ背中に乗せるとイチゴの森を目指して飛んでいったのであった。
やがてこの子が成長し、不思議界を救う事になるのだが、それはまた別の機会に話そう。