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ガールズトークインロッカールーム

「で、どうだったの?あんたの恋人は」


頬杖を付いてナツキが尋ねてくる。

なかなかアイドルにあるまじき行儀の悪さではあるがこの荒っぽさが彼女のファン層に受けがいいらしい。

アイドル道は()に奥が深い。


「美少女、巨乳、甘党、あと女の子が好きみたい。カリスマ性がヤバい。それから多分朝は弱い」


「……………さらっと爆弾発言してるけど、あんたそれで同棲とか大丈夫なの?」


「ま、私が朝は強いからね。早朝ロケでも遅刻はしないと思いたい」


「あぁ、あんたはそういう奴だったわね。無駄な心配したわ」


呆れた様子を隠そうともせずにナツキはため息をつく。

本当態度悪いよね。

そんなんだから俺様王子キャラなんて言われてるんだよ。

自室は少女漫画とぬいぐるみに溢れてるってネットで暴露してやろうかな?


「今日のレッスンには来るんでしょ?その娘。アヤと上手く噛み合うといいけどね」


「アヤちゃんも結構誤解されやすい娘だからなぁ」


「そういうことじゃないわよ。ま、あんたにそういうキャパシティがないのは今に始まったことじゃないわね」


む、なんか失礼なことを言われた気分!!なんちゃって王子の癖に!!

とはいえ気兼ねなく話せる同期って結構貴重なのでこの手の掛け合いは嫌いじゃなかったりする。

同じ大学に入っている縁もあるしなんとなくこのまま付き合いが続いていくんだろうなぁ。


「そういえばナツキは試合が近いんでしょ?こっちに顔だしてて大丈夫なの?」


「流石に新メンバーとの顔合わせをすっぽかしたりしないわよ。何しろあたしの試合チケットが捌けているのはファンの娘達のおかげだもの」


「それだけで生活できないのがマイナー競技の辛いところだよね。二足のわらじは大変だ」


もっとも彼女の試合を見に行ったファンの娘達からの評判は上々なうえアイドル方面の宣伝にもなっているのでこっちとしてはありがたい。

逆にいままでアイドルに興味のなかった娘もライブに来てくれたりするし、ナツキにはパイオニアとして多いに頑張って欲しいところである。


「そういえば新人の娘の写真とかないの?」


「あ、いや、ない。まぁもうすぐ来るんだから本物を見ればいいじゃない」


嘘である。実はある。今朝撮りたてホヤホヤの寝姿画像が。

けど流石に盗撮感がMAXなので他人に見せるのは憚られる。

それに下手したらナツキの部屋画像が見付かって拳骨制裁とフォルダ全消去もあり得る話だ。


「彼女も同じ大学なら講義の合間に顔を見に行けたのにね」


「私の恋人はクイズ番組のオファーが来るぐらいのレベルな大学に通ってるからね。胸だけでなく学力にも格差が……」


「アヤも学力は高いらしいよ?あれでお嬢様学校に通ってるらしいし。まぁ、胸は………あれだけど」


「胸に関してはナツキもあんまり人のこと言えないよね?」


ちなみにナツキはオレンジでアヤちゃんはみかんである。

なんの話かって?好きなフルーツの話です。

マネージャー♀は鶏卵(Sサイズ)だ。え、果物じゃないって?まぁ、細かいことは気にしない。流石にサクランボなんて可哀想過ぎて…………


「アオイさん、ナツキさん、準備は出来ましたか?少し打ち合わせしたいので新メンバーが来る前に良いですか?」


「あひゃっっ!!」


「はーい、マネージャーいま行きます。……あんたなにをそんなにびっくりしてんのよ?」


べ、べべ、別に何でもないし。びびってなんかないし!!







着替えを済ませてスタジオに入る。

最近シューズを新しくしたばかりなので床にキュッキュッと良い音がなって少し楽しい。


「子供か?」


ナツキの突っ込みはクール過ぎると思う。


「で、打ち合わせって?折角だからメンバーが揃ってからのほうがいいんじゃないの?」


「アヤカさんはさっき着いたのでいま着替えています。ミサキさんは講義が長引いているので三十分ほど遅れるらしいですよ?全く、あなたという恋人が居るのに私のほうに連絡が来るとは。好感度が足りてませんよ?」


「いや、それは社会人として当たり前だから」


というか好感度って。お前はギャルゲーの友人キャラか。


「まぁ、冗談はさておいて、いまからする話はミサキさんがいないほうが都合がいいんですよ。事前話しても良かったんですが、それだとアヤカさんあたりがごねそうでしたから」


「…………?どういうこと?」


「ナツキさんには解らないでしょうけど、実際にミサキさんに逢ったアオイさんには話の内容の見当はついてるんじゃないですか?」


マネージャー♀がなんのことかわからないナツキを置いて私に話を振ってくる。


まぁ、ね。ミサキのことを一目見たときからそういう予感はあった。下手にお茶を濁さずに正面から話してくれるのは彼女なりの誠実さだろう。

だから私も誤魔化しなくただの事実を告げるように口を開く。


「ええ、私の、「せんぱーい!!おっはよーごさいまーす!!」


正確には口を開いた瞬間に可愛い後輩の超低空弾道ダイブに遮られた。

こ、腰が……


「ちょっと遅刻しただけでアヤを置いてミーティングなんて酷いです!!時間をもて余してソシャゲばっかりしてる大学生と違ってJKにはいろいろあるのです!!」


いやいやアヤちゃん、大学生にだって色々あるんだよ?


「で?なんだか重たい空気だったですけど、なんの話をしてたんです?」


空気を読んだ上で超低空弾道ダイブですか、そうですか。


「別に難しい話じゃないわよ。センターが私じゃなくなるってだけの話」


ですよね?マネージャー♀。

たくさんのブクマ、評価感謝です。

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