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女王様、狂犬騎士団を用意しましたので死ぬ気で躾をお願いします  作者: 帰初心
第一章 リーゼロッテと愉快な狂犬たち
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第五話 生きとし生けるものよ、称えよご主人様の名を( byウルフハウンド )

 朝、爽やかな光と風に目が覚めると、窓を開けているテレサさんがにっこり笑いました。


「今日はとてもいい天気ですよ。せっかくのお散歩日よりですから、庭だけではなくこの王宮全体の見学をレオンハルト様にお願いしましょうかね」

「本当ですか!」

「きゃん!」


 ふと、ベッドの下でダシバの悲鳴が響きました。

 彼は部屋の隅に専用ベッドがあるのですが、たまに夜勤の警備兵に嫉妬で睨まれると私のベッド下に逃げ込んでいます。

 正座してベッド下をのぞき込むと、ずりずりと白い犬に後ろ足を引きずられて出てくるダシバ。腹這いなので、短毛なのにモップ犬です。


『ここはもう僕のものだよ。駄犬は【拾ってください箱】がお似合いさ』


 マルス様がベッド下の所有権を主張されています!

 誰のものでもないので、どうか仲良く使ってくださいとお願いすると、不服そうに白いサラフワな毛を広げて座り込みました。


『だって、レオンハルトさんがベッド上禁止命令出しているんだもん!

 上に乗れなければ下にもぐるしかないじゃないか! 天蓋の上も占拠されてるし!』

「え? 天蓋ですか?」


 私は思わず上を見ました。

 一瞬、動揺した黒い影が数体浮かんで消えました。


「一体何がいたのですか!?」

『僕の元部下たちだよ。小型犬主体で隠遁が得意な連中なんだ』


 知らない間に警備が増えていました。

 最近は外の警備兵も増えているようで、随分と物々しくなっているような……。


 すると「ガウ!」と大きな犬の鳴き声がドッグランコートに響きました。

 窓の外を見ると、また噴水の裏に黒い影がちらりと見えます。

 先日見えた大きな影も含め、あれは警備兵さんなのでしょうか?


 東屋の周辺もチラチラしっぽが現れては消えていきました。

 廊下からも人の足音が増えてきています。


 一体何が起きているのでしょうか。


 不安になる私を、テレサさんが私を大きな体で抱きしめてくれます。

 彼女にぎゅっと抱きついていると、とても安心できます。

 大きな犬の姿の時も、彼女は寝転んでお腹を枕にさせてくれます。まるで包み込まれているようで幸せです。




 テレサさんに背中を優しくさすってもらっていると、マルス様が人の姿に戻って純白の髪をさらりと後ろに流して教えてくれました。


 「とうとうご主人様の生存が、国内外に向け発表されたんだよ」と。


 そこで、今まで私のことは庶民や他国には秘密にされていたと知りました。

 最後の王族発見のニュースに、国民は大いに沸き、大陸中の国が様々な思惑を抱いて動き出しているそうです。


「最後ということは、他の王族はもう誰もいないのですね……」

「あとはもう一つ。遠い大陸を捜索している第一隊長の連絡次第だけどね」

「この世界に大陸は三つもあるのですか!?」

「そうだよ。でも見つかったって連絡は来ていないよなあ」

「そうですか……。では、そろそろ私以外に王族がいない理由を教えていただけますか?」

「ご主人様はここに連れてこられて情報少ない中、ずっと不安だったものね……。うん、もういいんじゃないのかな。レオンハルトさんもそろそろ、全ての家臣にご主人様を紹介しろ紹介しろと襲撃されすぎて疲れているみたいだし」


 マルス様が、以前グレイ様が扱っていた長方形の箱に向かって何かを話されます。

 ダシバはこの隙にと、ベッド下に潜り込みました。


「許可が下りたよ。もうこのタイミングでご主人様のお披露目をするって。どの犬も狂喜して即時集結するから、一時間もしたら移動してほしいって、レオンハルトさんが言ってる」

「それではリーゼ様。皆さんに挨拶を下さる準備ですよ。ここは綺麗な恰好にいたしましょうね」

「はい。でも一時間で来れるところに皆さん住まれているのですか?」

「そりゃあそうだよ! ご主人様がここに来てから貴族たちがみんなそわそわし始めて、領地を部下に任せて首都に住み込んじゃったんだもの。たまに警備兵以外に黒い影とか見たでしょ?」

「はい……」

「あれ、ご主人様の匂いを嗅ぎに来てるんだよ。その都度警備兵たちとガチで戦っているからね。ケガ人続出で大変さ。まあ、実際にたどり着いたのはピットブル家のボスだけだけど」


 噴水裏の影。

 あれって、わんこがクンクンするために来ていたのですか!

 

 あまりにあまりな事実に愕然です。


「全く。ここのところずっと大変だったんだよ。僕の元部下たちも他国のスパイなんだか、自国の迷惑犬きぞくなんだか、区別が付かなくてね」





 そして時間が来て、私は王族の正装をして部屋を出ました。

 白地に銀の光沢を帯びた裾の長いワンピースです。襟ぐりは割と開いていて、長袖の二の腕のところはゆとりがありました。ところどころにある繊細な模様は紫の糸で刺しゅうが施され、気品を感じさせます。

 そういえばレオンハルト様の宰相服も白と紫ですね。

 テレサさんにこの配色の理由を聞くと、白が高貴いの色。そして銀が「王族の色」なのだそうです。


「なぜか王族の直系には、銀の髪に紫の瞳が多く生まれるのです。犬人と婚姻された子孫に銀髪は表れますが、紫は滅多に出ませんね。そうそう、建国の王もその配色だったようですよ」


 犬人さんたちに呪いでも掛けられたのでしょうか。





 マルス様とテレサさんに連れられて、私はひたすら長い廊下を歩みます。

 そして到着した先は、王宮で一番大きな会議室でした。


 最初はお目見えを王座の間やる予定だったのですが、王座が大きすぎて体に合わないので、現在特注のものを作っているそうです。

 ……本当の理由は、なにやらお一人「女王様の足が宙に浮いてブラブラしてしまうなら、私が犬になって踏み台になる。いや、させろ。むしろ踏まれたい。頼む」と強硬に主張した、狂犬騎士団の隊長がいたとか。

 

(きっと考えてはいけないのでしょう)

 そう決めました。




 「リーゼロッテ様のおなりです!」と、大きな扉を兵士さんたちが開けます。


『『『ご主人様ー!!』』』『はあはあ』


 ぐわん、と脳に大音量が響きました。


 奥に広がる、巨大な長方形のテーブル。

 そこには総勢百匹を超える様々な犬が、椅子にお座りしております。

 大中小の大きさから、不思議な形の犬まで。

 その数は、祖国で捜索してくださった時の比ではありません。


 彼ら(女性もいるのでしょうか?)は私を認めた瞬間に、そわそわ・わふわふ・しっぽをぶんぶん。


 椅子を飛び降りようとする犬は、抜け駆けはなるものかと、しっぽや背中を周りの犬に銜えられています。奥では立ち上がった筋肉隆々の中型犬に、大型犬たちが立ち向かい『バーバリアン殿、ここは会議場、貴方の好きにはさせませんぞ』と威嚇しています。

 

 私に全力で飛びつきたい。

 でも犬人の間で、許可なく甘えることは禁止されているそうです。


『女王様、なんと可愛らしい』『あの方がリーゼロッテ様』『分かるぞあの方こそがご主人様だ』『なんともいえぬ香しさよ』『舐めていい?』『はあはあ』


 互いにけん制しあって、凄まじい緊張と混乱です。

 わんこはとても好きですが、これには圧倒されて震えます。特に最後の声には寒気がします。

 思わずテレサさんに抱き着きました。


「リーゼロッテ様が怯えていますよ! 少しは声を抑えてください!」

「「「きゅーん」」」

 

 テレサさんの一喝で、脳内が静かになりました。

 流石は肝っ玉お母さんです。一生付いていきます!


 そんな風に感動していると、後ろからレオンハルト様が義兄を連れて入ってきました。

 相変わらず嘘くさい笑顔で黒縁眼鏡の義兄は、警備兵の方よりもより略式の、裾の短い服を着ています。


「お義兄様!」

「だめですよ、リーゼロッテ様。貴女様はただ一人のお方。兄など存在いたしません。今後はバドと呼ぶようお願いしたはずです」

「う、はい……」


 義兄は恭しく腰を折りました。


「リーゼロッテ様。名前など些末な事。どうぞ今後はバドでよろしくお願いいたします。非才なる身ですが、ここの国民として日々の責務を全うし、貴女様のお役に立てれば幸いです(どうでもええやん名前なんて。それよりもリーゼはすぐパニックなるやろ。俺がこの国をもっと調べて意見してやるわ)」


 義兄の本音が見え隠れしています。

 ちなみにこのエセ西方語の副音声は、わんこたちと違って、単なる経験上の翻訳です。

 彼は壁際の、他の書記官らしき人たちに混ざって座るようです。


 


 相変わらずの義兄のマイペースぶりにほっとした私は、会議室の最奥にいざなわれ、席に着きました。

 踏み台のついたお子様椅子が、大変ありがたいです。

 腰を据えると、皆さんは人間の姿に変わります。殆どが年齢様々な男性ですが、数人女性が混ざっておりました。テレサさんも、その中に入っています。

 ちなみにマルス様は私に近いところにいます。彼は、結構な高位貴族だったようです。

 

「さて、諸君。こちらが我々の待望の最後の王族、リーゼロッテ・モナ・ヒューデガー様であらせられる。すでに諸君の本能がこの御方を王族と認めていると思うが、何か問題があるかな」

「なぜ踏み台のついた椅子なのです。私が足元で踏まれると申したは「却下」」


 あーあーあー。聞こえませんでした。

 レオンハルト様は、それ以外の反対意見が出ないことにうなずき、「では諸君らをリーゼロッテ様に紹介する」と言って、私の左隣の方から簡略に紹介されていきました。


 私がすでに知っている方では中央騎士団第二部隊のグレイ・フォン・マスティフ様、第四部隊のラスカル・フォン・マラミュート様にキース・フォン・ハスキー様、さらに第三部隊のアポロ・フォン・グレートデン様。 

 今朝も一緒にいたのは元第五部隊のマルス・フォン・マルチーズ様で、彼の後を継いだのはリリック・フォン・コーギー様だそうです。繊細な外見の彼は、挨拶中ずっと震えていて、全く目を合わせてくださいませんでした。


 そして会いたくない方も、もちろんいらっしゃいました。

 彼は灰色の目を細めて、私に笑いかけます。まるで獲物をいたぶろうとしているかのように。


「女王様、お久しぶりですね。そろそろ我々の血の成果が見たくないですか?」

「いえいえいえいえ、もうちょっとお待ちください」

「楽しみに待っていますよ。うっかりその辺の犬で気晴らしをしないようにさせてくださいね」 

「すみません、リーゼロッテ様! 兄が喧嘩っ早くて申し訳ないです」

「邪魔だジェントルマン。我らピットブルの面汚しめ」

「兄上こそ、第二部隊で敵を血祭りにするくらいで我慢してくだされば良いものを。私設部隊なんて作らないで下さいよ! 国の迷惑なんですが」


 バーバリアン様が第二部隊副隊長の弟さんと揉めている隙に、私は次の方への挨拶に逃げました。 


 そのほかには、大臣たち、会計局長、法務局長、軍務局長。そして他の中央騎士団の隊長たちを紹介されます。

 足マット志望者が誰かは分かりませんでしたが、知りたくもありません。

 その他にも総勢百余名。全員紹介された時には、ぐったりと疲れてしまいました。


 そこでレオンハルト様は軽く休憩を入れ、しばらくして再開すると「では諸君。我々の歴史はここから再び始めなければならない。すでに理解していると思うがリーゼロッテ様のために、我々の意義と国の根幹を確認させていただく」と話し始めました。


 文官らしき方が、この国のここ二十年の歴史について回顧したものを読み上げます。

 私は聞くたびに、驚愕の色を深めていきました。






 まずは二十年前。

 この大陸を流り病が大流行しました。

 大陸の人口の五%が死んだと言われるこの病気は、当然ケンネル王国も襲いました。

 国で亡くなった方は二%、六十万人が亡くなったと言われています。


 そして何よりも、この病は王族に集中して襲い掛かったのです。

 当時王族は四百余名いらっしゃったそうですが、殆どの方が罹患し、亡くなりました。

 なんとか予防薬と治療薬が開発された時には、残った王族はたった三名。

 病弱な若者が一人。そして残りの二人はお年寄りで、しかも後遺症で殆ど体が動かない状態でした。


 犬人達は生き残った彼らを大切に守り、若者は王位に就きます。

 若い王は数多くの妃を娶ったのですが、残念ながらなかなか子の出来ない体質でした。

 

 そんな時に、権力者への引き出物として献上されてしまった女性が懐妊し、貴族たちが喜びに溢れた時、彼女は逃げてしまったのです。

 外部か内部か、何らかの協力があったらしく、狂犬騎士団を持ってしても手が届かないところに行ってしまった彼女。

 唯一のヒントは「大陸を越えたらしい」ということ。犬人達は古代の文献から、旧大陸を探し出しました。

 

 問題は大陸へ渡る技術がないこと。そして、ルマニア大陸以外に、つの大陸があったことです。

 

 さらに王国では問題が起きました。

 王が、若くして亡くなったのです。そのころに、同時に残りの二人も亡くなりました。

 暗殺か、流行病か。未だ謎が多く残っています。


 理由はともあれ、犬人にとって王族は唯一のかいぬし

 彼らが居ないと次第に心のバランスが崩れ、野犬になってしまいます。

 野犬になっても群れは作れますが、やがて彼らは分別がなくなり、国という形式が作れないほどに荒れてしまうというのです。


 そこを、帝国と近隣諸国に狙われました。


 国中が混乱する中、国をまとめあげたのは、中央騎士団団長にして第一部隊隊長、ダリウス・フォン・ウルフハウンド様。

 国の貴族でも公爵という地位におり、たびたび王族とも婚姻関係を結んできた家柄です。

 彼には王族の特徴は全く現れませんでしたが、誇り高きウルフウハンド一族として、「王族を諦めるな」と、国をまとめ上げました。

 そのカリスマ性は、野生に傾きかけた国民にひたむきな想いを復活させていきました。


 幼馴染のレオンハルト様と共に、外向き・軍事的なことはダリウス様、内向きのことはラインハルト様と分担し、ほぼ完全なるケンネル王国を復活させたのです。


 その後、彼は宣言しました。


『三大陸全てで、王族を探し出す。私には分かる。まだ我らのかいぬしは、生きている』


 そうして近衛部隊である第一部隊を率いて、ようやく完成した移動手段しかくいばしゃを用い、発見された二つの大陸、そのもっとも遠い方へ向かったのです。


 



 私は、自分が正真正銘一人しかいない王族なのだと理解し、衝撃を受けました。

 そして国を中心になって救ったダリウス様に、深い尊敬の念を抱いたのです。


「そういえば、今日はダリウス様はいらっしゃいませんでしたね」

「もう一つの大陸は大変遠いところにあります。リーゼロッテ様を保護したという連絡はすでにしてありますが、移動距離を考えるとあと一週間は掛かるかと……」

「第一部隊が到着されました!」

「……さすがはダリウス。集合に間に合いましたね」

 

 バン、と開く会議室の扉。

 そこには中央騎士団の中でも特に精鋭を集めたという、第一部隊。そのうちの幹部三人を引き連れた第一隊長が入ってきました。


「どうやら、間に合ったか」


 重低音のような美声で言葉を発した、黒い軍服の男性。

 黒髪の短髪に水色の瞳。日に焼けた精悍な顔。何よりもアポロ様ほどではないですが、とても背の高い方でした。

 後ろに控える男性たちは、顔だちだけならどことなくダシバにも似たあっさり顔の、しかし全く正反対にキリッと逞しい方々です。 


 彼が薄い虹彩で私を射るように見つめると、つかつかとこちらに進んできます。

 なんというか……オーラというのでしょうか。

 彼が通る場所には道ができるというか、他の貴族たちが一瞬恐れをなして体を引きます。


 群れで誰よりも強い犬が真ん中を歩く。

 それが当然であるかのように。


 バーバリアン様とレオンハルト様、その他中央騎士団の隊長たちは微動だにしませんでしたが、会議室中が異様な空気に包まれています。


 彼が私の前に立ち、見下ろします。

 私は緊張して大きな彼を見上げました。


 レオンハルト様が「リーゼロッテ様に失礼のないように!」と叫んでいますが、彼は耳にも留めません。

 彼は表情を一切変えず、私の片手を掴みました。


 そして、掌にキスをしたのです。

 ダリウス様が私の手を両手で掴んだまま腰を屈め、低い声で囁きます。


「大陸を一つ……持って帰ってきました。貴女様のスミレ色の瞳に似合う、灰と青の大地です」




 今 な ん と お っ し ゃ り ま し た ?




 私が固まると、周りの軍人たちが抗議をし始めました。


「ずるいぞダリウス! 儂たち第二部隊が旧大陸を差し上げようと思っていた矢先に」

「ピットブル一族になぜ戦いのチャンスを与えない!」


 ダリウス様は彼らのクレームを一切無視して、私をじっと見つめます。

 いえ、じーっと見つめます。


 水色の瞳に浮かぶのは熱情。

 その奥にいるわんこの気持ちは「褒めて褒めて」。


 褒めるべきですか?

 いやでも、侵略なんて、他人が嫌がる最大級の行動。

 征服された民はどうするのです!?


 私の混乱に、彼は淡々と説明します。


「丁度向こうの大陸では『世紀末』とやらが起きていました。私たちは貴女様の邪魔でしたので平定し、協力をさせました。しかしどうしても貴女様が見つからない。その矢先の吉報でした」


 彼はそのまま帰ろうとしたらしいのですが、住民たちが支配者になって欲しいと懇願するので私が統治し、第一部隊の代理の者が実際に治めるという形態にしたそうです。


 さらにダリウス様を神格化しようとする動きがあったの、レオンハルト様から送られてきた画像を写し取り「どうせ神殿を建てるならこちらにしろ。私の女神だ」と祀らせました。


 部下がさらにその写しを持ってきましたが、もはやそれは、「へのへのもへじてへぺろ☆」といった顔をした摩訶不思議な生物。

 これを「リーゼロッテ神」と名を捧げ、今や大陸では最大の宗教となり……って。




 私を一心に見つめる美しい水色の瞳は、誰よりも透き通っています。


 ですが私の脳裏には、生理的にダメなゲジゲジ虫を銜えてきて「あげる~」と自慢気な、ダシバの顔が思い浮かびました。

 




「……か」

「「か?」」


「返してきてくださいー!!!」


 私はこの国に来て初めて、わんこに「め!」をしたのです。



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